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結婚ってする人同士で決めるものじゃないの?【家族社会学者・永田夏来さんに聞く】

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私は「桃山商事」というユニットで、女性たちの恋バナに耳を傾け、そこから見える恋愛とジェンダーの問題をコラムやラジオで発信する活動を行っている。

自分自身、これまで結婚にまつわる相談もたくさん受けてきたし、1年半前に縁あって結婚もした。しかし、「結婚とは何か」と問われても、正直どう答えていいかいまだによくわからない。

そこで今回は、現代の結婚観を様々な観点から分析している家族社会学者・永田夏来さんをゲストにお招きした。永田さんとは、2016年にTBSラジオ「文化系トークラジオLife」のトークイベントでご一緒して以来の付き合いで、著書『生涯未婚時代』(イースト・プレス)なども大変興味深く拝読した。

永田先生、結婚ってする人同士で決めるものじゃないんですか?

永田先生(左)、清田さん(右)

永田先生(左)、清田さん(右)

「夫婦」って、他のパートナーシップと何が違うの?

永田夏来(以下、永田):私、清田くんの記事は結構読んでるほうだと思うけど、結婚したこと最近まで知らなかった! どこかで発表とかしてたっけ?

清田隆之(以下、清田):コラムやラジオなど、話の流れで触れることとかはありましたが、芸能人でもないし、大々的に発表するのも変かなと……。

永田:Facebookのステータスは変えた?

清田:いえ、そこも特に……。

永田:なんで変えないの? まずはそこから聞きたいくらい(笑)。でもわかる、「結婚したって人に言いづらい問題」ってあるよね。私もなかなか言えず、しばらく黙ってたもん。

清田:「お前の結婚なんて誰も興味ねえよ!」って思われそうでなんか言いづらいし、言わないと言わないで「まだモテようとしてるの?」とか思われそうだし……って、単なる自意識過剰なんですが(笑)。

永田:私たちのように、芸能人とかではないんだけど、顔や名前を出して発言していると、特に難しい問題かもね。SNSの普及によって生まれたモヤモヤとも言えるし。

清田:それはそれで改めて語らいたいテーマですが……この連載のプロローグで、ひとつの疑問点が浮かび上がってきたんです。それは、様々なパートナーシップの形がある中で、なぜ「結婚」という関係が特権的なものになっているのかという疑問です。これについて、家族社会学者である永田さんにぜひお聞きしたいなと。

永田:清田くんは結婚する前、友達とルームシェアをしていたり、昔は大学の同級生と会社を立ち上げたりしていたんだよね?

清田:そうなんです。桃山商事もある種の「ユニット活動」だし、同業仲間との定期的な集いやいくつかの師弟関係、また15年近く所属している草サッカーチームもあります。そうやって複数の居場所や、ある種の“疑似家族”みたいな関係性を模索しながら生きてきた感があるんですが、そういう様々なパートナーシップの中で、夫婦というものが他とどう違い、何が特別なのか、自分なりに考えてみたいという思いがありまして。

永田:なるほど。現時点ではどんな違いがあると感じてるの?

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永続的な絆ができたとは思えない

清田:例えば前にいた会社は大学時代のサークルをそのまま法人化したものだし、ルームシェアも、大学卒業後すぐに高校の同級生と始めたものでした。当時はゼロ年代の前半でそれらがまだ珍しく、まわりからは“遊び半分”くらいに思われていたんですが、自分としては「みんなが就職や結婚を選択する中、俺は友達と楽しく働いたり暮らしたりするぜ!」みたいな気持ちだったんです。でも、もちろん楽しいこともたくさんあったけど、20代から30代へと年齢を重ねるにつれて価値観や生活スタイルにズレが生じるようになり、どれも永続的なものにはならなかった。永田さんの著書『生涯未婚時代』にも同様の事例が紹介されていましたよね。

永田:そうですね。シェアハウスの実例を紹介しています。

清田:今の結婚生活は、そういう歴史の上に成り立っているという意識があるんです。結婚したからといって切れない絆ができたとも思えないし、関係性をメンテナンスし続けていかないと、知らないうちに気持ちや価値観に大きなズレが生じてしまうかもという感覚もあります。例えば原稿の締め切りが立て込んだり、仕事でしくじって落ち込んだりしているときなど、自分に余裕がなくなってコミュニケーションが疎かになることもしょっちゅうだし……。

永田:なるほど。清田くんはよく「チューニング」って言葉を使っているけど、夫婦生活もルームシェアや友達会社と同様、すり合わせをしていかない限り無条件で続くものではないという感覚があるんだね。それで、「だとすると結婚って何が特別なんだ?」って疑問が生じているわけか。

清田:そうなんです。

永田:結婚とはどういうものかを考えるとき、自分たちの仕事や生活、プライベートな関係なんかに加え、「親族関係」が関わってくるのが一番のポイントなんだよね。恋愛もそうだし、他のパートナーシップもそうだと思うけど、基本的には「自分」や「自分たち」という単位でものを考えていくでしょ。でも、結婚はなかなかそうも行かない。名字を変えるかとか、披露宴はどうするかとか、いろいろ親族たちの意見が入ってくる。これが結婚の特徴だよね。

まわりの期待にどう応えるかというのも大事な問題

永田:私は2回結婚をしているんだけど、最初は20代で結婚していて、清田くんと同じような考え方だったのね。つまり、結婚というのは私たち二人の問題で、自分たちが納得する形でするのがいいと思っていた。私は「新郎新婦の入場です」みたいなのは断固拒否したいタイプで、「披露宴死ね!」くらいに考えていて(笑)。でも仲の良い友達だけには報告したいから、カフェを貸し切ってお茶会みたいなものをやったの。そしたらなんと、私の祖父母が怒ってしまって。

清田:「結婚式をやらないなんて何ごとだ!」的な?

