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僕たちは「よかれと思って」失敗する【一徹・清田隆之対談】

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女性向けAV作品に数多く出演し、「エロメン」として人気を博すAV男優の一徹さん。

新著の『セックスのほんとう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、等身大の失敗エピソードを開示しつつ、「男らしさ」「女らしさ」から自由になってセックスを楽しむことを提案しています。

一方、ウートピではおなじみの桃山商事の清田隆之さんの新著『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』(晶文社)。こちらも私たちのジェンダー観をアップデートするための補助線となってくれる一冊です。

セックスについて、ジェンダーについて、失敗について。お互いの本を読んだ感想も含めて、じっくり語り合ってもらいました。

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男優発の「AVはファンタジー」発言

——今回は、一徹さんの『セックスのほんとう』と清田さんの『よかれと思ってやったのに』をクロスオーバーさせたお話ができればと思います。たとえば、「AVはファンタジー」とわかっていても、それに影響を受けている人は多いし、「よかれと思ってやったのに」ということも多いのではないでしょうか?

一徹さん(以下、一徹):そう、大抵の場合が「よかれと思って」やっているんですよね。

清田隆之さん(以下、清田):一徹さんの『セックスのほんとう』を拝読して、「よかれと思って」やっている男性たちにメッセージを届けるために、すごく丁寧に言葉を選ばれているなと感じました。性に関する偏見や間違いはきちんと指摘しつつ、かと言って男性を責め過ぎるわけでもない、繊細で優しい言葉づかいが印象的でした。そして何より、一徹さんの体験や失敗談が土台になっているのが大きいですよね。

一徹:ありがとうございます!

清田:AV男優さんはよくも悪くもヒーローみたいな扱いをされることがありませんか? たとえば僕が男子校に通っていた中高時代は加藤鷹さんがそんな存在になっていて、鷹さんの指使いをマスターするぞとか、鷹さんレベルまで己のテクニックを磨けば女の人は喜ぶんだ、みたいな話がまことしやかに語られていました。

そういう歪んだかたちでヒーロー推しされてしまう可能性のあるAV男優さん自身が、「あれはファンタジーだし演出です。作品だからそれ相応の見せ方で、画面で映えるようにしているんです。本当はあの体位だと奥まで入らないし、表情も見えないよ」と具体的な理屈でリアルとファンタジーに一本線を引いてくれた。

一徹:僕はAVにすごく恩があるので、リアルな側面を表に出すことには実は消極的だったんです。どこまで言っていいのか、バランスをとるのにはすごく苦労しました。

——元AV女優の麻美ゆまさんが「AVはファンタジーです」と明言されていましたが、引退されてからの話ですよね。現役の一徹さんがそういうことを話すのはたしかにバランスが大変そうです。

一徹:でも、実は加藤鷹さんも言ってるんですよ。「AVのマネなんかしちゃだめだ」って。鷹さんは「女性は優しく扱うものだ」と、まさに僕がこの本で書いているようなことを伝えたかったそうなんです。でも、わかりやすさ、キャッチーさという点で、ゴールドフィンガーや潮吹きのイメージのほうが先行してしまった。

「ゴールドフィンガー加藤鷹」「1万人をイカせた男」というイメージが強くて、本当に伝えたいことが伝えられなかったことに対し、「加藤鷹の敵は加藤鷹だ」とおっしゃっているんです。本当に言葉のセンスがある方ですよね。

——(人気ホストの)ROLANDさまばりの名言!

一徹:ですよね(笑)。ちなみに、現役女優では紗倉まなちゃんもAVがファンタジーであることを発信しています。みなさんがそうやって下地をつくってくれていたので、僕も発信に踏み切れたのだと思います。

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僕も「すぐ不機嫌になる男」です(一徹)

——一徹さんは、清田さんの本をどう読みましたか?

一徹:これはもう! すべて僕に当てはまっていて、読むのがつらくて! 読み始めては何度も休んで、目次を見て読めそうなところを選んでみたり、やっぱり読むのをやめたり……というのを何回も繰り返しました。ここまで自分の過去を掘り起こして書いてあるのはすごい。清田さんにしてみれば、リストカットみたいなものですよね?

清田:たしかに……(笑)。この本は女性たちから聞いた「男に対する不満や疑問」をエピソードベースでたくさん紹介しているんですが、自分にもブーメランが刺さりまくりで、きつかったですね、書くのが……。

一徹:読むだけでもこれだけきついんですから、書くとなればその何倍もきついでしょうね。読んでいて耳が痛かったところばかりなのですが、例をあげるならば、「すぐ不機嫌になる男たち」の章。「なぜ都合が悪くなると黙り込むのか」という一文だけで、「俺だ!」と思って(苦笑)。

僕は、「怒ってるんでしょう?」と言われて「怒ってないって」と無口になるタイプなんですよ。ほかにも、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が遅すぎる男たち」の章も、身に覚えがありすぎて消えたくなりましたね。

——清田さんはパートナーへの相談もなしに人参スライサーを買ってあきれられたそうですが、一徹さんもそういうことをやっちゃうタイプですか?

