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「人は、飽きる。幸せは自分で決める」 東大大学院を卒業した印度カリー子さんのこれから

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2021年の1月22日(カレーの日)に発売された、印度カリー子さん初のお弁当レシピ本『一肉一菜スパイス弁当』(世界文化社)。発売から約2ヶ月で3度目の重版が決まるなど、注目を集めています。

著者でスパイス料理研究家の印度カリー子さんにお話を伺いました。前後編の後編です。

印度カリー子さん。

印度カリー子さん。

顔出ししたら取材が増えたけれど…

——前回、本を出す時には次につながるような仕掛けをしているとお話しされていました。そういう工夫はいつ頃から心がけていらっしゃるんですか?

印度カリー子さん(以下、カリー子):そこに関しては、「印度カリー子」と名乗って仕事を始めた初期のころの経験が活かされています。活動を始めて最初の半年間は顔を出さなかったんです。それが顔を出した途端に、インタビューがブワーッ! と続いたんです。学生で、女の子で、インドカレーを作っているクレイジーな子として、一気にメディアで取り上げられた。それ自体はありがたいことだったんですが、ただ、取材の内容がほとんど同じだったんです。「スパイスにハマったきっかけ」「どういう学生生活を過ごしているのか」とか。たしか5本くらい、近いタイミングで掲載されたはずです。

——ちょっと多いですね。

カリー子:あるとき「いつも同じ切り口で取材されていて、このままではその切り口でキャラ付けをされて、一過性のキャラとして廃れてしまうんじゃないかと心配している」みたいなことが書かれているのをたまたま目にして。最初はどういう意味かわからなかったんですけど、あとになって、ようするに「キャラが濃い」と印象には付きやすいが飽きられやすいということかと。キャラ付けはしつつも、要素は小出しにしなきゃダメだと悟って、そこからさらに、これは万物に共通する概念かもしれないと思うようになりました。だから本も同じように考えているんです。「こういうテーマの本です」とはっきり打ち出しつつ、その中に必ず新しいものを入れていこう、と。

——ああ、そうつながる。なるほど。

カリー子:人は飽きてしまうものですし、SNSの世界では情報の量もスピードも早い。1週間前のことを話題にしている人はほとんどいませんよね。それって、1週間に1回新しいことを出しても、間に合わない。

——そうですね。

カリー子:情報をどういうタイミングで、どのような形で出すかは、常に意識しています。あのとき心配してくださった方には感謝していますね。

アイデアが枯渇したらどうする?

——情報の消費速度という意味では、人気が出て、忙しくなり、アウトプットが増えれば増えるほど、アウトプットのためのインプットの時間が減るジレンマがありますよね。そこにはどう対応されています?

カリー子:アイデアが枯渇する状態は、学生時代にはすごくありました。1冊目の本を出してから年間4冊のペースで本を出していて、1冊の本に大体40個から70個のレシピを掲載していたので、大体年間に200のレシピを出さなければいけない状態が続いたんです。

——想像するだけで震えます。

カリー子:1日1個レシピを生み出せば、年間で365個生み出せる計算になりますから、専業の料理研究家の方であれば200個はそこまで無理な数字でもないんですよ。でも当時の私は、平日には朝から晩まで大学に通っていたので土日しか使えなかった。その状態で年間200レシピのペースを目指すと、1冊書き終わった後は何もかも枯渇するんですよ。情報がない! みたいな状態(笑)。

そこからどう持ち直していたかというと、とにかく本を読みました。インド料理にかかわらず、フレンチ、作りおき、スープ、お惣菜サラダ……何でもとにかく読んで、食材の組み合わせや調味料の組み合わせのパターンを頭にインプットする。そして、脳みその中でとにかくレシピを考えて、土日の試作できる時間に確実に仕留めていく。

——すごい……。

カリー子:当時は無駄な試作は絶対にしなかったですね。必ず実用性のあるものを試作する。脳内調理をし終えたものの、再現性を確認するだけ……くらいの気持ちでした。学生ではなくなった今は、そのころに比べればスケジュールに余裕ができたので、もう少し心のゆとりがある状態で試作をしています。

大学院卒業、これからのビジョンは?

