冬はクリスマスやバレンタインなどカップル向けのイベントが控えているせいか、ふと、パートナーとの今後について思いを巡らす瞬間がありますよね。普段は「まだ先」と考えていた結婚が現実味を帯びてくることもあるかもしれません。
婚約指輪や結婚指輪というと「男女のカップルのもの」「結婚の予定がある人がつけるもの」というイメージがありますが、もっとラクに、自由に考えてもいいものでは
日本最大のジュエリーのオーダーメイドブランド「ケイウノ」は、ハイジュエリーからリフォームまで、男女のカップルに限らずLGBTのカップル、通常の女性用の指輪のサイズでは小さすぎるという人など、多種多様な考えや好みを持っている人ひとりひとりに向けて、世界でたった一つの指輪やジュエリーを作り続けています。
前編では、加藤翼(かとう・つばさ)さん(28)と竹内貴仁(たけうち・たかひと)さん(28)のカップル、そして同社で製造部長を務める髙木学(たかぎ・まなぶ)さんに二人が結婚指輪を作るまでのストーリーを伺いました。後編では、「二人にとっての指輪」をテーマにお話を聞きます。
Contents
プラチナとピンクゴールドの指輪に込めた思いは…
——前回は加藤さんと竹内さんが指輪を作ることになった経緯と、オーダーメイドの流れについて伺いました。それでできあったのがこのリングなんですね。
加藤:2つ重ねると流れ星になるデザインです。星はあまり頭になかったのですが、僕たちの話を聞いていたデザイナーさんから「こんなのどうですか?」と描かれたデザインに一目惚れして「いい!」ってなりました。
——素材はプラチナと……?
竹内:ピンクゴールドです。2人とも同じ素材を使っているんですけれど、彼のほうは表がピンクゴールドで、裏がプラチナ。僕のはその逆で、表がプラチナで裏がピンクゴールドなんです。加藤がピンクゴールドがいいって言ってて僕は「ピンクゴールドが表に出てくるのは嫌だ」と言ったら、2層にもできるということだったので、こちらで仕上げていただきました。
髙木:まったく違う素材をひとつの指輪にするのは、コンセプトとしても「一緒になる」という意味もあってすごく素敵なリングだと思います。お二人の指輪を担当させていただいたデザイナーからも「お二人がお互いをすごく大切にしてるのが伝わってきたので、2本重ねると流れ星が重ねてつながるモチーフを提案させていただきました」と聞いております。
——2人が言ったことや好みだけではなく、空気感もカタチにしたのですね。どちらかが我慢したり、妥協したりするのではなく二人が納得いくものを作れるのはいいですね。
髙木:僕たちの場合は受注生産なので、指輪を作る際もお客様の名前を見ながら作るんです。毎日指輪を作っているのですが、名前のないジュエリーを作ることはほとんどない。「ディズニーやかわいいものが好きな○○さま」というお客様の情報を頭に置きながら作っているのは、ほかのブランドさんとは違う作り方だと思います。
——できあがった指輪を見ていかがでしたか?
加藤:やばかった!「デザイン画の通り!」って(笑)。
竹内:魔法みたいだなって思いました。
——見積もりからどのくらいの期間でできあがったのですか?
竹内:3週間くらいだったよね。早かったよね?
加藤:取りに来たのが1ヶ月後くらいだったので、だいたい3週間くらいだったと思います。
髙木:注文内容によりますが、早くて3週間、フルオーダーの場合は2ヶ月半くらいで完成です。途中の制作過程を確認できる原型チェックを省けばそれだけ納期の短縮になりますし、内容にもよりますね。
——原型チェックというのは?
髙木:デザイン画を描いてそのまま指輪の製作に入るのが不安な方もいらっしゃるので、デザイン画の2次元から立体の3次元になった状態で確認してもらう「原型チェック」の工程を挟む場合もあるんです。原型チェックの段階で「もっとこうしたい」「イメージが違う」という場合は無料修正することもできます。
予算に応じて自由にアレンジできる
——答えにくい質問かもしれないのですが、予算はある程度決めていたのでしょうか?
