「キウイハズバンド」という言葉を聞いたことはありますか? ニュージーランド(NZ)の国鳥キウイにちなんだ言葉で、子育てや家事をよくやる夫を指します。
NZといえば、同国で3人目の女性首相のジャシンダ・アーダーン首相。先日、長年のパートナーであるクラーク・ゲイフォードさんと婚約を発表しました。クラークさんは「専業主夫」を務めています。
“家庭と仕事の両立”が女性に「だけ」求められたり、いまだに家事と子育て・介護は女性の役割と決めつけられたりしている日本の現状からすると「うらやましい!」と思わずため息が出ますが、NZの実際のカップルや夫婦はどんなライフスタイルを送っているの?
というわけで、現地のカップルにお話を聞いてみました。
NZはベトナム料理がブーム
今回、取材に応じてくださったのは、前回スーパーマーケットツアーで買い物の仕方について教えてくれた管理栄養士のエイミー・ジャッド(29)さんと、夫で心理カウンセラーとして働くマット・ジャッドさん(29)。
NZの国民的フルーツ、キウイフルーツ(キウイ)を使った料理のデモンストレーションをしながら、普段の家事分担などについて話してくれました。
エイミーさんに教えていただいたのは、「ゴールドキウイとアボカドサルサのブルスケッタ」「BBQステーキ&グリーンキウイとブロッコリーのサラダ」「キウイフルーツスムージー」です。
キウイといえば、日本ではそのまま食べるくらいしか選択肢が思い浮かびませんが、NZではサラダや肉や魚のソース、スムージーなどいろいろな食べ方がされています。前々回の記事でご紹介したとおり、食物繊維が豊富で血糖値のコントロールに役立つ、まさに“国民的フルーツ”です。
エイミーさんによると、最近のNZはアジア料理がブームで「特にベトナム料理が人気」とのこと。
今回ご紹介する料理はキウイフルーツのほか、ショウガやアボカド、長ネギ、パクチーなど日本でもおなじみの材料を使ったものばかり。食物繊維が豊富で食後に血糖値の急激な上昇を抑えてくれるのでダイエット中の人にもオススメです。気軽にぜひ試してみてください。(レシピの詳細は2ページを参照)
一週間の献立は管理栄養士のエイミーさんが担当
——料理は二人ですることが多い?
マット:エイミーが管理栄養士なので、一週間の献立を考えてくれます。僕も手伝うようにしています。
——日本では家事分担でもめることが多いのですが、お二人はどうしていますか?
エイミー:その週、誰が忙しいかによって決めています。一方が料理して、もう一方がリラックスしていることもあるかな。
——日本は忙しい人が多いので、ハードルを上げ過ぎないで少しでも「楽すること」が大事なのかなと思っています。NZはどうですか?
エイミー:NZでは「ミールキット」がはやっています。材料とレシピが入っていて、作るだけのキットなのですが、うちでも使ったことがあります。
料理は「あるものでなんとかする」
——日本ではNZの“キウイハズバンド”が憧れの的になっています。
エイミー:NZもまだまだ(性別役割分担の)伝統的な家庭もあると思うけれど、共働きが多くなってきているからそんなふうに進化していくのは必然だと思います。
結婚して7年目になるのですが、結婚した当初はマットが作れる料理は一つか二つだったんです。マットは7人兄弟で育ったから料理をしたことがあまりなかったみたい。だから、最初は私たちも多少はもめてました(笑)。
でも、私は職業柄、キッチンで過ごす時間が多いし、マットにもいろいろ教えたかったしやってほしかった。だから「きっちりレシピどおりにしなくていいから手伝って」と言いました。
マット:料理は母親任せだったからほとんどやったことがなかったんだ。だから、最初、エイミーに「手伝って」と言われたときは食材や調味料をきっちり量って作っていたんだけど、途中から考えが変わりました。
——どんなふうに変わったんですか?
マット:レシピどおりに正しい料理を作るというよりは、新しいものをクリエイトするという感覚になりました。
エイミー:クリエイティブのほうが楽しいんですよね。マットも最初はフラストレーションを感じていたと思うけれど、今は二人とも「今、目の前にあるものでなんとかしよう」という思考になっている。そのほうが環境にもやさしいでしょ。あるものでなんとかするというのが重要だと思っています。
マット:間違いなく今のほうが楽しいな。ちょっとミスしても大丈夫ってわかったから(笑)。
——「正しさ」よりも「楽しさ」が大事ってことですか?
エイミー:もちろん限界はあるけどね。黒焦げになって食べられないとか。でも、いろいろやってみれば楽しいし、それが満足感にもつながっているのは確かです。
パッションを共有したいから「一緒にやる」
——マットさんは「エイミーは料理のプロだから、自分は料理にタッチしないでエイミーに任せる」という選択肢はなかった?
マット:うーん……なんていうのかな、そういう選択肢はなかったな。エイミーは管理栄養士で食べ物がパッションの源となっている。だからこそ、そんな経験を一緒にしてみたかったというか、一緒にやってみたかったんだ。
——生活で大事にしていることは?
エイミー:私もマットも仕事が終わる時間が決まっているから、仕事が終わった後の夕方、一緒に過ごせる時間を大事にしています。
取材を終えて
「NZの男性は生まれたときから“キウイハズバンド”なのでは?」と思って取材に臨んだのですが、NZのカップルに直接お会いして、最初は、特にマットさんは、試行錯誤をしていたと聞いて親近感を覚えました。
一番印象に残ったのは「エイミーのパッションを一緒に体験したかった」というマットさんの言葉。今回はたまたまエイミーさんが管理栄養士ということで、料理も彼女の専門分野だったのですが、「料理は彼女の仕事」とパートナーに丸投げしないで「取りあえず一緒にやってみる」という姿勢を目の当たりにして、誰かと一緒に暮らしていく、人生を共にしていく上で大事なことを教えてもらった気がします。
(取材、文:ウートピ編集部:堀池沙知子)
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情報元リンク: ウートピ
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