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処女のまま妊活ってヘンですか? 『奥さまは処女』刊行対談

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性交経験のないまま結婚し、“性交渉をしない妊活”をはじめた主婦のうなぎさん。その日々のことを綴ったブログをまとめたコミックエッセイ『奥さまは処女』(光文社)が2月25日(木)に発売されました。

「なんで私は“普通”のことができないの?」と葛藤を抱えていたうなぎさん。でも、“普通の妊娠”って何だ? “普通”じゃなくちゃいけないの?

そんな疑問を携えて、生殖心理カウンセラーの平山史朗さんと、妊活のモヤモヤについて語り合っていただきました。

うなぎさん。長くてつらい迷走期を経たのち、シリンジ法キットにより妊娠。

うなぎさん。長くてつらい迷走期を経たのち、シリンジ法キットにより妊娠。

平山史朗さん。生殖心理カウンセラー。臨床心理士として、数多くの不妊や性にまつわるカウンセリングを担当。

平山史朗さん。生殖心理カウンセラー。臨床心理士として、数多くの不妊や性にまつわるカウンセリングを担当。

生殖心理カウンセラーとは?

——平山さんは生殖心理カウンセラーとして20年以上のキャリアをお持ちです。生殖心理カウンセラーとはどのようなお仕事なのでしょうか?

平山史朗さん(以下、平山):日本で不妊の相談というと、ほとんどが看護職の方や胚培養士(はいばいようし)など治療に関する相談を受ける立場の人ですが、私のバックグラウンドは臨床心理士という心理援助の専門家です。不妊や妊活、カップルの関係性やセックスの悩みをお聞きし、抱えておられるストレスや心配事を今よりもうまく対処していく方法を一緒に考える仕事です。

私のように、心理職として患者さんご自身のことや人生のことを一緒に考えていく立場の人間は、まだ日本で50人ちょっとくらいしかいませんので、耳慣れない職業かもしれませんね。

うなぎさん(以下、うなぎ):私も聞いたことがありませんでした。

セックスをしないで妊娠するのは“普通”じゃない?

平山:不妊治療にいらっしゃる患者さんの中には「心理的なケアより、とにかく妊娠を」と考える方も少なくありません。実際、私が働く不妊治療専門の「東京HARTクリニック」にいらっしゃる患者さんの8割は体外受精を希望されますが、多くの患者さんは当然ながら妊娠を期待して来院されますので、みなさんがカウンセリングを希望されるわけではありません。

うなぎ:体外受精ですか……。私は処女のまま26歳で結婚、30歳でシリンジ法*の妊活を始めて32歳の今、処女のまま妊娠しているのですが、セックスをしないで妊娠するのはやはり、珍しいことでしょうか?

*専用のキットを使って精子を膣内に入れる方法

平山:同様の経験がある人が多いか、少ないかという割合だけで言えばマイノリティになりますが、「セックスを介さずに妊娠する」というなら、人工授精や体外受精だって同じこと。最近では“未完成婚*”で妊娠される方も増えてきています。

*婚姻関係にある夫婦の間に結婚後一定期間以上を経ても、何らかの理由で膣性交が一度もない状態

——ということは、シリンジ法で妊娠される方も増えている?

平山:うなぎさんのようにシリンジ法を試す人は、不妊治療施設を受診する人の中ではまだ少ないかもしれませんね。性交障害で病院に相談に行くと、人工授精の提案が先にきてしまうので。そのまま人工授精を試す人がほとんどだと思います。うなぎさんは1回だけ専門医に診てもらったんですよね?

うなぎ:はい。でも逃げてきちゃいました……。不妊クリニックって、私にとってはハードルがすごく高かったんです。「お気軽にご相談ください」というホームページのキャッチコピーを真に受けて、「治療するかどうか悩んでいる」と相談するつもりで電話したら、「そんな段階で電話してきたの?」と言わんばかりにものすごい勢いでまくしたてられてしまったのもショックでした。

平山:それはショックでしたね。残念ながら、「治療したいかどうかわからない」「妊娠したいかどうかもよくわからなくなってきた」という人が不妊クリニックに相談すると、怒られたというケースも聞きます。「そんな甘い考えではダメですよ!」と言ってしまう看護師さんやドクターもいる。私は、医療者としてはふさわしくない対応で、傷つく患者さんがいらっしゃることは問題だと思っています。

妊娠したいか、自分でもわからない

うなぎ:では、「自分は妊娠したいのかもわからないし、不妊治療したいのかもわからない」という人はどこに相談に行けばいいんでしょうか?

