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読書の秋に。小島慶子が推薦するジェンダー問題と向き合うための2冊

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恋のこと、仕事のこと、家族のこと、友達のこと……オンナの人生って結局、 割り切れないことばかり。3.14159265……と永遠に割り切れない円周率(π)みたいな人生を生き抜く術を、エッセイストの小島慶子さんに教えていただきます。

第33回は、現代のジェンダー問題と向き合える2冊をあげていただきました。

『これからの男の子たちへ』

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日々の生活の中でモヤモヤと感じる生きづらさ。最近ではそのうち少なからぬ量がジェンダーに関するものだと気づいた人もいると思います。前回書いたように、物を考えれば考えるほど、知れば知るほど、パートナーや職場の人々(特に男性)の態度や言動に対する違和感が強くなり、モヤモヤが昂じて強いストレスになることも。でも働いて生活して行かなくてはなりませんから、そこから逃げることも、ぶち壊すこともそう簡単にはできないでしょう。

そんな時には、本を読むと少し楽になります。頭が整理され、知識が増えるだけではなく、自分の懊悩(おうのう)をわかってくれる人がいると知って、孤独感が薄らぎます。弁護士の太田啓子さんの最新刊『これからの男の子たちへ「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)はそんな一冊です。私も対談で参加しています。

帯に「男の子にこそ話そう、性のこと」とあるように、これは男の子を育てる親のための本であり、元・男の子が自分を知るための本でもあります。そして男性たちの態度にモヤつきながらも「これは許してあげなくちゃいけないのかな?私あなたのママじゃないんだけど?!」と悩んでいる女性にも必ずや、一条の光となるでしょう。

日本社会で育つ男子が、どのような刷り込みを経て男尊女卑的な価値観の持ち主になってしまうのか。それを阻止したり、刷り込みをアンインストールしたりするにはどうすればいいのか。太田さんはそれを丁寧に、かつ明快に考察しています。ここ数年のジェンダー関連の出来事や用語が一通り頭に入りますし、モヤった時に目の前に見えている光景にどのような意味があるのかを理解する助けになる心強い手引書です。

大人の男性たちにとっては、自分がどのようにして「男としてあるべき姿」を刷り込まれてきたのかを知る助けになる内容です。日本では女性を性的な商品のように扱う傾向が強いですが、そのような視点がいかに歪んでいるかを自覚するためにも役立つでしょう。

まずは感情の言語化を

これは男性に限らず誰にとっても必要なことですが、自分の中に湧き上がった欲望や感情を言葉にできることがまず重要になります。これは本の中でも繰り返し伝えられており、思考するための言葉を持つことが自分の弱みと向き合うカギになりそうです。

それが苦手な男性は、もしかすると自分の弱みと向き合って言葉にするのは「男らしくない」行いだという思い込みが邪魔をしているのかも。

性暴力やセクハラの加害者とならないためにも、男性は、性についてきちんと知り、考える機会を持ち、エロコンテンツビジネスや男社会のパワーゲームに供出していた自らの性を、己の手に取り戻す必要があります。

「男はエロを消費し続ける主体とならねばならない」「エロは男の共通語」という強迫的なメッセージに始終さらされていると、性とは他者と豊かな関係を結ぶためのものではなく、他者をより多く消費するレースのようなものだと錯覚してしまうこともあるでしょう。知らぬ間に参加させられているレースから降りることが、まずは第一歩なのです。

最近は「男性性」や「男らしさの呪い」に関する本が多く出版されて、自分に疑いの目を向け始めた男性たちも少しずつ増えてきました。男と女、どっちが悪者かを決めるのではなくて、どっちもが迷惑してきた「男らしさ、女さしさ」という虚構に目を向けて、その呪縛から自由になろうという試みの最中なのだと思います。その先にあるのは「では人間らしさって何だろう?」という大事な問いです。人間らしく生きるって? 人間らしい暮らしって?

首相交代の節目を迎え…

折しも日本は首相交代の節目を迎え、過去7年余りの振り返りが盛んになされています。安倍政権下では「女性活躍」が推進され働く女性が増えましたが、非正規の不安定な雇用で働く人が大半で、コロナ危機でも最初にそうした女性たちが打撃を受けました。

男女の所得格差は大きく、育児と仕事との両立も困難です。離婚してシングルマザーになれば貧困に陥る可能性が高く、女性が経済的、社会的に不安なく生きていくには、結婚という形で男性の庇護のもとに身を置くしかないという構造は温存されたままです。

安倍政権下での“女性活躍”とは、男性のお世話と家事育児の役割を女性に担わせたまま、その労働力を都合よく使い捨てにできる仕組みを作ったに過ぎなかったとも言えるのではないでしょうか。

今、自民党内でも父親の育休義務化や離婚前の養育費取り決めの義務化など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題を取り上げようとする動きが出てきています。今後はそうした政策を重点的に進めて欲しいものです。

『「母と息子」の日本論』

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このタイミングでぜひ読むことをお勧めしたいのは社会学者・品田知美さんの最新刊『「母と息子」の日本論』(亜紀書房)です。太田さんの本と併せて読むと日本社会の抱える問題がより立体的に見えてきます。この生きづらく、不寛容な社会には、息子を大人にしようとしない母親という影の立役者がいたという見立てに衝撃を受ける人もいるでしょう。

現在男児を子育て中の女性も、密かに母を重たく感じている男性も、姑の存在感に怯える女性も、読めば霧が晴れるような思いがするかも知れません。ルールを守らず記録を残さずお友達との馴れ合いでお金を回し、きちんとした説明もせずにしらばっくれてお茶を濁してしれっと流す……というような日本の政治家や組織の幹部に頻繁に見られる態度の根源には「母子分離を是としない価値観」があるという指摘にはハッとします。

世に溢れる女性嫌悪は、母を恐れる気持ちの表れでもあるのです。でも、母親たちが諸悪の根源だと言っているのではありません。そういう子育てを生み出した社会構造に注目することが大事なのです。男性がどのように関与しているかを考察するのも興味深いです。それって一体、どういうこと?と興味を持ったらぜひ、読んでみてください。

パートナーと共有を

そして可能なら、パートナーにもこの2冊を勧めてみて。今圧倒的に足りていないのは男性の語りです。彼らが何を恐れ何に苦しんでいるのかをきちんと言語化しない限り、硬直化した男尊女卑社会を変えることはできません。

読まないかも知れないし、読んでも「ふうん」てな反応かもしれませんが、もしそれがきっかけとなって内省に至り、男性自らの「行動の変化」が始まったらいいですよね。

気をつけてほしいのは、「私が彼を教育するのよ」と張り切らないこと。それだといつまでも彼を「女性の息子」であり続けさせてしまいますから、構造は再生産され続けてしまうのです。

母親から自立しないまま権力を握った男がどれほど厄介な存在か、過去も現在も私たちは目の当たりにしています。

ソーシャルディスタンシングで、人とじっくり語り合う時間はなかなか持てないけど、本を読むこともまた、著者との濃密な語り合いです。読書の秋に向けて、いい本との出会いがありますように。

情報元リンク: ウートピ
読書の秋に。小島慶子が推薦するジェンダー問題と向き合うための2冊

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