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娘のパンツを洗うお父さん、息子のお姫様抱っこを受け入れるお母さん

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『負け犬の遠吠え』(講談社)や『男尊女子』(集英社)など、話題作を発表し続ける酒井順子さん。最新刊『家族終了』では、タイトルの通り家族をテーマに、さまざまな角度から変わりゆく日本の家族スタイルについて考察されています。

刊行を記念して、3月26日に代官山 蔦屋書店(東京都渋谷区)にて、ライターの武田砂鉄さんとのトークイベントが開催されました。このイベントの様子を全3回に分けてお届けします。

第1回:逃げ切りおじさんは本当に逃げ切れるのか?

酒井順子さん(左)と武田砂鉄さん(右)

酒井順子さん(左)と武田砂鉄さん(右)

同居人のパンツを洗えるか

酒井順子さん(以下、酒井):今どきのお父さんは、娘のパンツやブラジャーを洗うことに抵抗がないようですね。そういう環境に慣れている子ども世代が、新しい男女のあり方を作っていくのでしょう。

武田砂鉄さん(以下、武田):その話を聞いて、学生時代を思い出しました。自分の家では全員花粉症がひどく、シーズンはマスクが手放せなかったのですが、洗って繰り返し使うタイプのマスクを、全員で使い回していた。洗濯後は確かひとつの箱に入っていて、みんなそこから使っていたんです。

酒井:仲良し家族だったのですね。

武田:今思うとなかなか気持ちが悪い(苦笑)。

酒井:今の生活で、パートナーのパンツは洗っていますか?

武田:別に分けては洗っていないですね。干すのも、たたむのも特に意識したことはありません。

酒井:私は男の人と一緒に住んでいるのですけれども、最初のうちは自分のパンツやブラジャーを相手に干したりたたんだりしてもらうのに抵抗があって、自分の下着は自分でたたんでいたんですよ、「たしなみ」が邪魔をして。でもあるとき、これを乗り越えなきゃいけないんじゃないかと思った瞬間があって、洗濯物を放置してみたら……。

武田:どうでしたか?

酒井:普通にたたまれていました。それも、私がするより丁寧に。

武田:その、「ファーストたたみ」は見なかった?

酒井:そうですね。特に何も言わず、淡々とたたんでくれていました。昔の女性雑誌は、女としての「舞台裏」は男に見せないほうがいい、という言説でしたから、多少不安はあったんですよ。女として見られなくなるのでは、的な。けれど、パンツごときで女に幻滅する男性は、もっと生々しい出産や介護といった現場で、何もできなくなるはず。

そう思うと、全ての男性が女のパンツをたためるようになっておいたほうがいいだろうと思うわけです。それで日本男性の性欲が萎えて少子化がますます進むのなら、日本もそれまでの国ということで……。武田さんは、どういった感覚でパンツをたたんでいるのですか?

武田:何か減点対象になるとか、逆にポイントアップするというような感覚は自分にはありませんが、それによって距離が生まれる2人もいるのでしょうかね。

酒井:以前は、「ノーメイクの顔を見せない妻」もいましたよね。夫よりいつも先に起きて、身だしなみを完璧に整えてから夫を起こすような。ところが今、そういった「異性に隠しておくべきこと」は、どんどんなくなっているように感じます。生理の話にしても、ちゃんと男の人にも話しましょうって。秘密がなくなれば、「わかってもらえない」といった不満も、我慢も、減ってきます。

“マザコン”はどこに消えた?

