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夏帆「“自分らしく”と“自分勝手”は違う」映画『Red』

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島本理生さんの同名小説を原作とした映画『Red』が2月21日(金)に公開されました。誰もがうらやむ夫、かわいい娘とともに何不自由なく暮らしていた専業主婦の塔子(夏帆)が、かつて愛した男・鞍田(妻夫木聡)と再会。互いに強く惹かれ合う物語の結末は、絶望なのか希望なのか……。

主演を務めた、夏帆さんのインタビュー。第1回では塔子という役をどのように捉えていったのか、第2回では夏帆さんなりの世間との向き合い方についてお話いただきました。最終回となる今回は「自分の意志をもつこと」をテーマに伺いました。

選ぶからこそ、責任も負っている

——夏帆さん演じる塔子は“いい妻・いい母”であるために、自分のやりたいことを押し込めて生きています。でも、恋愛をきっかけに自分の意志を取り戻していく。

夏帆さん(以下、夏帆):“自分らしい自分”でいることよりも“相手の望む自分”でいることを優先していますよね。そんな日々のなかに鞍田さんが現れて、彼女が“自分らしく生きること”を後押ししてくれたように感じました。

——夏帆さんご自身はいま、自分自身の意志で生きている、という実感をお持ちですか?

夏帆:はい、ありますね。

——その実感は、昔からですか? それとも、年齢を重ねるにつれて身についてきたものでしょうか。

夏帆:どうでしょう……。もしかしたら、そうじゃなかった時期を経て、いまがあるのかもしれません。だけどとにかくいまは、作品を自分でしっかり選ばせていただいていますし、選んだからこその責任も、自分で負っていると思っています。人に決められた道ではなく、自分で自分の道をつくっている気がする。

——それはとても難しいことでもあると思いますが、自分で道を選べる人間であるために、心掛けていることはありますか?

夏帆:なるべく、自分の気持ちや感覚に素直でいたいな、とは思っています。もちろん状況は人それぞれなので、一概には言えないし、その選択が許されるときとそうじゃないときもありますが。

——状況判断が、また難しいですね。

夏帆:まず「自分らしく生きること」と「自分勝手に生きること」は、全然違うと思うんです。自分らしく生きるためになにかを選んだのなら、その行動に責任を持たなければいけないし、選んだ自分をまっとうしなければいけませんし。

劇中より

劇中より

「全員同じ価値観」は場合によって不健全にもなる

——「自分らしい」と「自分勝手」の線引きは、きっとグラデーションの上にあるし、絶対の正解はないんでしょうね。

夏帆:そうですよね。その線引きがクリアだったら、この作品のなかで塔子も迷うことはなかったでしょうし。「自分らしくいたい」「自分勝手になってはいけない」のはざまで、きっと彼女も悩んだし、私もいろんなことを選び取って生きているように感じます。

——線引きできないこと、正論だけでは息苦しくなってしまうことが、いまの世の中にはたくさんある気がしますね。本当はもっとあやふやだったり、グレーだったりしてもいいんじゃないかな、って思っちゃいますけど……。

夏帆:いろんな意見があっていい、とは思いますよね。人それぞれ考え方も、価値観も違って当たり前。違う人間なのに全員まったく同じ価値観を持っている、っていうことのほうが、もしかしたら不健康な場合もある気がします。正しいことを求めたくなるのは仕方ないけれど、たとえば映画の世界でだけは、いろんな選択肢を眺めてもらえたらいいな、とも感じたりして。『Red』のラストは、まさにそんな結末になっていると思いますね。

劇中より

劇中より

自分の気持ちがわからないときは、外からの刺激を

——夏帆さんは、自分らしく生きることに意識的な方だなと思いました。自分の気持ちがわからなくなることって、ありますか?

夏帆:もちろんあります。どういう選択をすれば、自分の人生をより豊かに過ごせるのか簡単には答えが出せないですし、私はこの先なにをしていきたいんだろう……って思い悩むこともたくさんあります。

——そんなときは、どうやって自分の声をキャッチアップしているのでしょうか。

夏帆:そういうときこそ、いろんなものに触れてみるようにしています。悩んでいるときは、自分を狭い範囲に閉じ込めてしまっていることが多い気がするんです。だからあえて一歩外に出てみるとか、新しい価値観に触れてみるとか、外からの刺激をもらいに行くようにしています。それが、自分自身のことを見つめ直すきっかけになるんです。

作品からも刺激を受けることが多々あります。とくに今回は、これまで出演してきたどの作品よりも”濃厚で真っ正面からの恋愛映画”だったので、人としても役者としても得るものが大きかったです。とにかく純粋に役と向き合う時間をいただけたし、役に没頭していることが許された現場だったので、とても充実していました。

■映画情報

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『Red』
©2020『Red』製作委員会
2月21日(金)新宿バルト9他全国公開(R15+)
出演: 出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗
監督:三島有紀子 原作:島本理生『Red』(中公文庫)
公式HP:redmovie.jp 公式Twitter:@red_movie2020

(ヘアメイク:石川奈緒記、スタイリング:清水奈緒美、取材・文:菅原さくら、撮影:面川雄大、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
夏帆「“自分らしく”と“自分勝手”は違う」映画『Red』

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