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「寄付を日常に」私がひとりじゃないよPJを立ち上げた理由【小島慶子】

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恋のこと、仕事のこと、家族のこと、友達のこと……オンナの人生って結局、 割り切れないことばかり。3.14159265……と永遠に割り切れない円周率(π)みたいな人生を生き抜く術を、エッセイストの小島慶子さんに教えていただきます。

第30回は、5月に小島さんが呼びかけ人となり発足された、シングルマザーを支援する情報サイト「ひとりじゃないよプロジェクト」について。サイトを立ち上げるきっかけや、寄付に対する思いについてつづっていただきました。

あしなが育英会のニュースを見て考えたこと

このほど、仲間たちと寄付サイト「ひとりじゃないよプロジェクト」を立ち上げました。コロナ危機で困っている女性と子どもを支援する活動を行っているNPOを掲載し、寄付を募るサイトです。女性や子どもたちを支援している全国各地の20団体ほどの情報を掲載し、掲載団体は随時追加されています。

私がこのプロジェクトを始めたきっかけは、親を亡くした子どもの進学支援を行うあしなが育英会が、コロナ危機で生活に困っている遺児家庭を支援するため、全奨学生約6500人に15万円ずつ、総額10億円を支給すると決めたニュースを見たことでした。

素晴らしい取り組みだと思う一方で、死別ではないひとり親家庭の子どもたちにはどのような支援があるのだろうかと気になりました。調べてみると、ひとり親家庭のおよそ9割は離別や未婚などが理由です。そして多くの家庭が貧困の問題を抱えていることがわかってきました。

非常時には、もともと脆弱な立場にある人たちが最初に大きな影響を受けます。世の中全体が不安な今、ひとり親世帯はどんなに不安なことでしょう。

一方で、コロナ危機で収入にダメージがなく、給付金を申請するのを迷っているという人の声も聞こえてきました。そこで私は、不安な家庭と給付金の使い道に迷っている人を「寄付」でつなげないかと考えたのです。

信頼できる団体をどのように見つけるか

政策が隅々まで行き渡るには時間がかかります。困っている人にすぐに届けるなら、給付金を申請して、その中から無理のない金額を支援団体に寄付する方が早い。

ただ、寄付しようと思ってもどんな団体があるのか、信用できる団体なのか悩む人も多いでしょう。そこで、NPOに詳しい仲間たちと寄付サイトを立ち上げ、困窮している女性と子どもたちに今すぐに必要な生活支援、学習支援、安全な場所の確保を行っている団体のリストを載せようと思いました。サイトに来て、活動に共感した団体に寄付をする。それも社会とつながる方法です。

人と接触するボランティア活動ができないコロナ危機をきっかけに、日本でももっと気軽に寄付をする習慣が根づけばいいなという思いもあります。阪神淡路大震災が起きた1995年は日本のボランティア元年と言われますが、2020年が日本の寄付元年になるかもしれません。

6月に入り、街は通常に戻りつつあるように見えますが、6月末で雇い止めとなる派遣社員も多く、雇用は一層厳しくなります。生活困窮者の支援を行っているNPOもやいによると、コロナ危機で初めて貧困に陥った人が多く、「まさか自分が」という精神的ダメージから、なかなか生活保護などの公的支援に繋がれないそうです。

中でも女性の困窮は深刻です。3月の総務省の労働力調査では、前年同月比で男性の非正規労働者が2万人増だったのに対し、女性はなんと29万人も減少。このうち25万人は子育て世代です。

日本では、母子世帯の51.4%が相対的貧困状態にあり、貧困線のさらに半分に満たない収入で暮らすディープ・プア世帯は13%にもなります(2018年 独立行政法人労働政策研究所・研修機構調査)。母子世帯の平均就労収入はおよそ200万円。養育費の支払いを受けているのは、24.3%に留まります(2016年 厚生労働省調査)。加えてコロナ危機で失業したり大幅な減収となったりして、シングルマザーは極めて厳しい状況に置かれています。

支援者が支えなければ、貧困の連鎖を止められない

母子家庭の支援を行うNPOしんぐるまざぁず・ふぉーらむには今「手持ちの資金が底をついた」「食べるものがあと米2合しかない」「子どもに水を飲ませて空腹を凌いでいる」などの切羽詰まった声が寄せられています。そうした家庭には、同団体を始め、各地のNPOが食糧配布などの緊急支援を行っています。

