コラムニストの桐谷ヨウさんによる新連載「なーに考えてるの?」がスタートしました。ヨウさんがA to Z形式で日頃考えていることや気づいたこと、感じたことを読者とシェアして一緒に考えていきます。第12回目のテーマは「M=Money(お金)」です。
浪費家の自分がやっておいてよかったこと
今日はお金の話をしようと思う。
お金ってパスポートだ。お金で幸せになれるかはその人次第だけど、少なくとも不幸になることを避けることはたやすくなる。
いちばんの効用は「選択肢が増える」ことだろう。食べたいものを食べるときに予算を気にしないで済む。どこかに行くときにより快適な手段を選べる。お金を持っていないと代替案を選べないけれど、持っていれば選ぶ権利が生じる。そう、自由を獲得するためのひとつの方法として、お金があるんだろう。
最近では「FIRE(Financial Independence, Retire Early=早期リタイヤ」という言葉が流行っている。少し前に老後2000万円問題が取り沙汰されたが、お金の悩みは尽きないもんなんだろう。
ちなみに俺は浪費家である。20代はずーっと貯められない男であった。金銭感覚がバグっていると何人から言われたか分からない。そんな自分が「これは知っておいて、やって良かった!」という庶民の知恵をシェアしていきたいと思う。
収入を天引き
まずは収入を天引き。ちょっと、聞き飽きてますよね。ここで離脱しないでくださいよ。
『漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』にある通り、古代バビロニア時代から言われてきたことが「収入の1割を貯金」なのである。というのもサラリーマンの生涯年収は中央値で2億円*らしいので、1割を貯金するだけで老後2000万円問題が解決してしまうのである!
そう、あればあるだけ使ってしまうのは古来より変わっていない人間の性質のようだ。バビロン大富豪の教えでは「欲望にはかぎりがない」と書かれている。要は手取りが20万円のときは20万円で買える欲望を、50万円のときは50万円で買える欲望に手を出してしまうのが人間ということなんでしょう。実感ありまくります。
『私の財産告白 本多静六叢書』の日本が誇る財テクの元祖・本多静六は収入の1/4を貯金せよ。雪だるまのもと(資本の元手)ができたら投資にまわせ。こんなふうに言っていますね。
たとえば勝間和代さんは2割を天引きして、投資信託にブチ込め(ドルコスト平均法をもちいてノーロードのインデックス銘柄を対象)と言っています。
人間はリミットいっぱいまで使い切るように習性が出来ているので、「いつかやる」は永遠に来ない。20代の自分自身に教えたい真理です。
銀行口座を複数持つ&統合管理サービスを使用する
今度はテクニカルな観点です。一緒くたに管理しているものは、用途が見えなくなって、管理が破綻してしまいます。
仕事のファイルをなんでもかんでも同じフォルダにぶち込んでいると、わけが分からなくなるのと同じです。
そこで銀行口座を複数持ってください。考えられるのはこのあたりでしょうか。
・給与振込先・生活用の口座(給与が振り込まれたら、必要分を残して即座に別口座に移すのが基本)
・生活防衛資金口座(何かあった際に引き下としてOKな口座。数ヶ月〜半年分の生活費が目安)
・ガチ貯金用の口座(生活防衛資金を貯め終わった後に、どんどん貯めていく貯金口座)
・クレジットカード引き落とし用口座
・金融商品引き落とし用口座
もちろん人によっては貯金用口座はひとつでOKかもしれませんし、生活用口座とクレカ引き落とし口座は兼用してもよいでしょう。また、金融商品はクレジットカードで購入できる証券会社もあります。
とにかく物理的に「お金の居場所」を分けることで、たやすく引き落とせないように障壁をつくってほしいのです。そして、貯金用口座の残高が増えれば増えるほど、そこに手をつける気がびっくりするほど失せる自分に気づくはずです。
そして、それらを家計管理アプリでバーチャルに統合して、可視化します。俺はマネーフォワードMEを使っています。
これで自分が所持している「お金たち」が、スマホ・パソコンから簡単にリアルタイムで確認できるようになります。口座を分けることのデメリット(視認性)は解決できます。
おそらく多くの人は使っていない口座がいくつかあるはずなので、すぐに始められると思います。ちなみに俺は昔からネット銀行が好きなので、新生銀行・住信SBIネット銀行・楽天銀行あたりを使っていますが、なんでも良いと思いますよ。メインになる口座だけは、振込手数料が複数回無料のステージになるようにしておいたほうがいいですけどね。
投資を始める
お金自身にお金を増やしてもらうために、自ら働いてもらう。そのためには投資(投機ではなく、あくまで投資)が不可欠です。
投資は少なからずリスクを伴うため強烈に推奨することはできません。ただ、俺はお金を勉強し直した結果として、始めることにしました。
