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内視鏡とレントゲン、逆流性食道炎の検査はどっちがいいの?【専門医に聞く】

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読者から届く「逆流性食道炎がつらい」というお悩みの声にお応えし、改善する方法について、兵庫医科大学病院の副院長で消化器病指導医・専門医、内科指導医の三輪洋人(みわ・ひろと)医師に連載でお尋ねしています。

前回の第14回では、編集部スタッフS(38歳・女性)の経験談を含めた内視鏡(胃カメラ)検査の方法や目的などを紹介しました。その後、複数の読者から「内視鏡検査はつらそう。レントゲン検査なら痛くないのでは」という質問を受けました。今回はその点と、健康診断などで行われる検査の実際についてお尋ねします。

三輪洋人医師

三輪洋人医師

X線検査はバリウムの流れを透視する

——複数の読者からの質問です。「日ごろから胃酸の逆流では、と思う症状があります。次の健康診断で初めて胃の検査を受けますが、内視鏡検査かX線検査か、どちらかを選ぶということです。内視鏡は痛そうで、X線のほうが体に負担がないと思うのですがどちらがいいでしょうか」 

内視鏡検査の詳細は第14回の記事を読んでいただくとして、ここではまず、X線検査では何をどうするのかを教えてください。

三輪医師:2015年までは、健康診断で受ける胃の検査は「X線検査(胃透視検査・バリウム検査・胃レントゲン検査)」のみでしたが、2016年以降は、「内視鏡検査」かX線検査かを選べるようになりました。どちらも、食道・胃・十二指腸の病変を診断するための検査です。

X線検査をバリウム検査と呼ぶことがありますが、バリウムとは検査前に飲む薬品で、白いどろっとした液体の名称です。造影剤ともいい、X線を透過しません。そのため、バリウムが口から食道、胃、十二指腸へと流れる様子を動画で観察しながら、通り道が狭くなっていないかなどを調べます。

——X線検査では、検査台(寝台)に横になってから、前後左右斜めなどに台ごと体をドタンバタンと回転させますよね。「右を向いて」とか「うつぶせに」「今度はあおむけに」などの指示通りに体を動かす必要もあります。あれはけっこう苦痛で、初めて検査を受けたときにはびっくりしました。

三輪医師:説明もなくそうしたことを強いられると驚かれると思います。ただそれには理由があります。体を回転させてバリウムを食道や胃の粘膜に付着させ、その影から、胃や食道に炎症がないか、かいようやがんによる粘膜の凹凸はないか、胃酸の逆流はないかなどを見ています。

——X線検査で逆流性食道炎かどうかの診断はできるのでしょうか。

三輪医師:逆流性食道炎のほとんどはX線検査では診断ができません。よほど重症の場合には診断が可能なこともありますが、日本人の逆流性食道炎の9割以上は軽症型なので、逆流性食道炎の診断には無力だと言えます。そのため、X線検査で「逆流性食道炎がない」と言われたとしても、あまり安心できません。

X線検査、内視鏡検査の画像の違いは?

——X線検査の画像は白黒で、内視鏡はカラーですよね。

三輪医師:そうです。次の画像例を見てください。X線検査では白黒の影絵のような画像で、立体感がないので平坦な病変や色の異変は認識が難しいのです。内視鏡の場合は食道や胃の内部を高性能なビデオカメラで観察するため、わずかな粘膜の凹凸や色、また模様の異変を認識することができます。

X線検査による画像  提供:兵庫医科大学病院 転載禁止

X線検査による画像 
提供:兵庫医科大学病院 転載禁止

内視鏡検査による画像  画像提供:兵庫医科大学病院 転載禁止

内視鏡検査による画像 
画像提供:兵庫医科大学病院 転載禁止

——明らかに内視鏡のほうが内臓の状態がわかりやすいですね。

三輪医師:そうです。健康診断ではなく、逆流性食道炎の症状があって医療機関を受診された場合で検査が必要であれば、内視鏡検査を受けていただいています。また、健康診断でX線検査を受けられて異変が見つかり、医療機関を受診された場合も同様です。とくに早期の胃がんは内視鏡検査での発見に優れています。そのため、人間ドックでは内視鏡検査がメニューに組み込まれています。

X線検査のメリット・デメリットは?

——健康診断ではどちらかが選べるということは、X線検査にもメリットがあるのでしょうか。

三輪医師:患者さんにとっては、「検査時間が短い」「麻酔や鎮静剤なしで行える」「苦しくなさそう」というイメージがあるでしょう。ただ、現在では経鼻内視鏡や鎮静内視鏡が普及しているので、内視鏡検査もとても受けやすくなっています。

また検査をする側にとっては、X線検査の場合はレントゲン技師が流れ作業で行うため多くの受診者の検査が可能だったという背景があります。

ただし、X線検査は次のようなデメリットがあります。

・診断精度が内視鏡検査に比べて圧倒的に劣る。内視鏡検査では5~6mmの胃がんや早期食道がんが見つかることが少なくない一方で、X線検査で見つかる胃がんのほとんどは20㎜以上であるといわれる。内視鏡検査が直接に胃内を観察するのに比べ、X線検査は影をとらえるので診断も難しい。

・また、X線検査では生検(生体検査・第14回参照)ができないので、病変が見つかった場合は次に内視鏡検査を受ける必要があり、二度手間になる。

・被曝がある。もちろん胃のX線検査の放射能被曝量はわずかで許容範囲だが、できるだけ被曝は避けたい方も多い。

・発泡剤の次に飲むバリウムがまずい。またドロドロしていて飲みにくい。最近は味がついて飲みやすくなったが、それでも苦痛という声が多い。

・バリウムを体外へ排出するために検査後に下剤を処方され、下痢をする人もいる。下剤を飲まないと便秘をしやすい。

——結論は明快ですね。

三輪医師:これまでの説明のとおり、できれば内視鏡検査を受けていただきたいと思います。費用は健康診断では内視鏡のほうが少し高い設定が多いようですが、自治体や企業によってはどちらも同額にする、あるいはどちらも無料という場合もあるので事前に確認してください。

聞き手によるまとめ

食道や胃の状態を知るにあたって有意義なのは、明らかに内視鏡検査のほうだということです。とくに、どこかに異変が見つかった場合にはけっきょく内視鏡検査を受ける必要があるという二度手間は避けたいところです。筆者も、「痛そうなので内視鏡は嫌だ」と思っていましたが、前回(第14回)に紹介した内視鏡検査の目的や手順、費用と今回のお話しにより、次の健康診断では内視鏡を選ぼうと決心した次第です。

次回・第16回は、さらに逆流性食道炎の検査法である食道pHや内圧の測定について紹介します。

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

情報元リンク: ウートピ
内視鏡とレントゲン、逆流性食道炎の検査はどっちがいいの?【専門医に聞く】

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