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「努力はちゃんと評価されないと」林真理子から自分を後回しにしてしまう女性たちへ

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中学時代にいじめを受けたことをきっかけに不登校になり、7年間引きこもっている長男とその家族の姿を描いた林真理子さんの小説『小説8050』(新潮社)が4月28日に発売されました。

80代の親が50代になった子供を支えるいわゆる「8050問題」を題材に、ある一家の絶望と再生を描いた物語で『週刊新潮』での連載当時から話題になり、単行本も発売前に重版が決定。8万部を突破しました。

はたから見たら恵まれた生活を送っているかに見える歯科医・大澤正樹は、長女の結婚をきっかけに引きこもりの長男と向き合う決心をします--。

後編では正樹の長女・由依に込めた思いについて林さんにお話を伺いました。

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「努力したことはちゃんと評価されないと」由依に込めた思い

——後編では翔太の5歳上の姉・由依について伺いたいです。由依は中高一貫の女子校を出た後、現役で早稲田の政経に入り、損保会社に入社します。東京出身の家柄の良い一橋卒の男性と出会い、結婚の話が出たところで家族に引きこもりの弟をなんとかするように迫ります。ウートピ読者の中にも由依に自分を重ねて読む人がいると思いますが、由依のキャラクターはどんなふうに作っていったのでしょうか?

林真理子さん(以下、林):由依ちゃんは自分にとって結婚のデメリットにしかならない弟を隠そうとするなど、ちょっと「冷たい」と感じる行動や言動があるのですが、彼女は確実に幸せになる人だと思います。私は努力したことはちゃんと評価されるべきだと思っているので、弟のせいで評価が下がるのはかわいそうなので、由依ちゃんに同情して書きました。

——個人的に私も由依に自分を重ねて読んだのですが、由依のしたたかさが気持ちよかったです。

林:自分で努力して良い大学に入って、良いところに就職して、それなりの男の人を捕まえた。彼女が弟を隠そうと思うのは、当然だと思うんです。

——逆に由依がもっと気が弱い子だったら、つぶれてたというか家族の“犠牲”になっていたかもしれないですね。

林:したたかだけど憎めない人物です。だってこの子は一生懸命勉強したんだから。私が由依ちゃんの年頃の女性だったら同じことをすると思いますよ。何とかまず地固めして、結婚相手の親にはうまくなんとか取り繕う。

——由依は林さんにとって分身みたいなキャラクターですか?

林:そうですね。私自身の性格を取り入れているかもしれない。私がこの年だったら、こういうふうに振舞ってるみたいな。

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「その時の役割を果たしたら、解散したっていいんじゃないの」

——まわりを見ていても家族との関係で悩んでいる女性も多いです。真面目で家族思いで“いい子”だからこそ負担がいってしまうというか、自分を後回しにしてしまう。由依を見習ったほうがいいくらい。そこで林さんに家族との向き合い方を伺いたいです。

林:介護で言えば、どこで切り上げるかがすごく大切な問題だと思います。親の介護が始まると、自分の生活を犠牲にして田舎に帰るという話もチラホラ聞きますが、それはちょっと違うんじゃない? と。もちろん人それぞれだし、事情はあるでしょうが、もし介護が始まったら、公的なものに頼っていいと思いますし、そのために税金を払ってきたんですから。

私は介護の小説も書いていますけれど、本当に介護って終わりが見えないしキリがないんですね。ここまでやろうと思っても、ズルズル引きずられちゃう。だから、週に1回は様子を見に行くと決めたらそれはそれで守って、もし動けなくなったら施設に入るとか今後のことを元気なうちに話しておいたほうがいいと思います。

——まわりに助けを求めたり、手を借りたりするのが苦手な人が多い印象もあります。

林:手を借りなければダメですよね。共倒れになったら元も子もないから。母と娘の結びつきが強いほど、娘は人生をささげてしまって、最後は二人とも生活に困っちゃう。よっぽどの資産があれば別ですが、そんな恵まれた家がどのくらいあるでしょうか? 母と娘って手堅い絆で結ばれていることも多いけれど、いったんクールにならないといけないと思います。

子供が勤めをやめて親の介護をするのも「ちょっと待って」と言いたいですね。仕事は絶対にやめちゃダメ。介護にお金や手間ヒマかけたとしても、公的な手も借りないとダメです。ある程度はお金が解決してくれるので、そのためにも自分で稼がなきゃいけないし仕事はやめないほうがいい。

