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コロナ禍で一変したシニア女性のニーズは? 37万部突破の『ハルメク』がやったこと

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50代以上の女性をターゲットとした月刊誌『ハルメク』。書店販売なしの定期購読誌で、2020年下期の販売部数は3年前と比較して倍増。雑誌不況やコロナ禍という状況にもかかわらず37万2,885部*を記録しました。

『ハルメク』は、1996年に『いきいき』として創刊。2016年に『ハルメク』と名称を変更し、健康、料理、ファッション、お金など50代以上の女性が前向きに生きるための情報を提供しています。

前編に引き続き、後編ではコロナ禍で一変したシニア女性をめぐる状況や、今後取り組んでいきたいことをテーマに、編集長の山岡朝子(やまおか・あさこ)さん(47)にお話を伺いました。

*日本ABC協会『発行社レポート』より

コロナ禍で一変したシニア女性をめぐる状況

——後編では読者に人気のコンテンツについて具体的に伺えればと思います。最近は、デジタルに関するコンテンツが好評だそうですね。

山岡朝子さん(以下、山岡):社会のデジタルシフトが一気に進んでいく中で、『ハルメク』世代はどうしても時代に取り残されがちになります。しかし、コロナ禍においては、孫にも会えなくなり、ビデオ通話をするために「LINE」をダウンロードした方も多かったと思います。「インターネットが使えなくても別にいいわ」と言っていた方も、病院やワクチン接種の予約をはじめ、ネットショッピングや習い事もオンラインになるなど、否応なくインターネットを使わざるを得ない状況になりました。

ところが、デジタル化をサポートしてくれるコンテンツが少なく、『ハルメク』世代が“デジタル迷子”になってしまって……。『ハルメク』では以前から、スマートフォンの使い方など、「シニアのデジタルリテラシーの向上を支援する」ことをミッションとしたコンテンツを提供していたので、インターネットの使い方について特集を組みました。インターネットでのお買い物や、他人とのコミュニケーション方法、調べたいものを調べる方法など、「デジタルについて知りたい」という要望に応えたことで、高評価につながったと実感しています。

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スマホ日記をつけてもらって分かったこと

——2017年7月号から定期的に掲載しているスマートフォン特集も好評と伺いました。最近ですと8月号がスマホ特集号ですが、定期的に特集する上での工夫を教えて下さい。

山岡:スマホ特集では、『ハルメク』世代のスマホ所持率や習熟度、悩みなどを毎回リサーチしています。例えば、今回は約3年ぶりに、読者の方に“スマホ日記”をつけていただきました。1日の中のどのシーンでスマートフォンを使って、どこが便利で、どこにつまずいて、どこにイライラして、どこが分からなかったか。そういう気持ちも含めて日記をつけていただいて、私たちで回収して分析しました。定量調査の結果だけ見ていると、「3年たったからスキルも習熟しているだろう」「次は新しいことをやってみよう」という考えになりがちですよね。そこで、“スマホ日記”をつけていただくのが、『ハルメク』らしさだと思います。

——「今回はこれができたから次回はもう少し複雑なことを…」とレベルアップしていけばいいというわけではないのですね。

山岡:ガラケーからスマホに切り替えたばかりの方や、子供にすすめられて仕方なくスマホにしたが何ができるのか分からない方もいらっしゃいます。そのため、「どこでつまずいているのか」「何に困っているのか」ということを毎回調べることから始めています。スマホを使える方に向けてではなく、あくまで困っている方に何をお届けするべきなのかということを常々考えています。

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——今回の“スマホ日記”で、新たな発見はありましたか?

山岡:今回は、「3年たっても初心者レベルのことでつまずいている」ということと、「3年間使ってきたからこその新しい悩みが生まれてきている」という、二つのことが分かりました。初心者レベルの話で言えば、「どうもタップが下手らしい……」という新たな発見がありましたね。ギュッと押してしまうと、変なウィンドウが開いてイライラしてしまったり。そこで、「どのくらいの強さで押すのがいいのか?」を識者の方と相談して、一番分かりやすい説明として、「指の腹でゴマを拾い上げる力加減で押すのがポイントです」としました。また、検索がまだまだ苦手ということも分かりました。適切な検索ワードが分からず、望む結果が出てこないんです。

もう一つの「3年使ってるからこその新しい悩み」は、スマホの中がごちゃごちゃしているのが嫌だということ。『ハルメク』世代は、“いらないものは処分してスッキリ暮らす”ことを美徳としているので、スマホの中に使わないアプリがたくさんあったり、アプリの通知や未読メールがたまってくるのが嫌なんです。そのため、1日1回、未読メールやいらない写真などを削除する時間を設けている方もいらっしゃるくらいで。でも、大事なメールを削除してしまったり、失敗も多い。だから、そういった方に向けて、「不要なメールを削除しなくても、必要なメールにお気に入りのマークを付けたり、名前を付けて分類しておけば、後で検索しやすくなる」ということをアドバイスしました。

90万人分のワクチンを提供「古着でワクチン」が大反響だった理由

——『ハルメク』では通販もされていますよね。通販部門とはどのような取り組みをされているのでしょうか?