一徹:やっちゃいます。この間は、焼肉のバーナーを衝動的に買っちゃいました。炙りサーモンとかできたらおいしそうじゃないですか。これでいろいろな食材をおいしくできると思って買ったんですが……まだ封を開けてもいない(笑)。

清田:バーナー! たしかにあれは男子心をくすぐるアイテムですよね……。

一徹:焼いたあとに蓋をして、煙でいぶすとまたおいしくなるらしいんですよ! 燻製みたいに、全然別物になるんですって。香りが決め手。

——熱弁されていますけど、まだ一回も使っていないと(笑)。

一徹:はい(笑)。

清田:でも、わかります。「すごいらしい」っていう情報の段階で興奮してしまうんですよね。ただ、実践するかどうかにはもう一段階踏み込みが必要という(笑)。

一徹:本当に耳が痛いです……。

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失敗を自分ごととして捉えられるか

——清田さんの『よかれと思ってやったのに』は、「男たち」と銘打ってはいますが、「これ私に当てはまる!」という女性からの感想も多いらしいですね。そして、男女問わず、この本を読んで反省する人としない人がいる。

清田:確かに反応が両極端に分かれるんですよね。

一徹:そこの差は何なのかと考えてしまいます。

清田:何だろうな……。男性と思しき方からは、「こんなの、女でもいっぱいいるじゃん!」っていうご立腹な反応がありました。Amazonレビューでも、★1つで怒りのコメントが何個かついていました。

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——それ、図星だからじゃないですか?

清田:う〜ん、どうなんですかね。「著者の土下座に付き合わされる本」という辛辣なレビューもあり、ガーンってなったりもしました。

一徹:耳が痛いこと、失敗してしまったことを自分ごととして捉えられるか否か、なのかもしれませんね。それができる清田さんはすごいなと思います。

清田:そう言っていただけると励みになります……。書いているうちに自分のイヤなエピソードを思い出しちゃったりするんですけど、それを書くと「こいつクソなんじゃないか」と思われるかもしれないという恐怖もあって、自分をよく見せたくなる気持ちがわき起こるんですよ。

でも、ダメな部分やしょーもない部分をボカして書いても内省の結果にはならないので、そこはちゃんと明かさなきゃなと、自分にムチを打って書きました。

一徹:たとえば、清田さんが女友達のセクハラ被害を傍観してしまったというエピソードが印象に残っています。年上の男性とカラオケをしてるときに来てくれたノリのいい女友達が、その男性にセクハラをされていたのを目撃したのに、「大丈夫だろう」と見て見ぬふりをしてしまった……。

清田:20代の頃、仕事でお世話になっている代理店のおじさんから打ち上げで「女の子呼んでよ」と言われ、女友達に頼み込んで来てもらったんですよ。カラオケに行って、おじさんたちから腰に手を回されてるところとかは見えていたんですけど、彼女はノリがいい人で、その場も盛り上がっていたので、「場慣れしてるんだろうな」と勝手に解釈してやりすごしてしまったんです。彼女には、帰り道でめっちゃ怒られました。「イヤだった」って。

一徹:「自分には見えてなかったけど、彼女は腰に手を回されていたようで……」とボカして書くこともできるのに、隠さずに自分ごととして書いていましたね。

清田:明らかに「見て見ぬふり」をしてしまったので……。本にも登場してくれたセクハラ問題の専門家である金子雅臣先生によれば、僕の取った行動はある種の典型なんだそうです。つまり、男性社会における上下関係を優先し、自分が担うべき責任や役割を放棄する男性が多いと。そういった問題に接続する話だと感じたので、ありのまま書かなくてはと……。

一徹:正論を「自分はできるのに、なんで君たちはできないのか」って言われるよりも、自分の傷を見せつつ導き出した正論のほうが、読むほうの心にスーッと入ってきます。

清田:こういう話を書くときって、「俺はできるのに、なんで他の男たちはできないのか」っていう、俺はひとつ上のステージだぜ感というか、物言いが無意識で上から目線になってしまうことがあって、それが恐ろしい。そうならないためにできる唯一の手段が、自分の体験を掘り起こすことだったのかもしれません。

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(構成:須田奈津妃、撮影:青木勇太、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
僕たちは「よかれと思って」失敗する【一徹・清田隆之対談】

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