子どもたちは休校中に学習の遅れが大きくなり、ネットに接する時間が増えたことによる性的搾取の被害リスクが高まっています。ひとり親世帯や経済的に厳しい家庭では、そうした子どもたちへのケアはなかなか行き届きません。生活を維持するのも苦しい中で、親が仕事も家事も学習のフォローも全てをこなすのは到底無理です。支援者が支えなければ、子どもの教育の機会が失われ、貧困の連鎖を生んでしまいます。

相対的貧困状態にある日本の子どもは、7人に1人。沖縄県では3人に1人にもなります。見た目にはわからなくても、困窮家庭の子どもは、他の子どもが当たり前のように手にできる学習や進学の機会を得られません。コロナ危機で、そうした格差がさらに拡大することが懸念されています。「自分の周りにそんな女性や子どもはいない」と思うかもしれないけど、身近なところに困っている人たちは確実にいます。

日本は、先進国の中で最も男女格差が大きい国。女性は就労の機会や収入が男性より少なく、子どもを育てながら働き続けられる環境は整っていません。離婚して子どもを引き取っても養育費がちゃんと支払われないことが多い。もしも子どもが病気になったら? 残業しなくてはならなくなったら? 自分が病気になったら? 近所に頼れる親族などがいなければ、それまで通りに働き続けることすら難しくなります。

結婚していた時は普通の暮らしを送っていた女性が、離婚した途端に困窮することも珍しくないのです。

性風俗産業は女性のセーフティネット?

非常事態で最初に打撃を受けるのは、もともと社会で弱い立場に置かれていた人たちです。その中には、多くの女性が含まれています。しかし「結婚すれば、男性の収入があるのだから」「いざとなったら体を売ればいい」などの偏見から、女性の貧困は軽視され、深刻な社会課題として認識されてきませんでした。

人身取引被害の相談支援を行うNPOライトハウスによると、困窮した女性が、役所の窓口で「生活保護を申請する前に風俗店に行っては」と言われるケースもあるそうです。他に選択肢がない中で性風俗店で働き始め、性的搾取に遭う人や、やめたくてもやめさせてもらえない人も。しかも世間からは「自分で選んだのだから」と自己責任を問われます。コロナ危機で困窮した女性が性風俗店に働きに来ることを期待するような話をした男性タレントもいましたね。

性風俗産業は女性のセーフティネットになっていません。長く働ける仕事ではなく、心身の健康リスクも大きく、社会からの偏見もある。安全で持続可能な働き方ができる環境が整っているわけではないのに、安易に「女性は風俗で働けばいい」というのは、困っている人を突き放すことになります。そこで働いている人も、働きたくない人も、必要なときに助けてもらえるようにしなくては、都合よく使われるだけになってしまいます。

今、食べるものがない。子どもの居場所がない。誰に相談すればいいのかわからない。困り果てているときには自力で声を上げることもできません。そんなときに頼れる支援を提供してきた団体が、全国にたくさんあります。しかしコロナ危機では人との接触が制限されているため、通常の支援活動が行えず、物品の配送やオンラインでの対応への切り替えなどでコストが数倍にもなっています。助けが必要な人は増えているのに、支援者の活動資金や人手が足りません。それを賄うのが、寄付なのです。

心の健康のために人助けをしたっていい

寄付したい気持ちはあるけど家計に余裕がないという人は、情報をシェアすることでも支援になります。ひとりじゃないよプロジェクトのサイトには、掲載している団体代表のインタビューや、賛同人からのメッセージ動画もあります。話を聞いて、それまで知らなかった社会課題に気づくこともあるでしょう。知ることが、誰かの力になります。

天気の良い日に久々の外出で美味しいランチを楽しんだら、同じ額をどこかに寄付するのもいいかも。直接駆けつけることができなくても、クリック一つで、しんどい誰かに「あなたのことを思っているよ、ひとりじゃないよ」と伝えることができます。

不安な時や落ち込んだときには、自分と向き合うよりも他人のことを考えて、わずかでも役に立つことをすると心の健康にいいそうです。出社うつでドヨーンとしたときにぜひ、覗いてみてください。いろいろな熱い思いを持ったNPOがあると知るだけでも、気持ちが前向きになります。

そして今困っている人は、サイトに記載した中にもしかしたら力になれる団体があるかもしれません。気になる団体があったら連絡をとってみてください。

【小島慶子さんの新刊情報】

佐藤愛子さんとの往復書簡『人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか ~女二人の手紙のやりとり~』(小学館)と、
『VERY』の人気連載をまとめた『「もしかしてVERY失格!?」完結編 曼荼羅家族』(光文社)が刊行されました!

情報元リンク: ウートピ
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