山岡:最近の新しいトピックとして、『ハルメク』通販サイトで「古着でワクチン」という取り組みを行っています。古着の回収キットを購入して、古着を詰めて送り返すと、最終的に途上国の子供たちにポリオワクチンが寄付されるという仕組みです。元々は、認定NPO法人の取り組みだったのですが、片付け特集でご紹介したところ、ものすごい反響をいただきました。「クローゼットにパンパンになっている服を捨てたいが、今まで捨てられなかった。でも、子供たちのワクチンになると聞いて、捨てる決心がついた」とおっしゃる方が多くて。

——おお!

山岡:ただ、そちらの認定NPO法人では、受付がインターネットのみだったため、当社のお客様センターにたくさん問い合わせのお電話をいただいたんです。「インターネットが使えないから、『ハルメク』のお客様センターで対応してくれ」という要望が殺到して。そこで、認定NPO法人と相談して、『ハルメク』のお客様センターで申し込みを受け付けて、当社の倉庫から回収キットをお客様に送るということを始めました。

——ハルメク世代にとっては何が魅力的だったのでしょうか?

山岡:なかなか捨てられなかった服も「ワクチンになる」と思うと、どんどん回収袋に入れることができるんです。つまり、家はすっきりするし、社会貢献にもなる。そこが良かったんですね。でも、仕組みとしては、お金を払って回収キットを買って、服も寄付するという形になります。本当に服を捨てたいだけであれば、ゴミに出してしまえばお金の負担はないわけですが、「お金を払ってでも人の役に立つなら」と参加してくださった。びっくりするくらいの申し込みをいただいて、新しい気づきがたくさんありました。

——社会貢献したい気持ちと服を処分したいという読者のニーズがかなうプランだったのですね。

山岡:現在は、認定NPO法人との取り組みをさらに発展させて、『ハルメク』オリジナル版の「古着でワクチン」を提供しています。「回収キットの袋が大きすぎて運べない」というお声があったので、袋を少し小さくして運びやすいサイズにしました。また、1キットにつきワクチン5人分という設定を、『ハルメク』の「古着でワクチン」では15人分に増やしています。そうすることで、またさらに多くの方が申し込んでくださっています。私たちに経済的利益があるわけではありませんが、読者の方が喜んでくださるし、子供たちにワクチンも寄付できて、やりがいのある事業だと感じています。おかげさまで現在までで、約90万人分のワクチンを提供することができました。

——「物を売る」通販で「服を捨てる」という、逆の発想ですね。

山岡:そうなりますね。「古着でワクチン」をきっかけに、初めて『ハルメク』通販サイトを利用された方もたくさんいらっしゃるくらいです。コロナ禍の片付けブームや終活ブームもあり、「服だけでなく、食器や本も寄付したい」といったニーズもあるので、これからもいろいろな取り組みについて情報を届けていきたいですね。

『ハルメク』が取り組んでいきたいこと

——素晴らしい取り組みですね。では最後に、今後の『ハルメク』についてお聞かせください。

山岡:ありがたいことに発行部数はぐんぐん伸びていますが、一方で、10年後を考えると、「紙媒体は読まない」世代が60代の中心になってくる時が来ます。何か知りたいことがあれば、「本や雑誌ではなく、インターネットで検索する」という世代が、60、70代になることを見据えて、今から準備をしなければならないと思っています。

その一つが『ハルメクWEB』です。紙を介さないだけで、シニア世代の悩みにこたえるという役割は同じ。良質な記事で『ハルメク』のファンになってもらうことに力を注ぎたいと考えています。検索して興味がある記事だけを読むサイトではなく、雑誌と同じようにメディアを読む感覚で楽しんでもらったり、参加していただけるような世界観を作り込みたいなと思っています。また、雑誌『ハルメク』と同様に、『ハルメクWEB』でも会員制のコンテンツサービスのようなことができないかなと考えているところです。

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(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)

情報元リンク: ウートピ
コロナ禍で一変したシニア女性のニーズは? 37万部突破の『ハルメク』がやったこと

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