10月18日は「世界メノポーズデー(更年期の日)」。
1999年に開催された第9回国際閉経学会で、人生100年時代における更年期の健康に関わる情報を発信する日として定められました。
更年期と聞くと「まだ私には早いかな」と思う人もいるかもしれません。一方で「急に汗をかくようになったけれど、自分の体質なのか更年期なのか分からない」と困惑している人もいるのではないでしょうか?
そこで、女性医学学会専門医で生殖医療専門医の巷岡彩子(つじおか・あやこ)先生に更年期について伺いました。
季節によって更年期症状は違うの?
——前編では更年期の基本について伺いました。後編では更年期にまつわる疑問について伺いたいです。季節によって更年期の症状の違いはあるのでしょうか?
巷岡彩子先生(以下、巷岡):夏は暑いので、汗をかきやすく汗の量も多くなります。ただ、ホットフラッシュは季節に関係なく症状がでますので、通常の汗との違いとして参考になります。逆に冬の場合は、日照時間がだんだんと短くなるためうつ症状がでやすい傾向があります。
30代後半から更年期症状を感じる人もいる
——30代なのですが更年期はまだ先のことと考えてよいのでしょうか?
巷岡:早い場合には30代後半から更年期症状を感じる方もいます。月経の量が減ったり、周期が短くなってくる30代後半に、更年期症状特有のホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗)、頭痛、めまい、腰痛、肩こり、疲れなどがひどくなるようであれば、更年期の初期症状と疑ってみてください。
また、早発閉経で、20代、30代で月経不順、無月経となる方の中には数は少ないですが、卵巣機能が低下しているために無月経となっている、早発閉経の方もいらっしゃいます。骨密度低下や脂質異常の予防のためにも、ホルモン剤を処方しています。年齢がまだ更年期にさしかかっていないからと自己判断しないで、症状があり気になる方は婦人科を受診しましょう。
コロナ禍と更年期の関係は?
——コロナ禍で更年期症状が重く感じるということはあるのでしょうか?
巷岡:コロナ禍の特徴としては、定期的に運動されていた方がジムに行けない、外出できないという理由から生活習慣病になる方が増えつつあります。手持ち無沙汰で食べてしまう、外出の機会も減り、体重が増える方も多いようです。
また、友達に会って相談することができなかったり、気晴らしの機会が減ることで、うつ症状や精神的な症状も増えてきています。コロナ禍では環境の変化が原因となり、更年期の症状にも影響しているようです。
更年期は「触れてはいけないこと」ではない
——前編で「更年期かな?」と思ったら婦人科を受診しましょうと伺いましたが、躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。
巷岡:PMS(生理前症候群)や更年期症状の悩みがあっても、ピルやホルモン剤を服用することの不安があったり、婦人科への抵抗があって、躊躇(ちゅうちょ)する方は多いです。でも、つらい症状を我慢するより、薬を摂取したり、定期的な月経周期にするなど、コントロールすると身体が楽になる方もいます。婦人科の医師は更年期の専門家ですので、安心して婦人科に相談してください。
更年期症状は軽い方からつらくて重い方まで、人それぞれですが、閉経や更年期は全ての女性が経験します。月経が始まることに関する教育はあるのに、閉経に関しては学ぶことは個人任せ。
更年期は病気ではなく、不幸なことでも、触れてはいけないことでもありません。人生100年時代の中の通過点にある、女性の身体の変化です。毎年10月18日の「世界メノポーズデー」などの啓蒙活動を通じて、女性のPMSや更年期を気軽に口に出せる、もっとオープンな社会になり、更年期のつらい症状をひとりで悩む方が少なくなる、そんな社会になることを願っています。
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情報元リンク: ウートピ
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