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炎症がないのに痛みがある!? 「非びらん性胃食道逆流症」とは【消化器病専門医に聞く】

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逆流性食道炎で悩む人がとても増えています。そこで、兵庫医科大学病院の副院長で消化器病指導医・専門医、内科指導医の三輪洋人(みわ・ひろと)医師に病状や原因について連載で詳しくお尋ねしています。

第1回の「燃えるような胸やけ、重苦しい胃痛…逆流性食道炎の症状」、第2回の「太りぎみ、食べすぎ、猫背…逆流性食道炎の原因を消化器病専門医に聞く」の記事には、たくさんのアクセスがありました。読者の皆さんの関心の高さがわかります。

ひき続き今回は、近年、女性や若い人にとても増えているという「非びらん性胃食道逆流症」についてお話を聞きました。

三輪洋人医師

三輪洋人医師

食道は胃酸から自らを守れない

——「逆流性食道炎」とは、胃から胃酸が食道へ逆流して激しい胸やけや胃痛が起こる症状とのことでした。食道には、胃のように粘液が分泌されて胃酸による炎症を防ぐといった働きはないのでしょうか。

三輪医師:はい、食道には胃酸から自らを守る働きがほとんどありません。食道にとっては胃酸が逆流して上がってくること自体、想定外なのです。そのため、食道の粘膜は胃酸にさらされると刺激を受けて、「びらん(ただれ)」や炎症が起こりやすくなるわけです。

「異常なし」でも胸やけが続く「非びらん性胃食道逆流症」が急増

——食道がケガをしているイメージですね。そこまでは理解しました。ところが、胃酸が食道に炎症を起こしていないのに、胸やけや胃痛などの激しい症状が現れるタイプの病気もあると聞きました。

三輪医師:はい、あります。逆流性食道炎とは、胃食道逆流症という病気のうちのひとつのタイプを指します。こちらはこれまでお話ししたように、食道に炎症が起こって痛みや違和感が現れる病気で、このタイプの患者さんの食道を内視鏡で調べると、食道の粘膜にびらん(ただれ)や炎症が生じています。そのため、「びらん性胃食道逆流症」と呼ぶこともあります。

ただし、内視鏡検査で確認しても食道に炎症がみられない、「異常なし」であるにも関わらず、胸やけや酸っぱいものがこみあげてくる呑酸(どんさん)や、胃酸の逆流感覚などがある人がいます。このタイプはびらんがないのに胃酸が逆流しているようなつらい症状が見られるため、「非びらん性胃食道逆流症」と呼びます。

後者の場合、かつては「とくに異常はありません」と診断されることが多かったのですが、いまでは治療法があり、生活習慣の改善をしながら症状の改善が可能になっています。

——つまり、「胃食道逆流症」には、「逆流性食道炎」と「非びらん性胃食道逆流症」の2種の病気があるということですね。

三輪医師:そうです。胃食道逆流食道症のことを英語でGastro Esophageal Reflux Diseaseといい、医療関係者はこの頭文字をとって「GERD(ガード)」と呼んでいます。

一方、非びらん性胃食道逆流症は、Non-Erosive Reflux Diseaseの略で、「NERD(ナード)」と呼びます。最近、病院などで耳にされることもあると思います。

以前は、NERDはGERDの軽症だと誤解されることもありましたが、多くの研究や医学調査でそうではないことがわかっています。

また、週に2回ほど胸やけなどの症状が続く人の約60%は非びらん性胃食道逆流症だという統計があり、いまこちらのタイプが急増していることが知られてきました。

内視鏡で口のほうから食道と胃のつなぎ目を見た画像。つなぎ目が少しだけ開いでいることがわかります。目で見た限り「異常なし」の状態ですが、胸やけなどの症状がある場合は「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」との診断がつきます。画像:兵庫医科大学病院(転載禁止)

内視鏡で口のほうから食道と胃のつなぎ目を見た画像。つなぎ目が少しだけ開いでいることがわかります。目で見た限り「異常なし」の状態ですが、胸やけなどの症状がある場合は「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」との診断がつきます。画像:兵庫医科大学病院(転載禁止)

こちらは、食道に炎症(びらん)が生じている「逆流性食道炎(GERD)」の状態。12時の方向に縦に赤いびらん(ただれ)が見えるので、逆流性食道炎と診断されます。この画像の場合、その程度は比較的軽く「軽症」に分類されます。画像:兵庫医科大学病院(転載禁止)

こちらは、食道に炎症(びらん)が生じている「逆流性食道炎(GERD)」の状態。12時の方向に縦に赤いびらん(ただれ)が見えるので、逆流性食道炎と診断されます。この画像の場合、その程度は比較的軽く「軽症」に分類されます。画像:兵庫医科大学病院(転載禁止)

非びらん性は若い人、女性、やせ型、ストレスフルな人に多い

——それにしても非びらん性胃食道逆流症は、異常がないのに胃酸の逆流感覚があるとは不思議な現象に思います。

三輪医師:くり返しますが、胃酸が多く逆流すると食道粘膜は障害され、炎症によってびらんができます。ですから、びらんができていないということは、逆流する胃酸の量があまり多くないということです。

しかし、少ない胃酸でも症状が現れる人がいるわけです。この非びらん性胃食道逆流症になりやすい人の傾向は、多くの研究で明らかになっています。それは、「比較的若い人」「女性」「やせ気味の人」「ストレスが強い人」、また、「お酒をあまり飲まない」「たばこを吸わない」人という傾向もあります。

これらの人は食道の感じ方が敏感なので症状を感じやすいと言われています。前回(第3回)でもお話した、いわゆる知覚過敏が原因と考えられます。また、症状はストレスによって悪化すること、ストレスによって知覚過敏がさらに強くなるからではないかと考えられています。

——そうすると、食道に痛みを感じる度合いには個人差があって、それらの人は痛みを感じやすいということでしょうか。

三輪医師:そうです。食道の違和感の覚えかたは個人差が大きいのです。胃酸が逆流しても異常を感じない人もいれば、わずかな胃酸でも胸やけなどの症状を感じる人もいます。

セルフケアや治療では、まずはストレスを緩和することが重要になります。

聞き手によるまとめ

逆流性食道炎と言えども、食道に炎症など異常がないのにつらい痛みがある「非びらん性胃食道逆流症」という病気があり、実はこちらの患者さんが急増しているということです。逆流性食道炎は肥満体型で中高年に多いということでしたが、非びらん性では女性や若い人、やせ型の人に多く、しかもストレスが影響しているそうで、同じ症状でも患者さんの対称性が浮かび上がります。

次回・第4回は、ほかの病気と間違いやすい危険な症状についてご紹介します。

(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)

情報元リンク: ウートピ
炎症がないのに痛みがある!? 「非びらん性胃食道逆流症」とは【消化器病専門医に聞く】

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