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「のどが痛い」の正体は? ウイルスや細菌の侵入を知らせる非常ベル【専門医が教える】

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急にのどが痛くなり、風邪の予感がすることがあります。のどの痛みは、風邪やインフルエンザ、気管支炎、肺炎、それに日ごろから声の出しすぎや長時間の会話のあとなど、心配する機会は一年中あります。

耳鼻咽喉科専門医でとおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長によると、「のどには外から侵入しようとするウイルスや細菌から体を守ろうとする働きがあります」ということです。そこで、のどが痛くなる理由や症状、感染症の経路、うがいの効果的な方法などについて、連載にてお話を伺います。第1回はまず、のどの仕組みと痛む理由について紹介しましょう。

のどは、ウイルスや細菌の侵入口

遠山医師はまず、「のどは医学的には『咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)』を合わせた部分をいいます。耳鼻咽喉(いんこう)科の咽喉とは、この2つのことで、すなわちのどを表わします。

のどは食事や空気を取り入れる場所であり、外界と接している臓器です。つまり、ウイルスや細菌など体にとっての外敵の侵入口と言えます」と話し、のどの役割についてこう説明をします。

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「のどや鼻、気管の粘膜には『線毛』という1000分の1㎜の微小な毛がすき間なく生えています。線毛は常に活発に動いていて、これを『線毛運動』と呼びます。繊毛は運動しながら、粘液の流れをつくり出しています。

口や鼻からウイルスや細菌、ゴミ、ほこりなどが入ってきたとき、それらを口腔(こうくう)や鼻腔(びくう)の粘液の流れに乗せるようにして、せきやくしゃみ、たんと一緒に体外に排出します。こうして、のどや鼻は異物の侵入を防御しています。

ただし、線毛は繊細で、低温低湿度、唾液が減って口やのど、気道が乾燥する、病気や疲れ、ストレスがあるなどで運動が低下し、ウイルスや細菌を防御する力が弱まります。するとウイルスや細菌は体内に入り込みやすくなり、風邪やインフルエンザ、肺炎などの感染症を引き起こすことにつながります」

扁桃もウイルスや細菌の侵入を防いでいる

のどが痛いと、よく、「扁桃(へんとう)腺が腫れた」とも言います。これについて遠山医師は、次のように説明をします。

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「扁桃とは、のどの周囲をぐるりと取り巻く、リンパが集まる集合体の組織のことです。4つの種類があって、一般に扁桃というと、のどの奥のほう、いわゆる『のどちんこ』の両サイドにある『口蓋(こうがい)扁桃』を指します。

ひと昔前は扁桃腺と呼ばれていましたが、いまは扁桃と呼ぶことが多くなっています。また、扁桃とはアーモンドの別名で、口蓋扁桃がアーモンドの種子の形に似ているからこう呼ばれると言われます。

口蓋扁桃は風邪などで受診したときに、『赤く腫れています』と言われる部位でもあります。『扁桃腺が腫れた』とは、この部分にウイルスや細菌が付着して炎症を起こしている状態です。これを『扁桃炎』といいます。

一般にのどが急に痛むときは急性の扁桃炎が多くなります。ほかに、「咽頭炎」(次回、詳述します)や、のどを酷使したときに発症する「声帯炎」の場合もあります。

扁桃は6~7歳で大きさが最大になり、中学生ぐらいで大人とほぼ同じ大きさになります」

では、扁桃にも何らかの役割があるのでしょうか。

「あります。扁桃ものどと同じように、口から侵入してきたウイルスや細菌を攻撃して排除しようとする働きがあります。ただし、扁桃ものどと同様に低温や低湿度に弱く、寒くて乾燥した環境では炎症を起こしやすくなります」と遠山医師。

のどの炎症はウイルスや細菌と闘っている状態

そうすると、のどが痛むという現象は、ウイルスや細菌が侵入してきたぞというサインでしょうか。遠山医師は次の説明を続けます。

「そうです。ウイルスや細菌は、のどや扁桃に付着するとどんどんと増殖します。そこで体を守ろうとする白血球などがウイルスや細菌と闘うため、赤く腫れたり痛みが出たりするわけです。のどのそうした反応は、外敵への防御反応であり、侵入を伝える非常ベルとも言えます」

のどの痛みの始まりは、赤く腫れることですか。

「のどに限らず、炎症とはまずは、『発赤(ほっせき)』といって、その場所が赤くなることから始まります。ウイルスや細菌と闘うために、毛細血管が拡張して血流が増加するからです。体のどこかをケガしたときに赤くなるのと同じです。

鏡に向かってのどを開けて、あーと声を出すと、のどの奥のほうまで見えます。のどが痛いときに小さめの懐中電灯でのどを照らしながらのぞいてみてください。赤く腫れているのがわかるでしょう」(遠山医師)

のどが赤くなる段階までに、保湿をして治す

すると、のどとウイルスや細菌との闘いが軽くてすむと、早く治るということでしょうか。

「そのとおりです。逆に、防御反応よりも、ウイルスや細菌の活動のほうが優位になると、次には、『熱感』→『腫脹(しゅちょう。はれること)』『疼痛(とうつう。痛むこと)』と進行していきます。これを『炎症の4大特徴』と呼んでいます。進むにつれて、熱感や腫れ、痛みが強くなって、回復までに時間がかかります。のどに近い鼻にも炎症が及び、ともに症状は増していきます」と遠山医師。

その状況は思いあたります。風邪が悪化していくときにそうなります。ここで遠山医師は、改善のポイントについてこうアドバイスをします。

「早く治すには、発赤の状態までにケアすることが最重要になります。何よりもまずは、発赤を起こさないためにいつも口の中を潤しておくことです。もし少しでものどが痛いなと感じたら、口の中は乾燥しています。うがいをする、水を飲み込む、ガムやのど飴を活用する、加湿器を使う、マスクをするなどの保湿ケアをしてください」

のどや扁桃には、ウイルスや細菌などの外敵の侵入を防ぐ働きがあること、また、のどとその周囲が痛むのは、ウイルスや細菌と闘っている状態だからということです。赤くなる前に、少なくとも痛む前に、口の中を常に保湿するよう、努めたいものです。

次回以降、のど痛の病気の種類、適切なうがい法などについて続きます。

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

情報元リンク: ウートピ
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