「去年は新型コロナ禍の五月病がつらかった。今年は何とか予防したい」という読者の声が届いています。自分でできる方法として、気力アップのツボケアを紹介している鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に聞くと、「ニュースを見るだけで倦怠(けんたい)感や憂うつ感が強くなり、何をするにもやる気が起こらない…と悩む患者さんがとても増えています。五月病対策に有用なツボを3つ選んで紹介しましょう」ということです。さっそく実践法を尋ねました。
ツボケアはセルフケアの意識アップにも有用
丸尾さんは五月病について、こう話します。
「五月病とは以前は、『新入社員や大学生らによる新しい環境になじめない、または、なじもうとがんばりすぎた反動で、ゴールデンウイーク明けの5月に疲れがどっと出る症状』とされていました。
しかし新型コロナ禍の5月は世代や環境に関わらず、不安感や気分の落ち込み感が強く、生活や仕事に支障が出ることがあるでしょう。とくに、昨年も五月病に見舞われた覚えがある人は、連休中からセルフケアを実践しておきましょう。ツボケアは、誰でもいつでもすぐにできます。ツボの効用だけではなく、予防のためにアクションを起こす行為そのものや、予防意識のアップがケアとして有用だとわたしは考えています」
ツボ・神門(しんもん)を刺激する
「神門」は手首のすぐ近くにあるので、リモートワーク中、デスクワーク中、あるいはテレビを観ているとき、歩きながらでも自分で押しやすいツボです。
「神」とは神さまのことではなく、東洋医学では心や意識のありようを意味します。また、心の状態は脈に反映されることから、脈打つ場所の近くにあるともいわれます。神門はメンタルケアのツボの筆頭格であり、また、心の不調が原因の不眠、便秘、心臓のドキドキ感のケアにも有用であることが知られています。
<「神門」の位置>
手首の内側の横じわを見てください。小指の付け根から真下にその横じわまでたどったところにあるへこみが神門です。そこをあちこちの方向に押してみて、イタ気持ちいいところを見つけましょう。左右にあります。
<刺激法>
反対の手で手首をつかみ、おや指の腹でひと押し5~10秒ほどの刺激を3~5回くり返します。指先や手のひらでなでるのも有用です。左右とも行いましょう。
ツボ・太衝(たいしょう)を刺激する
「太衝」とは、足の甲で脈が大きく振れる場所を示します。そのとおり、足の甲にあって、ここをほぐすことで血流の滞りや緊張を足元からほぐす作用があるといわれます。
東洋医学では、新芽が出る春は肝臓の働きと関係するとされます。太衝は「肝経(かんけい)」という気の流れに沿った場所にあるため、春先の疲労感を癒すツボでもあるのです。
足元が冷えると頭がのぼせて頭痛やめまいがする、目が疲れるというとき、また、ウォーキングや運動で足や腰が痛むときにも有用です。
<ツボ「太衝」の位置>
足の甲の、おや指とひとさし指から続く骨が交わるところ。左右にあります。
<刺激法>
椅子に座り、一方の足を反対のふとももに乗せて、手の指の腹でひと押し5~10秒ほどの刺激を3~5回くり返します。あるいは、反対の足のおや指の腹やかかとで同様に押しましょう。またデスクワーク中は、足の甲全体を反対の足の裏でさすり、温めてください。左右とも行いましょう。
ツボ・「志室(ししつ)」を刺激する
「志」は漢字の意味そのままの「志し」のことで、東洋医学では「気力」や「精気」を表します。「室」は「部屋」や「場所」を示し、志室とは気力・精気が宿る場所という意味合いになります。
また、志室は「腎経(じんけい)」に属するツボで、腎とは「生命力の根源の精気、元気をもたらす」ものです。
しんどいときや疲れたときに腰をさすることがあるでしょう。志室は腰骨のすぐ下にあり、血流やエネルギーの流れの「気」の滞りに関係します。憂うつ感、気落ち感、不安感、ドキドキ感に作用します。また、腰痛や頻尿、夜間にトイレに起きるなどのケアにも用いられます。
<ツボ「志室」の位置>
ウエストラインと背骨が交差するところから、おや指以外の4本の指をそろえた幅の分だけ外側に離れたところ。左右にあります。
<刺激法>
ウエストを左右の手でそっとつかみ、おや指の腹でひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返しましょう。両方の手のひらでこのあたりを上下に30回ほどさすり、温かさを感じるのも有用です。
聞き手によるまとめ
五月病の憂うつ感に有用な「手、足、腰の3ポイントのツボ」、どれも覚えやすくてすぐに実践ができました。どのツボも押すだけではなく、手のひらでさすって温かみを感じることもツボケアのコツということです。そして、連休中から実践してケアの意識をアップしようという提案でもあります。試してみてはいかがでしょうか。
(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
五月病のセルフケアツボ…鍼灸師が選ぶ「手・脚・腰」の3つ