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親がぼけた、その事実はどう受け止めればいい?【吉田潮】

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父親が認知症になった経験を記録した『親の介護をしないとダメですか?』(KKベストセラーズ)を上梓した、コラムニスト・フリーライターの吉田潮さん。

実際に介護生活に入ってみて実感したのは、「介護はプロに任せるべき」ということ。「子どもは親の面倒をみてこそ」「施設に入れるのはかわいそう」……そんな思い込みや“罪悪感”の上に成り立つ介護は共倒れになることが多いですが、吉田さんはそうではない介護生活を模索しているそうです。

いつか認知症になるかもしれない親のために、私たちができること、「本当にすべきこと」ってなんだろう? 3回にわたって、お話をうかがいます。

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介護はマネジメント

——吉田さんの本を読んで、「介護はマネジメントなんだ」とスローガンのようなものを家族間で共有できれば、揉める場面も減るのかなと思いました。ふんわりと「自宅介護が一番幸せなはず」みたいな幻想に惑わされるのではなく。

吉田潮さん(以下、吉田):銭ゲバな話をしますけど、家族の意識を同じところへ向けるためにお金の話は効果的でしたね。うちは母親が「お父さんかわいそう」「施設には入れたくない」派でしたが、「自宅に週3回介護士さんに来てもらったら、これくらいお金がかかる」「このホームに入ったら、いくら」と、A案、B案、C案といくつか案をつくってプレゼンしたら、一番安い案で納得してくれました。うちの母親がお金にシビアな性格だったから、それに合わせてプレゼンしたのが功を奏したのかも。

——なるほど。

吉田:「家で介護したら、おむつ代が月に何枚でいくらだよね」とか、すごく細かい計算を積み上げて、お金これだけかかります、と数字で見せて。月額、年額でどれだけ違ってくるかを棒グラフにするとかね。

—— “見える化”したんですね。私たちが普段から使っているビジネスの手法が役にたつかも。

吉田:決して公的なものだけが安いとも限らないわけだし、もし有料老人ホームに入れたいなら、「ここの施設、評判が良いらしくてさー」みたいな話から始まり、「お金もね、実は他の有料老人ホームだとこんなにかかるのに、ここならこれくらいらしい」みたいな比較対象を持っていくと説得しやすい。

——これはデキる営業のワザ!(笑)

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介護と感情

——「かわいそう」とか、感情論にもっていくとそれぞれの理想が出てきますが、お金や数字ならみんなが納得できますね。

吉田:そもそもなぜ「老人ホームに入るのがかわいそう」だと思ってしまうのかというと、ひどい施設ばかりがジャーナリズムで取り上げられるからですよね。「親をホームに入れてよかった!」という話はあまりメディアに取り上げられない

だから、前例を作っていかないといけないなっていう、使命感まではいかないけど、そういう意味合いもあってこの本を出したんですよ。親子の絆、家族愛、面倒見るのが親孝行みたいな部分も変えてかなきゃいけないですし。たぶん今の30代、40代はそういう感覚になってきているのでは?

——確かに我々世代は、子育てと介護、ダブルで来る可能性もあるぞという危機感もあるので、感情論よりマネジメントをしっかりしていかねばと、より考えているところはあるかもしれません。

吉田:子供がいるなら、子育て優先。介護に関しては、ちょっとした時間をつくって手続きとか頑張って、あとはアウトソーシングで十分。自分がやらなくてもいいし、それこそ義理の親の介護なんてしなくてもいいと思っていますよ、私は。

——感情論といえば。潮さんはお父さんのことを尊敬していますよね。そのお父さんの排泄物を手で受け止めたり、そういう体験はショックだったと思うのですが、どうやって気持ちを切り替えていったんですか?

