恋する女性のために人を殺した女性と、殺すことを求めた女性の行き場のない逃避行を描くNetflix映画『彼女』が4月15日よりNetflixで世界同時独占配信されます。原作は、中村珍さんの『羣青(ぐんじょう)』(小学館IKKIコミックス)。本作の監督を、廣木隆一さんが務めます。
家族に同性愛者であることを打ち明けられず孤独を抱えるレイを水原希子さん、夫から壮絶なDVを受けながらも逃げることができない七恵をさとうほなみさんが演じています。
「すべてむき出しにして挑んだ」という主演のお二人に話を伺いました。
原作を読んで少し後悔しました(水原)
——本作は2007年に連載が始まった、中村珍さんの漫画『羣青』の実写映画です。オファーを受けたときはどんな気持ちでしたか?
さとうほなみさん(以下、さとう):実は私、以前から原作のファンで、もし実写化されるなら出演したいと思っていたんです。オファーをいただいたときは「信じられない!」という気持ちが大きかったですね。
——原作のどんなところに魅力を感じていたのでしょうか?
さとう:上中下巻の3巻あるのですが、主人公の女性ふたりがずっとジェットコースターに乗っているようで。目まぐるしく変化する感情に惹かれていました。同じ乗り物に乗っているようだけれど、ふたりで同時にアップダウンするのではなくて、どちらかが上がっているときは一方が下がって。そんなすれ違いをずっと見ていて、苦しいのに美しい物語だと思ったんですよね。
——水原さんはいかがでしたか?
水原希子さん(以下、水原):ほなみちゃんが言ったように、感情の起伏も激しいし、セリフも、こんなこと言っちゃうんだと思うぐらい感情に身を任せてむき出しの状態で。面白いと思ったと同時に、役者としてこのような作品にはなかなか出会えないだろうなと感じましたね。
——本当に「さらけ出す」「むき出す」という言葉がぴったりな作品です。水原さんは原作を読みましたか?
水原:はい。脚本を読んだ後に読みました。中には「原作のイメージに引っ張られてしまうかもしれないから、読まないほうがいいかも……」という声もあったのですが、どうしても気になって読んじゃいました。そしたら、原作の力が本当にすごくて……。脳裏に画のイメージが張り付いてしまって、読まないほうがいいってそういうことか、と少し後悔しました(笑)。
さとう:でしょう?(笑)。私も、元々のイメージがあったので最初は苦しみました。
水原:でも、原作を読んだからこそ表現できた部分もあるはずだから、読んでよかったなと思います。
「あなたがいないとダメ」という気持ちが役の外でも芽生えた
——精神的にも肉体的にもハードな場面が多いので、撮影中はお互いが心の支えになっていたのでは?
さとう・水原:本当にそうですね。
水原:ほなみちゃんは、戦友。ふたりで戦い抜いたという感じです。
さとう:お互いに励まし合わないとやりきれなかったですね。七恵は物語が進むにつれて、レイのことを深く必要としていくのですが、私も同じようにだんだんと「水原希子なしでは……」と彼女を必要とする気持ちが深くなっていきました。本当に役とリンクしちゃって、キャストが増えるシーンでは嫉妬したりしてね(苦笑)。
水原:私もレイと気持ちがリンクして、ほなみちゃんの姿が見えないと不安でした。「ほなみちゃんどこ? ほなみちゃんは今何してるの? ねぇ、ほなみちゃんは?」って。メイクのときや着替えのときにも目で追いかけていました。
さとう:ずっとふたりでくっついていたよね。核となる気持ちが「あなたがいないとダメ」って。確実に互いの中に芽生えていたと思います。役の中でも外でも。
水原:本当にそうでした。
次は笑える喜劇を…
——撮り終えた今はどんなことを思いますか?
水原:先にも言いましたが、役者としてレイを演じることはすごいチャレンジだったなと思います。お芝居が「苦しいもの」であることも感じましたし、こんな経験はもしかしたら二度とないかもしれない。
さとう:七恵として生きた期間、ずっと孤独を感じていました。実生活でも友人たちとの連絡も絶って撮影に臨んでいて。つらかったけれど、こういう役作りも悪くないなと思いましたね。希子ちゃんとはまたお芝居したいです。
水原:そのときは、笑える優しい喜劇がいいね(笑)。
インタビュー後編は4月16日(金)公開予定です。
(ヘアメイク:白石りえ、スタイリスト:小蔵昌子(水原希子) 、ヘアメイク:野中真紀子、スタイリスト:市野沢祐大/TEN10(さとうほなみ))
(取材・文:安次富陽子、撮影:宇高尚弘)
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情報元リンク: ウートピ
Netflix映画『彼女』水原希子・さとうほなみ 二人は「戦友」