Winkの「淋しい熱帯魚」やアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニング曲「残酷な天使のテーゼ」などで知られる作詞家の及川眠子(おいかわ・ねこ)さんによるエッセイ『誰かが私をきらいでも』(KKベストセラーズ)が1月16日に発売されました。
テーマは「人にきらわれること」。まわりの目や「人からどう思われるか?」が気になって、自分らしく生きられない、生きづらさを感じている人に向けてエールを送っています。
「人生は決して楽ばかりではない。だけど言い換えれば、そのしんどさ自体が生きている証拠」とつづる及川さんに3回にわたってお話を伺います。
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「嫌われる」ことで悩むのってつまんなくない?
——『誰かが私をきらいでも』は及川さんがツイッターで発信していたメッセージが元になっているそうですね。
及川:ツイッターで書いていることはそのときそのときの思いつきだったりするので、本にまとめるにあたっては一つのテーマに絞ろう、軸を立てようという話になって「きらわれる」というテーマに絞りました。
——「きらわれる」をテーマにしたのは?
及川:たまたま、私とつながっている人に「ダイレクトメールを送ったのに返事をしないなんてお前を嫌ってやる」とリプを飛ばしている光景を見て、「『嫌ってやる!』を脅しとして使うほど、人は嫌われることを怖がっているんだな」と思ったんです。
でもね、逆に考えたら「あなたは人を嫌わないの?」って思うんです。私は嫌いな人いるし、それが当然じゃんって思うもん。
——「自分が100人の人を全員同じように好きになることができない」と書かれてましたね。
及川:嫌いと好きって背中合わせだから。それでも、無難に無難に生きようとしている人が多いし、人から嫌われることで苦しんでいるのってつまらなくない? って。
人からよく思われたい、みんなから好かれたい人って自己肯定を他人に委ねているんだよね。それじゃあいつまでたっても自分のことを好きになれないよ。
自分の嫌なところを受け入れないと次に進めない
——及川さんは自分のことを好きですか?
及川:私は結構、自分好きだと思う。自分好きというよりも、基本的に自分しか興味がないの。だから、あまり他人に興味ない。
結局ね、バカな自分でも「バカだな」っていうふうに自分で肯定しないと始まらないんですよ。嫌なところを受け入れないと。自分の愚かさだったり、バカだったり、しょうもなかったりするところを。そうじゃないと、次に進めないんですよね。
——自分のことを嫌いだった時期はありますか?
及川:嫌いというか、生きるのがすごくしんどかった時期はありました。
——今はいかがですか?
及川:今? おばさんになればなるほど楽。自意識が取れてくるからね。
みんなひとつくらい“武器”があるでしょ?
——若い女性に話を聞くと「年を取るのが怖い」という声が多いんです。
及川:うーん。若い頃って「若い」とか「キレイ」っていう下駄を履かせられているんだよね。でも、その下駄が履けなくなったら評価はもっと素に近づいていくから、私は年を取るにつれて楽になったのよ。若さやキレイさで勝負しなきゃっていうのがない。
例えば「ごめんね。更年期障害だから締め切り遅れる」とか、なんかあったときにエクスキューズに使えるわけよ。だから楽なの。ネガティブなものをポジティブに変えたときに、ものすごく楽になったの。最近は更年期障害はもう通用しなくなったから、何を使ってるかっていうと「来年、還暦だからさ」っていうのを使ってる(笑)。
「私におばあちゃんなんて言わないで」っていう人もいるけれど、私から見たら「年齢不詳のいい女でいたい」みたいな人はしんどいだろうなって思う。
“おばさん”っていうのは武器なのよ。若さや美しさも武器になるし、私はそれを武器にすることは悪いことじゃないと思ってるのね。よく言うじゃない?「あの人は女を武器にしてる」って。でもそれが武器になるんだったら、すればいいじゃんって。その代わり、私は悪いけどおばさんを武器にするからねって。
——美人もそうですよね。せっかく美人に生まれた才能があるんだったら、ガンガン使えばいい。
及川:そう、才能だよ。美脚に生まれたら、その脚を武器に使えばいいしね。
——褒められて変に謙遜するよりも「そうなんです、これが私のチャームポイントなんです」って言っている人のほうが見ていて気持ちがいいし、かっこいいなと思います。
及川:そうそう、みんなひとつくらい武器持ってるでしょ、だったらガンガン使えばいいじゃんって思いますけどね。
※第2回は1月24日(木)公開です。
(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、インタビュー撮影:宇高尚弘/HEADS)
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情報元リンク: ウートピ
自己肯定を他人に委ねないで…及川眠子さんから「嫌われること」が怖い貴女へ