高学歴女子は、「仕事で苦労する」「モテない」「結婚できない」……そんなイメージがメディアなどを通して流布されるなか、実際にハイスペ女子の極致ともいえる「東大女子」はどのように大学卒業後の人生を歩んでいるのか?
はたして彼女たちは、幸せになれたのか?
本日23時から放送のAbemaTV「Wの悲喜劇〜日本一過激なオンナのニュース〜」では、「東大出たけど苦戦中!」と題して、MCのSHELLYさんが「東大女子」のみなさんのホンネに切り込みます。スタジオに出演した『東大を出たあの子は幸せになったのか』(大和書房)の著者でノンフィクションライターの樋田敦子(ひだ・あつこ)さんに「東大女子の“幸せ”の行方」について書いていただきました。
「東大女子」とは努力の人
昨年12月に出版された拙著『東大を出たあの子は幸せになったのか』(大和書房)の取材で、日本では最高の大学とされる東京大学を卒業した女子30人以上に話を聞いた。年齢はさまざまで、現役の東大女子学生から、60年以上前に東大を卒業した80代の女性までである。
“頭のいい”彼女たちの半生を描くルポルタージュなのだが、共通質問事項として、「東大を目指した理由」からはじまり、「受験勉強のやり方」「東大女子のメリット、デメリット」、そして「勉強は幸せをつかむ手助けになるか」まで、10項目を設定した。
そんな質問をぶつけながら、見えてきた彼女たちの共通の像は――。
小さい頃から勉強ができ、特に英語の点数は高かった。先生にもクラスメートにも一目置かれ、周りの期待に応え、自分でも勉強ができるということがアイデンティティーだった。
そして、私立中学を受験する、小学校の高学年ともなると、将来の目標を定めて、それに向かって努力を始めている。まれに天才型の人もいたが、大半は努力の人である。
「きょうだいに東大の人いるし、きっとDNAだよ」「地頭がよかったのでは」と、とかく考えてしまうが、けっしてそうではない。
「地頭だよと言われて腹が立ちましたね。だって友達の電話にも出ないくらい勉強したんです。努力したんです。それを地頭で片づけられたら、納得がいきません」(40代)
真面目で努力家なことを忘れてはいけない。
「東大なのに仕事ができない」というイジり
さて東大女子は、東大にいる間は、周囲がみな東大生なので楽しく過ごせるが、問題は社会に出た後の話である。医師や弁護士の資格を持つ職業人は、学歴をほとんど意識しないというが、一般企業に入った人の大半が、「あなたは東大だから頭がいいんでしょ」「東大なのに仕事ができない」というステレオタイプに悩まされた経験があった。しかも多くは男性上司や男性同僚からだった。
東大だからと“イジられる”
筆者はイジるという言葉は好きではない。からかう意味以上に重い、いじめに近いこともあるからだ。社内でイジられて、落胆し、涙し……。実際に、会社の環境に耐えられず退社した女性もいた。
「あなたがイジられるのは、あの上司が学歴コンプレックスだからだよ、と同僚から言われたことがありました」(30代)
退社できればまだいい。電通の高橋まつりさんのように、過労自殺にまで追い込まれた女性もいる。ここまでくるとイジり、などではない。パワハラ、セクハラ、複合的に作用して、優秀な新入社員を追い込んだのである。東大女子の場合は、学歴コンプレックスのある男性社員による、ジェンダーの問題が複合的に絡み、とんでもない状況になることだってある。
20代、30代ほど「東大ゆえの生きづらさ」を感じている
確かに「東大ゆえの」生きづらさを感じて思い悩む人は多い。しかし世間で言われるように、生きづらさを痛切に感じているのは、20、30代が中心だ。転職や結婚出産を経て、徐々に自分の立ち位置を明確にとらえ、周囲や社会の状況を理解しつつ、うまく生きている人が出てくる。
むしろ東大女子が真骨頂を発揮するのは、30代以降、40歳を超してからのケースが目立った。もともと目標を定めて、一つクリアしたらその次、と努力するのが得意な人たちである。もうこの会社で、この場所でやることは終わったと得心できれば、必ず次を目指す。
その姿は実に多彩だーー。
専業主婦となり、東大卒の夫を助け、子どもを私立の御三家中学に合格させた女性。東大の人脈を使いながら、起業した女性。大手商社でばりばり働く管理職の女性。
テレビ局でドラマを演出していた女性は、落語が楽しめる小料理屋の女将になった。また、『進ぬ!電波少年』で有名になったケイコ先生こと、春野恵子さんは浪曲師になった。浪曲を再びメジャーにしようと、ロックンロールナンバーに乗せて、浪曲を歌うという試みも行っている、強烈なキャラの女性だ。
彼女たちは東大の看板を脱ぎ捨て、自分の世界を構築していくことで、東大とは無縁のところで、世界を広げている。
拙著のタイトルにある“幸せ”なんて、その人次第。何が幸せで、どれくらい幸せかの尺度は自らが決めるもの。東大に入ったことが人生のピークになるのではなく、東大を出てからが勝負なのである。
6割以上が東大卒同士のカップル
生きづらさの一つに、恋愛や結婚を掲げる人もいる。東大卒ママの同窓組織「東大ママ門」のアンケート調査によると、東大卒女性の約6割が東大卒男性と結婚しているそうだが、そうでない人は、確かに恋愛では不利かもしれない。「東大の女だからとひかれる」「合コンでは客寄せパンダ」の声も聞こえてきたが、それにも物申す女性がいた。
大手商社に勤め、そこからMIT(マサチューセッツ工科大学)でMBAをとった女性(37歳)が話す。
「婚活の場では“東大+MIT”と明かすよりも“国立四大卒”のほうが、会いたいといってくる男性が多い。でも学歴で判断し、それでおじけづくこの国の男性は、どうなんだろうと思います」
恋愛においても、学歴コンプレックスとジェンダーを絡める人たちって、残念だが、さすがジェンダーギャップ110位の国である。
ともあれ、恋愛に重きを置くのならそれもいい。仕事に生きるのも素晴らしい。家庭に入るのをよしとするのも選択の一つだ。東大女子は、努力した分、ストックした知識で多様な道が開けるだろうと思うから……。
それぞれの生き方は様々だが、彼女たちを追いながら思ったことは、特に女子は、勉強が必要だということ。自分の道を切り開くためにも、搾取されないためにも、勉強は必要だと思っている。いくつになっても勉強を始めるのに、遅いことはないのだ。
樋田さんの最新著書はこちら
『東大を出たあの子は幸せになったのか~「頭のいい女子」のその後を追った』(大和書房)
■番組情報
男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。
#64「東大出たけど苦戦中」
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情報元リンク: ウートピ
東大女子の6割が「東大男子」と結婚 ハイスペ女子の“幸せ”の行方は?