婚活サイト「キャリ婚」を主宰する川崎貴子さんが「令和の共働き婚」をテーマに、それぞれの分野で活躍するプロと対談する連載。第3回のゲストは、家事研究家で家事代行サービス「ベアーズ」の取締役副社長でもある高橋ゆき(たかはし・ゆき)さんです。全3回。
家事や育児を他人に頼むことで“幸循環”につながる
川崎貴子さん(以下、川崎):そもそも、「ベアーズ」を立ち上げたきっかけは何だったんですか?
高橋ゆきさん(以下、ゆっきー):私はもともと、自分で家事を全部やっちゃう人だったんですよ。でも、香港で生活しているときに、フィリピン人のメイドさんがいて、「息子さんは私が代わりに抱っこしててあげるから、寝たいときに寝ててください。それが私の喜びです」って言われて……。
人に頼むことは悪いことじゃなくて、人の幸せにつながるんだと思って、ビックリしましたね。それに気付いた瞬間に、私も精神的に強くなれて、楽になって、心地よくなって。
そのときは夫にも、「彼女は僕たちから得た収入で、母国にいる子供たちに教育を受けさせたり、進学させたり、家を建てたりすることができる。メイドさんを頼むことは、決して後ろめたいことじゃなくて、誰かの幸せにつながっていることなんだ」と言われました。
「家事や育児を他人に頼むことは、幸せの好循環なんだ!」と感じたことが、「ベアーズ」を立ち上げたきっかけでしたね。
川崎:人の役に立てる仕事ってやりがいありますしね。
ゆっきー:そうそう。例えば、この記事を読んで、「人に家事を頼むほどの身分じゃないし……」「サボりたいと思ってるわけじゃないし……」という人は、子供を出産したり、病気になったり、人生で大変なときが来たら、思い切って頼んでみてください。
一回使ったからといって、一生使うものでもありませんし、人生の物差しで考えたら、使う時期もあれば、使わない時期もあります。大変な状況に陥ったときの心の保険として、家事代行サービスを知っておくのも、今の社会を生き抜く上で非常に重要なことだと思いますね。
大変なことが、永遠に続くことはありませんから。大変なことが終わって楽になったら、そのときにできなかったことを「次の世代にやってあげればいいじゃない?」と言ってあげたいですね。つまり、幸せの好循環、ゆっきー語で“幸循環”です。良い言葉でしょう(笑)?
人生は一度きりだからわがままに生きる
川崎:ゆっきー自身の生き方についても伺いたいのですが。私は、プライベートでも会社でも、自分のご機嫌をコントロールできる人が大人だと思っていて。大人の女性である限りは、ご機嫌をコントロールすることは当たり前のことですよね。
ゆっきー:私も同感です。そして、人生は一度きりなので、好きなことをしていいと思うんですよね。世間体を考えて、やりたいことを躊躇(ちゅうちょ)している場合じゃないんです。好きなように、好き勝手に、わがままに生きていいと思います。
ただし、自分のためだけにわがままに生きていると、バチが当たる。たった一人のためでいいから、自分じゃない誰かのために、「情熱と覚悟」を持ってやろうと決めたことは、必ず成し得ると思います。
川崎:「情熱と覚悟」って、良い言葉ですね。
では、大変なときやつらいときはどうしてますか? 例えば、私は、谷底に落ちたとき、「こんなことで自分は絶対に負けない!」と思ってるんです。多分、逆境が好きなんですよね。逆境のあとに良いことがあったりするので、「またか……」と定期試験みたいな感じで受けていますけど(笑)。
ゆっきー:私も、アクシデントやプロブレム、ハプニングの中で育ってきたから、それしか人間を強くさせるものはないんじゃないかなと思っています。「人生には愛や笑顔が必要だ」と言っているけど、一方で「つらさや怒り、悲しみでしか人間は成長できない」とも思っています。
川崎:ゆっきーみたいな働く女性は、それを糧にしてさらにパワフルに輝くんですよ。女性は、男性と違って、「これはマズい!」と思ったら、いろいろな人のところへ行ってすぐ相談するんです。変なプライドを持たない人が多いですよね。
ゆっきー:美容液でも、サプリメントでも、ナイトクリームでもなく、試練と逆境と苦難を乗り越えることが、輝きの秘訣かもしれませんね(笑)。
将来の不安もあるけれど…自分たちの武器を増やそう
川崎:では、最後に。人生100年時代と言われていて、将来の生活や老後に対して不安をもっている共働き夫婦も多いと思います。個人的には、副業もどんどん解禁されていますし、いろいろな働き方ができるようになっているので、自分らしい仕事に出会えるチャンスがあるし、何とかなるなと思っているのですが……。
ゆっきー:本業のあり方も変わってきていますからね。「働き方改革」の一番のポイントは、「多能工」なんです。一人のキャリア、アイデア、アイデンティティを、社会で多方面に活用できる人材が育つかどうかが大事になってくる。
会社が守ってくれる時代でもないですし、働き手もずっとひとつの会社にいるわけじゃない。もっと言うと、在宅勤務が当たり前になって、全員が業務委託契約のようになると思います。近い将来、多能工な才能を生かして働くような新しい時代がやってくるのではないでしょうか。
川崎:共働き夫婦であれば、将来の蓄えというより、自分たちが持てる武器を増やしていったほうがいいということですね。
ゆっきー:そうですね。そして今回、私が一番言いたいことは、ただ単に「家事をアウトソーシングしよう」ということではないんです。「生き方改革」なんです。
私やたかちゃんみたいに、意思を強く持って動ける女性ばかりではないので、社会の追い風が吹くことはとても大事。世の中の女性たちには、風が強く吹いてきたことを感じてほしいですね。そして、自分たちで未来の扉を開けまくって、新しい風をどんどん吹かせてほしい。
だって、一昔前だと、その扉に何重にもカギがかかってたんだから(笑)。でも、今はITの時代だし、一人ひとりの女性の意思や意識も変わってきて、昔とは全然違いますよね。思いと行動があれば、自分のありたい状況、ありたい姿になれる時代になってきてるんです。生きやすい時代の幕開けですから、そこから衰退しないように、女性たち自身が意思と意識を持って行動していってほしいなと思います。
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