元手が少ないから投資ができない? いえいえ、そのために国がiDeCoやらNISAやら優遇措置をつくってくれてるじゃないですか。雀の涙ほどの金利で銀行にお金を預けるのは、時間というお金を増やすための資源を無駄遣いしているに等しいです。
かのアインシュタインはこう言ったようです。
「複利は人類最大の発明。 知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」
これくらい投資における複利を活用できるメリットはとてつもなくデカいのです。借金が雪だるま式で増えるように、元手を雪だるま式で増やすことができるのもまた、複利なのです。
たとえばつみたてNISAの年間上限額40万円を、利率5%で25年間まわしたとき、1,900万円に達します。元本は1,000万円なのに。これが複利の力です。実際には5%はそれなりにリスクを取っていますし、信託報酬や税金があります。ですが、貯金と比較した際に絶大な効果があるのは分かっていただけるのではないでしょうか。
オススメの書籍は『図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』と『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』の2冊。
基本戦略としては共通しています。手数料が無料のインデックス投資信託を、なるべく安い信託報酬の投資信託会社から購入する。アクティブ投資はインデックス投資に勝てない。短期間でやめると負ける可能性があるが、長期間(10〜15年以上単位)持ち続けていれば、これまでの前例でいえば、株式市場は結果的に右肩上がりに上昇し続けている。こういった考えになります。
何を買えばいいか分からない人は、こういった情報を見ていくのも良いでしょう。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020」
いずれにせよ、「絶対に勝てる投資」は存在しません。投資の世界における「リスク=価格の振れ幅」であり、高いリターンが得られる可能性があるものは、高い損失を生む可能性があります。
また、素人目にみてもいまの株式市場はまちがいなく高騰しすぎているので、どこかで下落するはずです。実際に手を出すのはそこからでも良いかもしれないですね。
ポイ活
最後は庶民的なポイント活動です。ポイ活の良いところはノーリスクで数パーセントのリターンを得られることでしょう。投資にくらべて天国です。
気をつけることは2つかな。
・ポイントを貯めるために、余計な買い物をしない
・貯まったポイントを消費するために、余計な買い物をしない
当たり前のことなんだけど、うっかりやらかしそうになります(笑)
手を出しやすいところは、クレジットカード。公共料金とか税金とかも全部クレジットカード支払いにして、日常生活の支払いもすべて1枚のカードに集約させて、そのポイント(マイルとか)を徹底的に貯める。
あるいは楽天ポイント・Dポイント・Tポイント・コンビニ各社のポイントを貯めていくとかでも良いでしょう。「経済圏」と呼ばれるように、換金・交換する際の自由度が高いポイントサービスを選べのがコツです。その意味で俺はマイルはあまり使い勝手がよくないので苦手です。
自分は通販で楽天をほぼ使いませんが、それでもクレジットカード・モバイル・インターネット回線・電気ガス・証券口座を利用することで、一時期は10倍までポイント還元率が上がっていました。また、入会ポイントもがっぽりいただきました。
最近では改悪ラッシュで下がっていますが、それでも7倍です。ウマ味はだいぶ減ったと言われていますが(おそらく楽天モバイルの費用捻出のため……**)、現時点ではまだまだ利用する価値があるポイント・サービスだと思いますよ。
ポイ活のために「今までになかった労力が増える」のであれば、それは避けたほうが良いですが、既存の生活スタイルを特に買えないのであれば、切り替え手続きだけで済むので、ぜひトライしてください。ノーリスクです。
俺がフリーランス時代に得た大きな学びは「お金のことは、まずは知ることが大事。そして実際にやってみるだけで得することが多い」ということです。最近ではサラリーマンもふるさと納税を活用する人が増えていますが、ああいった「やらない理由がないこと」にはどんどん手を出していってほしいなーと思ったりします。金脈は身近なところにゴロゴロころがっています。取りこぼさないようにしてください!
*https://hoken-room.jp/money-life/6769
**https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00086/00158/
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情報元リンク: ウートピ
ポイ活から投資まで…浪費家の僕がやってよかったお金のこと