武田:そうですね。ああ、そういえば『家族終了』の中で驚いたのが、母親に対する息子の「最後に僕が感謝をしたい人は……、お母さんです」というエピソード。

酒井:それは大学時代に所属していた体育会の部のとある会での出来事なのですが、現役学生が壇上でスピーチをしたとき、「感謝したい人」として「お母さん」をあげ、そのお母さんを壇上に呼び寄せてハグ。私は「今どきの親子ってこんなことになってるの!」と卒倒しそうになったのですが、学生達は特に驚いた様子もありませんでした。

私の年ごろだと、お子さんが高校生、大学生という人も多いのですが、とあるサッカーチームでも、卒業するときに息子がそれぞれの母親をお姫様抱っこして写真に撮るのが恒例行事なんですって。

武田:それは地獄ですね(苦笑)。

酒井:イヤだと言う息子も親も、いないそうなんです。私が学生時代のころは、親が試合を見に来るなんて考えもしませんでした。何なら、親に試合結果を伝えることもしなかったと思うんですよ。その私世代の人たちが、現在の10代後半から20代の親なわけで。この間に親子関係はずいぶん変化したし、それが「父親が娘のパンツを洗うようになった30年」なんですよね。

武田:それにしても、お母さんをお姫様抱っこですか……。中高時代の授業参観で、母親に「(本名をもじった)ヒロくん」と呼びかけられて、家に帰ってから、怒った記憶がありますね。家の中だけにしてほしい、って。「母親とは距離がある自分」を最低限演出していた気がする。

酒井:私たちの世代も、どんなにお母さんが好きでも、「マザコン」と言われるのが恥ずかしくて、男子は母親に反抗するフリをしていたもの。でもその羞恥心を克服したのが、今どきの「ママっ子男子」というらしいですけれども。「マザコン」という言葉も、めっきり聞かなくなりましたしね。

武田:そうですね。使う場面が少なくなってきたかもしれないですね。

酒井:昔だったら「マザコン」と言われたであろう仲良し親子が、微笑ましく見つめられているのが、今という時代なのですねぇ。

母の手料理が食べたいとこぼした兄

武田:酒井さんのお母さまが亡くなられたときに、誰よりもお兄さんがショックを受けていたという記述もありましたね。

酒井:そう。一般的に「母親は息子のほうがかわいい」とよく言いますが、私の家では母の不倫離婚騒動の影響もあって、兄と母はそんなにべったりとした間柄ではありませんでした。むしろ仲が悪かったと思っていたのですが、母がほぼ突然死のような形で他界したときに、思いのほか兄がショックを受けて。「母親が作っていた料理が食べたい」などとしんみりした発言をしたりして。そんなおセンチなことを言う人だったのかと驚いたと同時に、異性の親がいなくなるというのは、特に息子にとってはショックなことなのだなと思いましたね。

武田:そうなんですね。

酒井:大人になるときょうだいでしみじみ話す機会が少なくなるものですが、お通夜の夜に兄と2人で話していると「不倫騒動のとき、うちの母親は俺たちを捨てようとしたんだよな」などと、またおセンチなことをつぶやいてまして。実際は、どちらについて行くか決めなさいと一応問われたので、捨てられてはないと思うのですが。

武田:お兄さんの中では、「捨てられそうになった俺」に変わっていたと。

酒井:そうみたいですね。お通夜のとき、私は母の友人に離婚騒動の原因になった人が誰なのか聞きまくったのですが、いまだにわからなくて。

武田:最後まで知らせずに去ったって、なんだかちょっとかっこいい。『家族終了』は、そのお兄さんが亡くなられて、酒井さんの周りに自分が生まれ育った家族「成育家族」が誰もいなくなったことがタイトルになっているわけですが、家族がいなくなったことに対して、今はどう感じていらっしゃいますか?

酒井:若い頃は、家族というものはあえて欲しがったり大切にしたりしなくても、無条件に存在するものだと思っていました。むしろ、うざったい、面倒臭いという感覚だったのですけれども、いざいなくなってみると、それは恵まれた環境で、家族というものは贅沢品であった、と思います。

私は同居している男性はいるけれど、籍を入れてはいないので、法律的な家族ではありませんし、子どももいません。見事に家族が終了した中で、これからの家族というのはどうなって行くのかしらね、ということを考えて書いたのが、『家族終了』なんです。

(写真・構成:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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