加藤:すごいお金持ちではないので、お互いにがんばれるくらいの金額で、とお願いしたら、その金額内でよいものを選んで素材も提案してもらいました。
髙木:予算を決めてらっしゃるお客様もいらっしゃいますし、例えば、見積もりしてみたら予算よりはみ出ちゃったということになれば、金属の種類を変えたり、リングの幅を細くしたりということもできます。お客様のご予算に合わせて、内容を変えていくことができるのはオーダーメイドの強みだと思います。
——素人だとわからないですもんね。プラチナは高いから無理だろうなって勝手に諦めちゃう。
髙木:「どうしてもプラチナ」とか、あまり決めずにふらりといらっしゃるのも大歓迎です。「結婚指輪や婚約指輪のことを知りたい」くらいの感覚で遊びにきてくだされば、大丈夫です。
——そんな感じでいいのですね。
髙木:デザインや宝石、金属の種類など何も決まっていない方もいらっしゃいますよ。お話を伺いながら、コンシェルジュとデザイナーが次々と提案しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
——ジュエリーというと敷居が高く感じますが、自分たちの好みやライフスタイルに合わせてもっと自由に、思っていることをわがままに伝えてもいいんですね。
指輪が完成して1年
——指輪が完成してちょうど1年ですが、いかがですか?
加藤:うちの職場は外資系で、セクシュアリティに対しても理解があるというか踏み込んでこないオープンな職場なのですが、職場で初めて指輪をつけて仕事をしていたら、上司が「結婚したんですか?」と早速言ってきて……。よく見ているなあと感心しました(笑)。
竹内:僕は何の違和感もなくスッと……。
加藤:でも時々つけ忘れるんです。一緒にデートしてるときに「やばい! つけ忘れた」と言われると、正直「ふざけんなよ!」って思っちゃう。職場でつけないならデートのときくらいちゃんとつけてって思う。
竹内:つけて歩くと傷がついちゃう気がして……。
髙木:</spanケイウノのお店があるところでしたら、日本全国で小傷などを磨き直して買ったときのような状態にするサービスや、指輪のサイズ直しなど永久無料で行いますので、お持ちいただければと思います。
加藤:2月の結婚式の前に一度来ようね。
竹内:そうだね。
「二人のつながりをカタチにした」僕たちにとっての指輪とは?
——最後の質問なのですが、お二人にとって指輪ってどんな存在ですか?
加藤:今のところ日本では、同性同士で婚姻届を出すことはできないですよね。同性パートナーシップを認める自治体もありますが、僕たちが住んでいるところはそういうところじゃない。
そういう事情もあるので、「結婚して一緒にいるよ」という証というか、おそろいの指輪を二人で一緒に持っているのは、婚姻届の代わりじゃないですけれど、つながれるものをカタチにしたのが指輪なのかなと思います。
竹内:僕も同じです。法的な何かがないからカタチに残るものというか、証明できるものとしてあっていいなと思っています。
指輪は男女のカップルだけのものじゃないから…
——指輪やジュエリーって二人のものであって、それに込める意味やカタチはもっと自由でいいんですね。
髙木:お客様の層としては男女のカップルのブライダル層が多くはなってくるんですが、僕たちはモノづくりのブランドで、お客様の「欲しい」をモノで叶えていくんです。
僕は約18年間、クラフトマンとしてジュエリーを作ってきました。お子さまが生まれた時のベビーリングや、ペットが迷子になっても大丈夫なように、住所や電話番号が入っているドックタグを作ったり、上の世代から受け継げられた石をリフォームしたり、遺灰をジュエリーに閉じ込めたりといろいろなジュエリーを作ってきました。
愛のカタチだっていろいろある。それぞれの想いがジュエリーに込められていくものですので、一生涯お付き合いできたらいいなと思っています。一生涯メンテナンスもしていくし、それを次につなげていくことが僕らができることだと考えているので、決してブライダルだけではないと思っています。
■ケイウノ
1981年に創業した日本最大のオーダーメイドのジュエリーメーカー。年間4万種のデザインを生み出しています。デザイナーは約40人、熟練の技を持つクラフトマンは約150人で、自社で一貫して一つ一つのジュエリーを製作、全国30店舗以上のお店で販売しています。また、他社で断られたような難易度の高いリフォームや修理の相談も受け付けています。
一からデザインする「フルオーダー」のほか、ケイウノオリジナルのジュエリーに石や模様の追加をする「アレンジオーダー」など希望に合わせて提供しています。デザイン・製作・販売を一貫して行っているため、既製品と変わらない価格で購入できるのも大きな魅力です。最近は、オーダーメイドの時計もスタートし、対応アイテムの幅を広げています。
■ケイウノ新宿東口店の特徴
JR新宿駅東口を出たら目の前、アルタの隣のビル(1~4F)です。結婚指輪や婚約指輪などブライダルアイテムが充実。ケイウノオリジナルジュエリーのほか、都内で唯一のディズニーデザイン ジュエリーコーナーも併設しており、ディズニーが大好きなスタッフも多数在籍しているため気軽にジュエリーの相談ができます。
(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)
情報元リンク: ウートピ
結婚指輪って何のためのもの? あるカップルが選んだ「つながりのカタチ」