平山:私のようなカウンセラーのところに来てくれればいいんだけど、残念ながらアクセスできる方はまだまだ少ないんですよね。今危惧しているのは、不妊クリニックが生き残りをかけて潜在的な不妊の方を掘り起こしているので、その結果、本当は不妊治療をしないという選択肢もあるはずなのに「不妊治療しないとダメなんじゃないか」と追い立てられる方が増えるかもしれないということ。女性だけでなく、男性も含めて。

——まだ妊娠を迷っていたり、大金を払ってでも不妊治療に入りたいとは思えない方たちが意思決定するためのケアが、あんまり整ってないという感じなのでしょうか?

平山:そうですね。そもそも、病院を選ぶのも難しいじゃないですか。ホームページを見ても、病院の成績は出ていませんし。アメリカなどでは、体外受精の成績を施設ごとに公表しているのですが……。

うなぎ:やっぱりハードルが高い……。病院選びの段階からハードルが高いですし、もしカウンセラーさんやセラピストさんに相談できたとしても、緊張して何もしゃべれないと思うんです。ブログの読者の方からコメントで「第三者を介して夫婦で相談しなさい」と言われ続けていたんですが、私は勇気が出なくて。それで、できない自分を責めて、追い込まれてしまいました

平山:「よかれと思って」アドバイスしてくる人の中には一部悪意がある人もいるけど、悪気がない人がほとんどで、だから「そのアドバイスを実行できない私が悪いんだろう」と思いがちなんですよね。本当は違うんだけど、そう思っちゃう。これは「よかれと思って」の罠ですね。

うなぎ:自責せずに済む方法はあるんですか?

平山:真面目な人ほど周りの声を真正面から受け止めてしまうので、それがクセになっている人が簡単に変わるとは言えないのですけれど……。カウンセリングでは、受け取り方のクセを見直して変えていったり、自分に自信をつけていくことで他の人の意見に左右されずに受け流していけるようなスキルを身につけることができますよ。もちろん、その人ごとにやり方は違うので、あくまで一般的なアドバイスを言うと「悪いコメントは受けとめる必要がない」。いちいち受け入れずに、「この人の人生と私の人生は違うんだし」って思えればそれでいいんです。

「違いを間違いにしない」

——日本ではまだまだカウンセリングへのハードルが高いと感じています。とくに不妊やセックスレスの問題だとパートナーの理解も必要ですし、自分ひとりで行くより難しいですよね。

平山:アメリカみたいに、カウンセラーの存在がかかりつけ医みたいに当たり前になっていればいいんですけど、日本ではなかなか。私のところにいらっしゃる方でも、セックスに限らず夫婦の問題となると、奥さんだけというケースが多いです。

あと、ちょっと問題視されているのが、夫婦カウンセリングを受けたことで離婚が促進されたという海外の論文も出ていて。これはカウンセラーの腕の問題でもありますが、夫婦お互いの違いを際立たせていくようなカウンセリングをすると、「もうこれは別れるしかないよね」ってなってしまうんです。

——そういうデータを知っていると、「カウンセリングに行きたくない」って人も増えてしまいそうですね……。

平山:でも、相手の嫌だと感じる部分は、よく考えてみると、もともとその人を好きになったときに良いと思った部分でもあったりします。たとえば、物静かな点を好きだと思って結婚したら、反応が薄くて物足りなくなってしまうとかですね。なので、「相手と違うから、この人にはわかってもらえないんだ」で済ませるのではなくて、「違うから面白かったんだろうし、すごく興味を持ったんだ」「じゃあその違いをどう自分で受け入れられるのか」と思えるようにカウンセリングをしていくことが大事かなと思っています。

「自分にはないところだから、自分に取り入れればもっと自分が広がるな」とか「成長できるな」と思えればいいわけじゃないですか。私の師匠の言葉で「違いを間違いにしない」という言葉があります。「私とあなたは違う」というときに「私は正しくて、あなたは間違っている」と読み替えちゃうとダメなんですよね

うなぎ:心に響きました。「違うから惹かれた」というところが特に。私も、「パートナーが自分のことわかってくれない」とひとりでもがいていたんですが、「自分と違うからわかってもらえない」と悲観するより、相手と自分の違いを受けとめていきたいです。

平山:理解って、「違う」から始まるんですよ。違いがなくて、同じところでずっと「同じだね」って言っている間は、全然関係って深まらない。相手との違いがあってこそ、関係が深まっていくんですよね。

第2回は2月26日(金)公開予定です。
■TENGAヘルスケアのシリンジパック「Seed in」発売記念で、平山先生が妊活コミュニケーションについて語った記事はこちら(外部リンク)
(構成:須田奈津妃、編集:安次富陽子、取材協力:TENGAヘルスケア

情報元リンク: ウートピ
処女のまま妊活ってヘンですか? 『奥さまは処女』刊行対談

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