——家族のことは家族でという風潮や自己責任論も根強いです。

林:小説の中で由依ちゃんに「家族なんて、その時の役割を果たしたら、解散したっていいんじゃないの」って言わせています。そこまでクールになれとは言わないけれど、いったん距離を置いてみるのも大事だと思います。家族だからってべったりするのが幸せとは限らない。距離を置いてみて、それでもやみがたい感情があるのならば、それを大切にするというのでいいんじゃないでしょうか。

夫婦や家族を自分に問い直す

——コロナ禍で在宅時間も増えました。家族との距離感も変わった人もいると思うのですが、林さんは変化はありましたか?

林:私は夜にフラフラ出かけるタイプですが、今はそれもできないし、そもそも仕事が引きこもりのようなものなので実はあまり変わってないですね。夫が出かけないのがちょっとウザいなって(笑)。

——家族や同居人と一緒に過ごす時間が増えたことでの戸惑いの声も耳にします。

林:私は、成人した子供は、家から出ていくべきだと思っているんですね。夫婦がもう一度対になって、そこでいろいろ考え直すっていうのが一番良いのかなって。由依ちゃんの言う「解散」もいいかもしれない。下重暁子さんの『家族という病』が話題となりましたが、家族に引きずられるのはやめたほうがいいんじゃないかって思っています。

子供が自分の手から離れた段階で「何のために結婚したんだろう?」ってもう1回問い直してもいいかもしれない。私たちの年代だと、結婚しなきゃいけない風潮があったからしちゃったけれど、今はしなくてもいいわけだから。しなくてもいい人たちがしたからには、結婚にメリットがないとおかしいですよね。

ただ、結婚の厄介なところはメリット・デメリットだけではなくて情のようなものも出てくること。この情がいろんな決断を邪魔するんですけれど、それも悪いことじゃない。情にすがって「もう何年かはやっていけるかな」と思ったらやってもいいし。子供が独立したときに解散するのもいいんじゃないかなって。

——離婚や解散というとマイナスのイメージがありますが、悪いこととは限らないですね。どんな意味を与えるかは個人に委ねられている。

林:そう。私のまわりには離婚届を出さずに別居している人も多いです。夫が実家に帰って看病するとかね。義両親の介護を“嫁”がしなければいけない時代でもないですし、みんながそれぞれ言いたいことを言ってどんなふうに人生を生きていきたいかを話し合えるといいですよね。

——この本を読んで家族との関係を見直すきっかけになればいいですよね。

林:本当にそう思います。この物語も息子が変化していくにしたがって、今まで見て見ぬフリをしてた夫婦の亀裂が明らかになってくるので。

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「いろんな生き方がある」という言葉に思うこと

——最後に、由依世代の女性へメッセージをお願いします。

林:最近よく耳にする「いろんな生き方がある」という言葉に幻惑されないほうがいいと思います。確かにいろんな生き方があるし、結婚してもしなくてもいいとは思うけれど、その言葉って突き放しているようで愛がない気がするんですよ。「勝手に生きていけば」ってことだから。

——私たちも使うことが多い言葉です。ある意味、とても便利な言葉なんですよね。だからこそ思考停止になる危険性があるのかもしれません。

林:世界で一番貧しい大統領として知られるホセ・ムヒカ元大統領が「人生を1人で歩まないでください」*と言っていたんです。「家族をつくれ」って。私はこの言葉に深い愛を感じました。

*引用元:https://logmi.jp/business/articles/137365#_=_
「それから、ぜひ家族を持ってください。家族というものは、単純に血のつながった家族ということではありません。そうではなくて「考え方の家族」という意味です。同じように考える人です。人生を1人で歩まないでください」

——『小説8050』にも家族に限らずいろんなつながりが書かれていて希望が持てました。

林:家族をつくらない生き方もあると思うけれど、私は「多様性」という言葉に冷たさを感じてしまう。「家族は突き離してもいい」とか「距離を置くのも必要」とか言いましたが、その前に家族をつくってみるのも決して無駄なことじゃない。まずは1回つくってみたらいかがでしょうかね? まあちょっと違ったかなって思えば訂正すればいいじゃないですか。軌道修正なんて全然できます。人生100年時代でこんなに長生きするんだから、一生同じ人と結婚する必要もないしね。そんな感じでいいと思います。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)

情報元リンク: ウートピ
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