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伝えたいのは「自分が快適に過ごすためのメイク」六多いくみ

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コスメブランドのBA(ビューティーアドバイザー)を経て、現在は少女マンガ家として活動する、六多いくみさん。

百貨店の化粧品売り場を舞台にした『リメイク』(マッグガーデン)、『カワイイ私の作り方』(日本文芸社)、『メイクはただの魔法じゃないの』(講談社)など、BAの経験を活かしたテーマの作品を数多く生み出しています。

最終回は、メイクを「義務」に感じてしまう風潮や、六多さんの育児中のメイク事情について話を伺いました。

いきなり「義務」と言われても

——メイクって、中高時代は校則で禁止されていることも多いのに、社会人になってからいきなり「義務」「身だしなみ」になりますよね。

六多いくみさん(以下、六多):強制されるメイクには私も抵抗があります。「就活メイク」だって、急に必要になるのはおかしいですよね。本当に必要なことなら、学生任せにせず、授業で教えるなどきちんとフォローしてあげてほしい。

——ノーメイクで会社に行くのは「マナー違反」という風潮、まだまだありますよね。

六多:もし会社が「マナー」や「義務」と言うのなら、コスメ代補助があってもいいですよね。プチプラコスメもあるとはいえ、一式揃えると結構な額になりますから。私としては、そんな風潮をなくして次の世代をどんどんラクに、自由にしたいという気持ちがあります。とはいえ、日本は“社会の声”がうるさくて、なかなか自分自身に集中しにくいですよね……。

けれど、無理にメイクしなくていい時代がそのうち来るのではないかなと思うんです。女性の客室乗務員に対して、化粧を義務づける規則を撤廃したイギリスの航空会社もありましたよね。誰にだって、おしゃれする日としない日があるし、仕事には関係ない。身だしなみとしてのメイクをしなくても、清潔感さえあれば問題ないと私は思います。

——自分で選択できるようになるために、六多さんは、具体的にはどのようなアクションが必要だと考えますか?

六多:メイクより、スキンケアを重視して、若い時にきちんとそれを学ぶ場が必要だと思います。男女関係なく。私としては、若い世代に向けて、スキンケアの教材になるようなマンガもいつか描きたいですね。

——スキンケアを重視。

六多:日本はまだちゃんとしたスキンケア文化が根付いていないですよね。ニキビも、隠した結果また肌が荒れてしまうような、負のスパイラルもある。大気汚染物質や、紫外線から肌を守るための授業も必要だと思います。スキンケアは自分のベースになるはずなので。

画像はイメージ

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鏡を見るのがツラい

——メイクやスキンケア以前に、自分の顔にコンプレックスを抱えている人も少なくないと思います。まずその気持ちを軽くするには何ができると思いますか?

六多:たしかに、コンプレックスが強過ぎて、自分の顔を鏡でしっかり見られないという子もいますよね。受け入れるのは難しいけれど、毎日じっくり鏡を見て、「自分の目はこういう形だからこのメイクが似合うんだ」と、肯定を繰り返してあげるといいと思います。

——メイクで変わった自分を肯定する。

六多:はい。似合うメイクをしていれば、他人から褒められることも増えます。褒められる体験を増やすと、コンプレックスを忘れられる時間も増えるのではないかと。

私もずっと自分の目が嫌いだったんです。でも、眉メイクをきっかけに、苦手意識を手放すことができました。昔は細眉だったので、アイメイクはしっかりと行うのが定番でした。その分、好きじゃないパーツと向き合うことが多かった。でも、しっかりした眉の流行が来て「あれ? 目を無理して盛らなくてもいいんじゃない?」と気づいて。眉メイクを洗練してから、コンプレックスが薄れていきました。

——ピンポイントでなんとかしようとするのではなくて、トータルで調和させる。

六多:そうですね。あとは、メイクを褒めてくれる人が身近にいるといいと思います。私の夫は、アイラインを変えたことも気が付いてくれるんです。褒められる体験を重ねることで、少しずつ自信もついてきますよ。

画像はイメージ

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自分が一番快適でいられるメイクを伝えたい

——六多さんは、昨年お子さんを出産されました。出産直後はなかなか人にも会えないですし、メイクへの興味も薄れがちになりませんか?

六多:私は家にこもって作業をしている育児中の漫画家だけど、ひとりで過ごすときも、肌が綺麗だと純粋にうれしいのでできるだけメイクをするようにしています。今はBBクリームとか、石鹸で落ちるミネラル系コスメがマストアイテムですね。

——さすがですね。

六多:10ヶ月になる子どもの世話をしていると、たしかに以前よりコスメやメイクのことについて考える時間は減りました。仕事の量もセーブしていますし。時々、「メイクも美容も頑張れていない私がメイクマンガを描いていていいのかしら……」と思ってしまうこともあります。

でも、洗顔後のつるんとした肌が好きだし、たまにきちんとメイクできた日の達成感は格別。この生活だから気づけることもあるし、新しいコスメを買うときのときめきは変わっていません。

——欠かさずメイクを続けられるのはどんなモチベーションで?

六多:BBクリームなどを使ってベースメイク欠かさないのは、スキンケアの一環でもあります。私の場合は肌が弱くて、すっぴんでいるとエアコンの風や乾燥した空気、紫外線などの外的刺激に負けて肌荒れしやすい。だからベースメイクだけはできるだけするようにしているんです。家から一歩も出ない日も、絶対に下地と日焼け止めだけは欠かさないようにしています。

でも、無理はしないとも決めていて「今は命を育てているから、それだけでえらい!」「さらにはBBクリーム塗って眉毛まで書いたなんて最高!」って思うようにしているんです。メイクを通して自分を思いやることで、自己肯定感をあげています。

——メイクで自分をいたわっているんですね。そういう明るい気持ちは大切かも。

六多:鏡を見たときにコンディションがいいとやっぱりうれしいじゃないですか。洗顔したらちょっと顔が明るくなったとか、それくらいから楽しめればいいなと。

自分の作品では「どうしたら手を抜きながら、楽しくメイクができるかな?」と探求しています。人に見せるためではなく、自分が快適に過ごすためのメイクですね。やっぱり、強いられる美容ってしんどいですから。

今後もマンガを通して、メイクが楽しくない人にも「ラクな方法があるよ!」と伝えていきたいです。今だから描ける話もあると思いますし、これからも自分なりにやっていければと思います。

(取材:小沢あや、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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