吉田:それがね。父は認知症だから、恥の概念が消えているんですよ。ちんことかパーンって出して、うんこまみれでぼーっと立ってて。娘に下の処理をされるのが恥ずかしいとか、見られるのが恥ずかしいという感覚がないんです。父に恥の概念がなくなった段階で、もう私の中では割り切れました

あとね、子育てしたことない私が言うのはおこがましいのですが、なんか子育てっぽいんですよ。もちろん子供ではないんですよ、親なんですけど、なんとなく子育てをしてる人の気持ちってこういう感じなのかしらって思ったりする。オムツをしているし、粗相するのも当たり前というか。子供だからしょうがないなって思うように、認知症だからしょうがないなっていう、なんかそういうところはありますよね。

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——手間がかかるけどかわいい、という感じですか?

吉田:親に対してかわいいって気持ち悪いね(笑)。でも、かわいいという感想が出てくる瞬間もあります。うちの父は、ぼけてまろやかになった。角がとれたんですね。なんか小首かしげて笑うようになって。

スタッフさんにかわいがられるジジイになれよ、という気持ちを込めて、「ニコッと笑顔で感謝を伝えなきゃダメだよ」「ありがとうって言うんだよ」って散々言ってきたことが今、花開き実を結んでいる感じがします。

40代後半の話題はHKH

——今回の本の反響はいかがですか。

吉田:ツイッターでフォローしてくださる人が増えたんですけど、その方たちのプロフィールを見ると、みんな介護生活をしている人たちなんですよね。それを見て、「ひとりじゃないよ」っていう、なんとなく薄く連帯しているんだなって思いました。

——育児中の方たちも、ツイッターでゆるくつながって、お互い励ましあったりグチを言いあったりしていますよね。

吉田:介護も同じ。「こんなことあった」ってつぶやいたら反応をもらえたりだとか。別に個別のやり取りまではしなくていいんだけど、「おっ、介護やってるやってる」って感じで、ただただゆるく連帯できるっていうのが安心ですよね。

安心というか、みんなの頑張りが見えてきますよね。私は基本的にプロに任せきりなので、頑張っているとは言えないかもしれない。でもいろいろな介護のやり方があって、それぞれがみんなきっと模索しながらも自分に合うスタイル、いい方向に向かっているんだろうなと思いたいんですよ。そういう人たちが、顔も名前もどこにいるのかも知らないけど、結構いっぱいいるよっていうこと自体がなんとなくありがたいというか。

——だいぶグラデーションはあるかもしれませんが、共通の話題ができる人たちがいるのは頼もしい、という感覚は理解できます。

吉田:このぐらいの年齢——40代後半——になると、ほうれい線と介護と墓が共通の話題になってくるかな……。墓もね、墓を買うんじゃなくて、墓じまいのほう。

——40代後半からの話題はHKH(ほうれい線・介護・墓じまい)! ほうれい線が入っているのがリアルですね。ここが子宮とかになってくるとぐんとヘビーになりそう。あくまで私の感想ですが。

吉田:更年期のKでもいいんだけど……でも、ほうれい線のほうがうっすら笑えていいよね。深刻すぎず、かといって放っておけないリアルな悩み。もうね、笑えなくなっちゃうとつらいんですよ。もちろん、つらいし大変なんだけど、それだけだと気が滅入るので。

——どんなときでも、笑いというか、ちょっとしたユーモアみたいなのは必要だと思います。

吉田:「ホームの餅つき大会に行ったのに餅食えなかったんだよ~!!」とか、そういうのをネタにしたりね。あと、今日父のところに何持って行こうかな? あんぱんがいいかな? どら焼きがいいかな? とか、ちょっとした自分の楽しみを作るのも必要かな。父が暮らすホームは少し遠くて、都会とは景色が違うのでちょっとした旅気分を味わったり。もし新幹線で行くような距離だったら、私、たぶん毎回いろんな駅弁を買っていったと思います(笑)。

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(取材・文:須田奈津妃、撮影:青木勇太、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
親がぼけた、その事実はどう受け止めればいい?【吉田潮】

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