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「産めば仕事の幅が広がるんじゃない?」って、わたし半人前扱いされてる?【アルテイシア】

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褒め言葉だと思うけど、なんだかモヤモヤする……。そんな微妙な気持ちになる一言について、作家のアルテイシアさんに相談してみました。第3回は「子どもを産めば、仕事の幅が広がるんじゃない?」です。

それ、宮沢賢治に言うか?

クリエイティブ関連の仕事をしている私。既婚者の友人とランチに行ったとき、「子どもを産めば、仕事の幅が広がるんじゃない?」と言われました。

その友人いわく、限られた時間の中で仕事をするから効率的になるし、ママ目線という新しい視点が身につくよ、と。友人はそうなのかもしれないけど、みんなに当てはまるわけじゃないし、私は特に生む予定もないし……。

アルテイシアさん、どう思いますか?

今回のフレーズは「子どもを産めば、仕事の幅が広がるんじゃない?」である。

これは「子どもを産んでない女は仕事の幅が狭い」と言ってるのと同じで、全方位的に失礼だし、罪深い発言だと思う。しかし相手に悪気はなく、善意のアドバイスとして言ってる場合が多い。

私も「子どもを産めば文章の幅が広がるんじゃない?」と言われて「ド素人のクソバイスだな」と思った。子育てブログなんか猫も杓子も書いてるし、むしろ現実は選択的子ナシの立場から書く方がニーズはある。

漫画家や役者の女友達も「表現の幅を広げるために子どもを産め」とクソバイスされるそうだ。

恋愛・結婚・出産・セックスなど「○○しなきゃ優れた作品は作れない」とドヤる人間には「それ宮沢賢治に言うか?」と聞きたい。

漫画家であれば「それ萩尾望都先生や大島弓子先生にも言いますか?」など、同じ業界の偉人の名前を出すといいだろう。

産婦人科医の女友達は「自分は子どもを産んだことないくせに」と陰口を叩かれるそうだ。がんの手術をする医者に向かって「自分はがんになったことないくせに」とは言わないだろう。

何万件もの出産を手がけてきた、医学知識を持つプロに向かって、こんな発言をするのはなぜか?

それは「女は出産して一人前」「子持ちの方が上」という価値観があるからだろう。

「子育ての喜びをあなたにも知ってほしい」の古さ

子持ちの友人たちは「そうやってマウントする人間がいるのは、同じ子持ちとして迷惑だ」と嘆く。

つまりこれは属性じゃなく、人間性の問題なのだ。その手の発言をする側が、己のアップデートできなさ加減を自覚するべきだろう。 

恋愛や結婚や出産は個人の自由であり、他人が口出しすることじゃない。人には様々な事情や生き方やセクシャリティがあり、それを他人に話したくない場合もある。

にもかかわらず、いまだに「女は子どもを産むべき」「子を産み育てるのが女の幸せ」というジェンダーロールを押しつけてくる勢が存在する。

「子どもを産めば仕事の幅が広がるんじゃない?」以外にも、「なんで子どもを産まないの?」「産まないと後悔するよ」「子育ての喜びをあなたにも知ってほしい」等など、私もなんやかや言われてきた。

そんな時は「子どもを産みたいという欲求がないんで」と返す。

4年前に子宮を取った私

新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』に書いたが、選択的子ナシの私は4年前、子宮筋腫の根治のために子宮全摘手術を受けた。

なので「病気で子宮を取ったんですよ……(小声&伏し目)」と明菜返しをお見舞いできる。

そうすれば「安易に子どもの話題に触れるべきじゃない」「それはデリカシーに欠ける発言である」と相手に反省させることもできるだろう。

もしくは「あ、取った子宮の画像見ます?」とグロ画像返しでビビらせることも可能。

けれども私がそれをせず、「我、選択的子ナシ也」と表明するのは「子どもを産まない選択を批判する方が間違っている」という意見だからだ。

選択的子ナシだと表明すると「産みたくても産めない人もいるのに」と批判してくる人がいる。

「産みたくても産めない人もいるのに、産まないなんておかしい」と批判する人は「女は子どもを産むのが自然、産まないのは不自然」と考えており、その価値観こそが産みたくても産めない人を苦しめている。

私は子どもを授からなかった方から「子どもがいなくても幸せそうなアルさん夫婦の姿が励みになった」と感想をいただく。産まない選択をした者の存在は救いにもなりうる、と実感しているからこそ、己のスタンスを明確にしたいと思う。

