リモートワークや副業の解禁、フリーランスの増加など、多様化が進む令和時代の働き方。「このままでいいのかな?」と誰もが自分の生きる道を考えているのではないでしょうか。
このたび、自分らしい仕事や固定観念にとらわれない働き方を見つけた女性たちにスポットを当てたインタビュー集『これが私の生きる道! 彼女がたどり着いた、愛すべき仕事たち』(世界文化社)が2020年1月25日(土)に発売されました。
本書から、会社員と歌人、二足のわらじを経験した服部真里子(はっとり・まりこ)さんのお話を紹介します。
1987年生まれ、神奈川県出身。早稲田短歌会、同人誌『町』を経て、未来短歌会に所属。第24回歌壇賞受賞。第一歌集『行け広野へと』(2014年、本阿弥書店/2018年、電子書籍版:文藝春秋)にて、第21回日本歌人クラブ新人賞、第59回現代歌人協会賞受賞。『遠くの敵や硝子を』(2018、書肆侃侃房)
趣味が仕事になるなんて
——あなたのお仕事は?
服部真里子さん(以下、服部):飲料メーカーの経理です。以前は歌人としても活動していて、二足のわらじ状態でした。その当時は、平日はフルタイムで飲料メーカーの経理をこなし、夜や休日を歌の仕事にあてていました。副業とはいえ、歌をつくる以外にも、短歌雑誌の原稿やカルチャーセンターの講師の掛け持ちなど、かなり忙しい日々。それが私には少しオーバーワークだったのか、体を壊してしまって。短歌の仕事は残念ながら休業中なんです。
——Wワークになった経緯は?
服部:まったくの偶然です。「お金をもらって人生の自由を買いたい」 と思っていたので、大学卒業後は普通に一般企業へ就職しました。短歌はあくまで趣味。まさか仕事になるなんて、思ってもみなかったんです。
短歌を始めたのは大学時代のこと、早稲田短歌会の新歓ちらしがきっかけでした。そこには、短歌を1首つくって持っていくと、互いに評価し合う、いわゆる歌会に参加できると書かれていました。
自分がつくったものにコメントをもらえるなんて面白そう! と思って参加したんです。行ってみたら 歌会はもちろん、それ以上にそこに集まっている仲間が楽しくて。また行きたいと思い、次の週も1首つくりました。
そうやって歌会に参加する日々を過ごしていたところ、メンバーが、新人賞の候補作に選ばれたんです。身近な人の作品が掲載されたことに刺激をうけ、私も応募してみることに。自分が書いたものが活字になるなんて感動じゃないですか。そこから5年、10回ほど応募して新人賞を受賞。晴れて歌人デビューを果たしました。
自分を支えてくれた2つの軸
——会社には、どのタイミングで話した?
服部:それまでも、短歌雑誌から短歌や原稿の依頼があったのですが、 カルチャーセンターの講師あたりからWワーク感が強くなってきました。そこで上司に話したところ、会社にとっては想定外だったようですが、なんとか理解は得られたという感じです。
私が副業を選択できたのは、会社のおかげ。残業がなく定時に上がれるという、恵まれた環境が大きいと思います。
——会社を辞めるという選択肢はなかった?
服部:なかったですね。病気になって実感したのですが、短歌の仕事は代わりがいないので、責任も重大。病気でカルチャーセンターを休むにも自分でなんとかしなきゃいけなくて。ですが、会社の仕事は、組織の歯車として誰もが機能できるようシステム化されています。いい意味で、誰にでもできる仕事なんです。だからこそ、休みたいときに休むこともできました。
——Wワークのメリットとは?
服部:安定した収入があるので、短歌の仕事では、よりすぐった仕事だけをうければいい。逆に会社で落ち込むことがあっても、「私には短歌の世界もある」。そう思うと、心に余裕が生まれ、仕事も頑張れるように(笑)。この世に、「私にしかできない仕事がある」という思いと、「誰にでもできる仕事がある」という思い。自分の中に2つの軸を持つことで、バランスが保てているのだと思います。
——これから、Wワークを始めたい人へのアドバイスは?
服部:人間関係の良い会社を選んで!
——あなたにとって理想の仕事(働き方)とは?
服部:短歌がつくれない間は、エッセイや小説などの違うジャンルにも挑戦するつもりです。短歌1本で食べていたら、そんなふうには考えられなかった。収入源を複数持つという働き方が、私には合っているようです。
『これが私の生きる道! 彼女がたどり着いた、愛すべき仕事たち』は1500円(税抜き)で発売中。
(記事提供:世界文化社)
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情報元リンク: ウートピ
Wワークで気づいた、責任のバランスと心地よい働き方【これが私の生きる道】