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ストレスで下痢と痔のダブルパンチ…どうすればいい?【専門医に聞く】

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ご時勢がら、「うつうつした気分が続いて下痢気味、またリモートワークで座りすぎておしりが痛い……痔かも。ダブルパンチでつらい」という悩みが複数の読者から寄せられました。

大腸肛門病専門医・指導医で大阪肛門科診療所(大阪市中央区)の佐々木みのり副院長に尋ねると、「普段は痔の原因は便秘であることが多いのですが、感染症のニュースが続くいま、不安感や緊張の精神的ストレスによる下痢で痔に悩む人が増えています」とのことです。ストレスと下痢と痔の症状について、またセルフケアや予防法について2回にわたって尋ねます。

自律神経のバランスが乱れて胃腸が過剰に働く

——ストレスが原因で下痢をする人が多いとのことですが、その理由は何でしょうか。

佐々木医師: 胃や腸による消化活動は、自律神経によってコントロールされています。耳にされたことがあると思いますが、自律神経とは自分の意思とは関係なく体に作用するもので、日中や活動モードのときに働く交感神経と、夜間やリラックスモードのときに働く副交感神経があります。ヒトの体は24時間、この2つの神経がバランスを取り合って、心拍や血圧、体温、消化活動などの機能を調整しています。

食べ物の消化は副交感神経が優位であるときに活発になります。仕事で忙しいときや運動中にはトイレに行きたくならないでしょう。それは交感神経のほうが優位になっているからです。

ところが、心配ごとがあったり環境が変わったりでストレスが強くなると、2つの神経のバランスが乱れて、普段なら仕事中など交感神経が優位になっているときに副交感神経が働くようになり、胃腸が過剰に働くようになります。

下痢は「水分が過剰な状態」です。健康なときは消化管の内容物は小腸で水分を吸収して大腸へ送られますが、下痢の場合はその水分が吸収されないまま大腸に送り込まれ、排出されるわけです。

脳がストレスを感じると腸内フローラが乱れる

——腸と脳は密接に関係していると聞きます。

佐々木医師:「脳腸相関」という言葉があります。脳と腸は常に密接に情報交換をし合っている、という意味合いです。脳がストレスを感じると、腸内フローラの状態が乱れる、あるいはその逆もあることがわかっています。

脳が精神的ストレスを感知すると、ストレスに関する神経伝達物質が分泌されて消化管に影響し、腸の働きや運動状態を乱して下痢や便秘などを引き起こします。

肛門クッションがうっ血して腫れ、痔になる

——痔は便秘の場合に多いと思っていましたが、下痢でも発症するのですね。

佐々木医師:下痢だといきまないので、痔にならないと思い込んでいる患者さんは多いのですが、それはイメージにすぎず、間違いです。

下痢をすると肛門にかかる圧力が強くなるため、炎症を引き起こしやすくなります。また、肛門の周囲には、便やガスが漏れないようにクッションのように働く「肛門クッション」と呼ぶ弾力性に富む組織があります。その肛門クッションは、下痢や便秘時のいきみなどで強い負担がかかると、うっ血して腫れてきます。下痢の場合はこれが痔のもとになることがあります。

またたび重なる排便と清拭(せいしき)で肛門周囲の皮ふが荒れてヒリヒリと痛くなることも多いです。

下痢の場合は1日に何度も排便する、数日続くこともあり、うっ血する時間が長くなります。肛門周辺への刺激は普段よりかなり強くなり、常に緊張している状態です。肛門に痛みを感じると、「うっ血しているかも。痔かもしれない」と考えてください。

下痢では「切れ痔」、座りすぎでは「いぼ痔」が多い

——痔には、切れ痔やいぼ痔などがあると聞きますが、下痢の場合はどういう状態でしょうか。

佐々木医師:痔にはその病態によって、「いぼ痔(痔核・じかく)」「切れ痔(裂肛・れっこう)」「痔ろう(あな痔)」の3つの種類があります。

下痢の場合に発症しやすいのは「切れ痔」です。硬い便で肛門の中が切れる通常の切れ痔と違い、肛門の皮ふが切れたり裂けたりします。痛みや出血があり、排便時には強く痛むこともあります。排便後には鈍い痛みがじんと続くことや、慢性化すると肛門が狭くなって便が細くなることがあります。男女ともに見られますが、どちらかというと女性に多いです。

「いぼ痔」は痔の中でもっとも多くみられる症状で、先ほどお話した肛門クッションのうっ血が大きく腫れていぼのようになった状態です。突然に便器が血で赤く染まったり、血の塊が出たりすることがあり、驚かれます。

肛門と直腸の接合部には歯状線(しじょうせん)と呼ばれるギザギザの組織があり、それよりも内側にできた場合は「内痔核」、外側にできたものを「外痔核」と呼びます。

200418_佐々木医師

また、リモートワークで座る時間が長くなっておしりの状態がある日突然悪くなった、急に腫れたという場合は、「血栓(けっせん)性外痔核」という肛門の外側に「血栓(血まめ)」ができた状態が多いでしょう。デスクワーク中におしりにヒリヒリとした表面的な痛みを感じませんか。しかし、排便時の痛みや出血はほとんどありません。痛みのピークは2・3日で、手術しなくても腫れは2週間~1か月で自然に治ることが多いでしょう。慌てずにセルフケアを実践しましょう(後編で紹介)。

肛門の内部の歯状線のくぼみに便が入り込んで化膿し、膿(うみ)が溜まって腫れた状態を「肛門周囲膿瘍(のうよう)」と言い、痛みが強いです。腫れが大きくなると発熱を伴ったり歩けなくなったりするくらい痛くなるケースもあります。

そこから自然に破れて膿が出たり、切開をして膿を出したりすると痛みは無くなりますが、肛門内部のくぼみと膿が出た部分をつなぐ「膿の通り道」ができた状態を「痔ろう」と言います。肛門周囲膿瘍から痔ろうに移行すると痛みはあまりありません。男性に多い症状ですが、男女とも30~40代で下痢をくり返す人にも多くみられます。便秘治療の下剤で下痢をして痔ろうになったケースもあります。

また、痔ろうは免疫力が低下しているときに発症しやすくなります。薬では治らないため、根治させるには手術が必要になります。ただし、ストレスで一時的に下痢を発症している場合は下痢を治すと痔もおさまるため、いますぐ「手術!?」とおそれる必要はありません。

ストレスが強いときには下痢をすることがある、痔は便秘のときだけではなく下痢でも発症する、下痢の場合は皮ふが荒れることによる切れ痔が多いということです。次回の後編では、セルフケアや予防法を紹介します。

(取材・文 品川緑/ユンブル)

情報元リンク: ウートピ
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