永田:そうそう。私は祖父母にとって初孫で、小さい頃からかわいがってもらっていたのよ。「そんな初孫の晴れの舞台に立ち会えないなんて!」「結婚式やりやがれ!」と怒ってしまって。結局、超仏滅の超〜安い日に、式場が空いてたからそこで式を挙げた(笑)。やはり、まわりの期待にどう応えるかというのも結婚では大事な問題なんだよね。祖父母のように世代の違う人たちって価値観も考え方も違うけど、「祝いたい」「楽しみたい」「晴れやかな心地になりたい」っていう気持ちはあるわけじゃん。それは無下にできないなって。

清田:そうですよね……。僕は20代後半から30歳のときに付き合っていた恋人と結婚をめぐるすれ違いで別れてしまった経験があるんですが、そのとき大きな要因となったのが彼女の親族による介入でした。

永田:何があったの?

清田:大前提として、30歳にもなって5年付き合った恋人との結婚を具体的に考えていなかった僕がヤバ過ぎたとは思うんですが……結婚のことが話題に上るようになっていた30歳のあるとき、彼女の親族が集う場所に呼び出され、「清田くんは結婚のことをどう考えているんだ?」と詰められたんです。内容も結構すごくて、仕事内容や年収についてかなり具体的に聞かれたし、「失礼だけど清田くんの実家の土地を調べさせてもらった」とか言って、相続の話とか、あと親の介護は妹に任せられるのかとか、取り調べのようにいろいろ質問されました。

永田:うわっ、それはひどいね。

清田:しまいには「友達と会社をやってるようだけど、結婚する気があるなら、収入の不安定な文筆業なんて辞めてちゃんとした企業に就職して欲しい」と言われまして……。もちろん腹は立ったし、気持ち悪くすらあったんですが、彼女のことは恋人として大好きだったので、転職すべきか否か、わりと真剣に悩みました。

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一族に加えるかどうか、親族の判断も入ってこざるを得ない?

永田:そのとき彼女はどういう感じだったの?

清田:僕が親族から詰問されてる間、彼女はずっと下を向いたまま無言でした。「どういうことよ?」って当時は疑問だったんですが、おそらく彼女の中には「親族の期待に応えたい」って気持ちがあったわけですよね。何も「高収入のエリートと結婚しろ」ということではなかったと思いますが、いわゆる「ちゃんとした人」との結婚を親族は望んでいて、僕はその条件に当てはまっていなかった。

永田:清田くんの中にも結婚したいという思いがあったんだよね?

清田:彼女には高校生のときから密かな恋愛感情を寄せていて、25歳のときに奇跡的に交際できたという経緯があり、恋愛的には大好きな人だったんですが、その一方で、「この人と結婚するためには転職して、ルームシェアも解消して、ガンガン貯金とかしなきゃいけないのか……それはなんか嫌だな」という思いも同時にあって。だからどうなんですかね、結婚したいって気持ちではいたんですが、より正確には「別れたくない」「このまま恋愛関係を続けていたい」ってほうが実態に近かったかもしれません。

永田:まさに結婚ならではの出来事だよね。これは統計でも出ているけど、日本の結婚って親の発言権が強いんですよ。例えば齋藤直子さんの『結婚差別の社会学』(勁草書房)には、被差別部落出身の男性と結婚すると言った娘に対し、「自分たちは年老いていくから差別されても別に構わないけれど、その結婚によって、あなたのいとこたちが結婚差別を受けたらどうするの?」という言い方をして結婚に待ったをかけた親の事例が紹介されているんだよね。身内を引き合いに出して相手の人生をコントロールしようとすることが、いまだにある。

清田:なるほど、それはキツいですね。

永田:日本における結婚って、さすがに「家と家の結びつき」って色合いは薄くなってきたけど、それでもやっぱり「互いの家のリソースを持ち寄って生活をなんとか組み立てていきましょう」という話ではある。だから親の発言の影響力が強くなっていくわけだよね。元カノの親族が介入してきたのも、家を守らねば、姪っ子を守らねばという意識があったはず。「もしこの自営業のお兄ちゃんが事業でコケたとき、うちがお金を出さなきゃいけなくなるわけ?」って、そこまで考えたかはわからないけど、家族同士って相互扶助の関係にあるから、一族に加えるのが相応しいかどうかって、本人同士の問題だけじゃなく、まわりの判断も入ってこざるを得ないのが難しいところで。

清田:当時はそんな発想まったくなかったです……。「もう大人なんだし、自分のことは自分で決めるべきっしょ!」って無邪気に思い込んでいました。

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*後編は8月21日(火)公開予定です。
(清田隆之/桃山商事)

情報元リンク: ウートピ
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