結婚の予定は特にないけれどひとりは何だか物足りないし、寂しいときもある——そんな女性にとって、夢のような暮らしをしている女性がいました。
『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)の著者である藤谷千明(ふじたに・ちあき)さんは、都内の一軒家をオタク友達とシェアして暮らしています。コストも下げられて、女同士で楽しい生活。その実態を、3回にわたってお話を伺いました。
第2回は「アラフォーがシェアハウスに住むということ」をテーマに伺います。
※トップ写真:自室の本棚からあふれた本が収納されている共有本棚
「サブカルおばさん」がいない問題
——藤谷さん自身、今のシェア生活を始める前は、長年同居していたパートナーがいたそうですね。別の道を歩むことになったときの率直な気持ちは?
藤谷千明さん(以下、藤谷):自分の体の一部がなくなったかのような喪失感がありました。決して相手への未練ではないんです。ずっと一緒に暮らしていた人がいなくなると、生活習慣が変わっちゃうんですよ。これからどうしたらいいのかわらなくなって、夜にひとりでメソメソ泣いたりしました。「夜泣き」ですね。
——突然、雑談できる相手がいない暮らしになったら、やっぱり不安になりますよね。
藤谷:とはいえ、また同じようにパートナーを探そう! という気持ちにはなれなかったので「なにかヒントになることはないかな〜」と、ネットや本を探したんですけど、フリーランスの40代独身女性のロールモデルが、あんまり思い浮かばなかったんです。
独身といってもエッセイなどを読むと事実婚だったとか、「特別な誰か」がいらっしゃる。その一方で、氷河期世代が『おひとりさまの老後』を読むと、「ざ、財力!」となるじゃないですか(苦笑)。伴侶もお金もない女性のロールモデルが浮かばなかった。今からでも教えてほしいです。
——たしかに、パッと浮かぶ顔がないです。
藤谷:それに、 “サブカル40代病む説”とか“フリーランス40歳の壁”っていうじゃないですか。自分もオタク・サブカル人間なので心当たりがあるというか、「経済的に困窮して病み続けると命に関わるぞ」と危険を覚え、そういう提唱をされている吉田豪さんや竹熊健太郎さんの本を読みましたが、基本的には「サブカル自営業男性」の話で、女性にとって適用できる話とそうでない話がある。なので、真剣に「アラフォーサブカルおばさんがこの先生き残るには?」を考えて、同じ境遇の友達に声をかけたんです。
「この関係はこう!」と決めつけないで楽しむ
——シェア生活がおすすめなのは、どんな人でしょうか?
藤谷:「“生活コストを下げたい”みたいな目的があって、かつ他人と住むのが嫌じゃない人」ですかね。でもそれって友達に限らず、恋愛関係でも成り立つし、同棲もそうですよね。もちろん、恋愛していなくても、特に好きな人がいなくても、誰かと一緒に楽しく住めるよと伝えたいです。
——結婚や家庭の事情、病気などの人生の転機で脱退することもあるかもしれない。本の中でも「この生活が一生続くとは思っていない」と書かれていましたね。
藤谷:さすがに、アラフォーが4人も揃(そろ)うと、やむをえない家庭の事情の発生もあるでしょうし、会社員の人は転勤もあるかもしれない。「ずっと一緒だよ〜」というのは非現実的かなと。今後何らかの理由で部屋が空いたら、違う誰かに入ってもらえばいいなと。あるいは、家賃的には3人でも住み続けられる金額なので、そのままで3人で暮らす可能性もあります。
——かなり柔軟なんですね。
藤谷:結婚や家族と違って、法的に約束された関係じゃないからこそ、面白いと思います。このまま20年くらい続きそうな気もするけど、来年大げんかして解散することだって考えられる。この先はわかりません。「この関係はこうだ!」と決めつけず、柔軟に楽しめていけたらと思います。
※次回(最終回)は11月19日公開です。
(聞き手:小沢あや)
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情報元リンク: ウートピ
結婚は? 親の介護は? アラフォー女性がシェアハウスに住むということ