寝つきが悪くて夜中に目が覚める、生理になるとやたらと眠い、更年期障害と睡眠の関係とは?
日本睡眠学会所属医師で医学博士、雨晴クリニック副院長の坪田聡(つぼた・さとる)先生が女性ならではの睡眠の悩みとその対処法を解説した『女性ホルモンが整う オトナ女子の睡眠ノート』(総合法令出版)が11月に発売されました。
そこで、ウートピでは4回にわたって本書の内容を抜粋して紹介します。
日々の体調を整える睡眠のコツを知ることができます。
※文中のページ数は本書の該当ページです。詳しくは本書をご参照ください。
正しい睡眠とは
「良い睡眠」「正しい睡眠が大切である」などと言われますが、「良い睡眠」「正しい睡眠」とはなんでしょうか?
まず、睡眠時間から考えると、厚生労働省は健康に過ごすために、6〜8時間の睡眠をすすめています。これは、これまでの睡眠研究により、6〜8時間眠ると最も病気になりにくく寿命も長いことが、日本だけでなく世界的にも分かってきたからです。
ただし、十分な睡眠時間をとっていれば大丈夫、というわけではありません。例えば、睡眠時無呼吸症候群(34ページ※)では睡眠時間が十分であっても、睡眠中に呼吸が止まって何度も目が覚めてしまい、良い睡眠とは言えません。睡眠の質も重要になります。
正確な睡眠時間や睡眠の質は、睡眠専門の医療機関に入院して行う「睡眠ポリグラフ検査」で分かります。この検査では、目をつぶってから寝つくまでの時間や夜中に目覚めた時間、睡眠の深さ、ノンレム睡眠とレム睡眠の時間などが記録されます。寝つくまでに30分以上かかる、起床予定時刻よりも2時間以上早く目覚める場合、睡眠障害が疑われます。
とはいえよほど睡眠の問題が大きくなければ、病院に泊まって検査を受ける気にはならないでしょう。睡眠時間については、122ページ※で説明する「睡眠日記」をつけるとある程度分かります。毎日の睡眠時間帯のずれにも注目しましょう。睡眠時間のちょうど真ん中の時刻が、2時間以上ずれていると問題です。
睡眠の質では、寝つきが良く夜中にあまり目覚めず、朝は予定時刻頃に自然に目覚め熟睡感があり、日中は午後の早い時間を除いて眠気が強くなければ、良い睡眠と言えます。
必要な睡眠時間
1980年代にアメリカで100万人以上を対象に行われた、睡眠時間と寿命の関係の調査では、予想外の結果が出ました。
1日に6.5〜7.5時間の睡眠をとっている人が最も死亡率が低く、それ以上およびそれ以下の時間、眠っている人は寿命が短くなる傾向にあったのです。特に長く眠っている方が問題で、7.5〜8.5時間以上の睡眠時間をとっている人は、6.5〜7.5時間睡眠の人よりも死亡率が20%もアップしました。
この研究を行ったカリフォルニア大学サンディエゴ校のダニエル・クリプペ博士は、「睡眠は食欲と似ている。欲望にまかせてものを食べると、食べすぎて健康を害する。睡眠も眠たいからといって、いつまでも眠っていると、体に良くない」と述べています。
日本でも、同じような結果が出ています。名古屋大学(当時)の玉腰暁子先生が、40〜79歳の男女約10万人を、10年間にわたって追跡調査しました。対象者の平均睡眠時間は女性7.1時間、男性7.5時間でしたが、死亡率が最も低かったのは、男女とも睡眠時間が 7時間の人たちでした。睡眠時間が7時間より短い人も長い人も、死亡率が高くなる傾向が示されました。
睡眠時間が長い人の寿命が短くなる原因は、まだはっきりしていません。しかし、長く眠る人は、なんらかの健康上の問題を抱えている可能性が指摘されています。
また、眠りすぎると寿命が短くなるのと同様に、睡眠時間が短くても長生きできません。睡眠時間が短いと、生活習慣病にかかりやすく、免疫力の低下によりがんも生じやすくなります。健康に長生きするためには、自分に必要な時間だけ質の良い睡眠をとることが大切です。
必要十分な睡眠時間を知るには、寝つきと目覚めが良く、起きてからも活動的に過ごせた日の睡眠時間を、何回か記録してみることが有効です。緊張している平日とリラックスできる休日では必要な睡眠時間が異なることがあるので、この2つは分けて記録します。
眠るべき時間が決まったら、寝室の環境を整えたり、生活習慣を改善したりして、ぐっすり眠ってスッキリ目覚める準備をしましょう。
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