——今年東大大学院修士課程をご卒業されたんですよね。おめでとうございます。学生でなくなったことによる変化は、ほかにもありますか?

カリー子:料理研究家にとって学生という肩書きは、年齢の近い方に共感してもらえる要素になる一方で、50代、60代の方からは敬遠されがちなものでもあります。既に長年家事をされている方にとっては、「学生の書くレシピなんて」と思われやすいんです。

そうした意味で、これまで届きづらかった年齢層の方に届くチャンスが生まれたとも思いますし、大学で学んだことを活かして、もっと超マニアックな人たちを狙うこともできるかもしれないと感じています。今、カレーのレシピ本を書いている人の中で、きちんと食品科学的な観点からスパイスを研究した人はいませんから、そこが私の強みにもなります。まだまだ私も足りないところはあるので、もう少し科学的な研究を進めて、そうした観点からの本も書いてみたいですね。

今お話したことをまとめると、もっと社会的な信頼度の高い料理研究家になることが、次の目標のひとつでしょうか。

「この人に届けたい」という明確な思いを持つ

——戦略的に考えていらっしゃるんですね。一人で活動をしていると孤独にもなりがちだと思うのですが、他の料理家さんともコラボレーションをしているのをお見かけします。

カリー子:はい。料理研究家のリュウジさんや有賀薫さんには親しくしていただいています。似たような考え方をしているお二人だから自然と距離が近づきました。何かビジョンを持って活動している料理研究家同士だと、伝わるものがあるんです。イナダシュンスケ(稲田俊輔)さんもそうですね。

——ビジョン?

カリー子:はい。ただ「美味しいレシピを書く」というだけではなくて、「この人に届けたい」という明確な像を持っているところです。たとえばリュウジさんであれば、料理をする楽しさを知らない人、自炊をしても不味いものしかできないと感じているような人に、自分のレシピを届けたいと思っている。自分の頭でしっかりと考えて、そういうビジョンを持って活動している人は、届けたい相手が自分の表現をちゃんと受け取ってくれたときに、100%幸せになっているんですよね。これって、ウートピさんのコンセプトそのものですよね?

自分の幸せは、自分に聞く

——そうですね。

カリー子:自分がどう幸せになるかというのは、自分しか知らない。だけど、ちゃんと考えていない人があまりに多くてもったいないなと思うんですよね。自分が幸せじゃないから、友達に LINE して悩みの相談に乗ってもらうとか、幸せってそういう問題じゃないんですよね。どう幸せになるかもそうだし、相手とのコミュニケーションの取り方もそうですし、すべては「まず自分に聞いてみる」と認識するだけで、全然世界が変わる。自分の脳みそはもっと信じていいと思います、みなさん(笑)。

——最後にすごくいいお話をありがとうございます。

カリー子:今、ちょうどそういう話に興味があるんです。私、19歳のときまで何にも興味がなくて、人生が超つまらなかったんですね。友達も少ないし、恋人もいないし、サークルに入っても人付き合いが下手くそだからすぐ辞めてしまうしお酒も嫌いだから飲み会にもいかないし……みたいな、暗闇そのものの生活をしていた。

でも、スパイスカレーに出会って、めっちゃ好きになって、そこから急に自分の脳みその使い方を知って、人とのしゃべり方を知って、他人へのモノの教え方を知って……と急激にさまざまなことを学んでいったわけです。

写真:本人提供

写真:本人提供

——いろいろな道が出てきたわけですね。

カリー子:21歳くらいからなんです、脳みそがちゃんと使えるようになったのは。なので、私はやりたいことがわからない、考えることができなくて本当に悩んでいる人の気持ちも、自分の頭で考えられるようになった人の気持ちも、どっちも知っているんです。もう少し歳を重ねたらいつか、食を絡めながら、自分をマインドフルな状態にするような物事との関わり方を伝えられるようになりたいですね。

(取材・文:前田久、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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