罪悪感は持たせる社会が悪い

というわけで「子どもを産みたいという欲求がない」と返してきた。これぐらいシンプルに言う方が「ないものはしかたない」と相手は納得するもの。

そこで「子育てが大変そうだから」「向いてなさそうだから」「母親になる自信がないから」と返すと「大丈夫!産んだら何とかなるよ」「産む前はみんな不安なものよ」と励まされてしまう。

なので「不安があるからじゃなく、欲求がないから産まない」と伝える方がわかりやすい。

「猫を飼うのは大変だし責任も重いけど、飼ったら何とかなるよ」と言われて「そもそも飼いたくないんで」と返すのと同じだ。そもそも飼いたくない人に「飼ったら絶対かわいいよ」「飼わないと後悔するよ」と押しつけるのはおかしいし、それこそ無責任な話だろう。

「私も子ども欲しくなかったけど、産んで本当によかった、あなたも産めばわかる」と言ってくる人もいるが、それはその人個人の体験であり、他人に当てはまるとは限らない。

うちは夫婦共に子どもを望んでいなかったので、子どものいない人生を選んだ。それは我々二人の選択であって、他人に勧める気も押しつける気もない。

多様性社会とは、他人の生き方を邪魔しない、余計な口出しをしない社会なのだ。

多様性社会を目指す私は、子どもを産まなかったことに対する罪悪感もゼロである。「罪悪感を持たせる社会の方がおかしい」という意見だから。

一方「人数が多い方が正しい」「みんなと同じになれ」と同調圧力をかけてくる勢も存在する。そんな勢力に余計な口出しをされた時の対抗策を考えてみたい。

対処法は、偉人返し

「子どもを産めば仕事の幅が広がるんじゃない?」と言われた時は、先述のように「それ○○さんにも言いますか?」と偉人返しがおすすめだ。「その発言は○○さんも否定することになるんやぞ」と暗にアピールもできる。

「それって私の仕事の幅が狭いってことですか?」「どのへんが狭いと感じます?」と質問返しも効果的。

質問返しは、あらゆる場面で使えて便利。たとえば、選択的子ナシの私は「キミみたいな女性がいるから少子化が進む」と面と向かって言われることもある。

そんな時は「じゃああなたは国のために子どもを作ったんですか?」と返すか、「だったらご自身が10人ぐらい作ったらどうですか?」と返す。そこで「いやそれは無理だし…」と言われたら「ですよね、人それぞれ事情がありますよね、私にもあるんですよ」とプーチン顔をキメる。

もしくは「地球全体では人口爆発によって環境破壊が進み、数百年後に人類は滅亡すると言われてますが、それについてはどうお考えで?」と質問する。すると相手は何も考えてないので、黙るしかない。

ついでに「残された資源をめぐって争いが繰り返される、暴力が支配する世界に現れた暗殺拳…!!」と秘孔を突いてもいいだろう。

そこで「人口爆発って?環境破壊って?」と質問されたら「興味があるならググってください」とピシャリと返そう。「丁寧に説明して俺を納得させてみろ」と上から聞いてくる奴に、時間を割いてやる必要はない。

妊娠出産にまつわる「女の呪い」を断ち切りたい

一方、相手に悪意がない場合は強火の返しをしづらい。

女性陣からは「友達や親せきの子はかわいいと思うけど、『赤ちゃんを見ると欲しくなるでしょ』『次はあなたの番ね』『予行演習で抱っこさせてもらったら?』とか言われるのはウザい」との声が寄せられる。

そこで曖昧に笑顔を返すと「子ども産むなら早い方がいいわよ、婚活とかしてるの?」「妊活本貸そうか?」と余計ウザい流れになりがちだ。

そんな時は「推しが子どもみたいなものなんで!」と強火で推しの話をするか、「これうちの猫が生まれた時の写真なんですよ!」と猫の話をして乗り切ろう。「出産と言えば、オメガバースって知ってます?」とBLの話をするもよし。

それによって「この人は出産に1ミリも興味がないんだな」と印象づけるのがおすすめだ。

「女は子どもを産むべき」という呪いに苦しむ女子は多いし、それが「子育ては女の仕事」「母親は子どものために犠牲になるべき」という呪いにもつながっている。

また、私は子宮全摘して健康になり幸福度が爆上りしたが、「子宮をとると女じゃなくなる」的な呪いから手術を拒み続け、症状の悪化を招いてしまったケースもあるという。その根っこにも「妊娠出産するのが女の価値」という呪いが存在する。

そんな女子を苦しめる呪いを滅ぼしたいし、産みたい人が好きなだけ産めて、産まない人が責められない社会を実現したい。

そう願う私は今後も「我、選択的子ナシ也」と表明しつつ、ベビーカーの子連れママさんに出会ったら率先してサポートしたいと思う。

(イラスト:中島悠里

情報元リンク: ウートピ
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