女社長、新たな野望を抱く
2018年9月1日
気が付けば、乳がんが発覚してから2年が経とうとしていた。
この間、乳がんの外科手術、形成1次再建、形成二次再建(半年後)、乳首形成(更に3か月後)と、コンスタントに手術を受けてきた私。ホルモン治療と形成の経過を診てもらうために定期的に病院にも通ってきた。
それまでの人生で病気に縁がなかったため、発覚当時は病院に行くことそのものが、混んでいて時間も読めないことも相まって相当ストレスだったのだが、今ではすっかり生活の一部。ジムに行くのと変わりないテンションで足繁く通っている。
そんな病院慣れしたすれっからしは、最近新たな野望をメラメラと抱くようになっていた。
それは、
「おっぱいを作り替えたい」
というもの。
最初に感じた違和感は肩こりだ。シリコンの入っている右肩が妙に凝るな~と思い始めた。
次に感じた違和感は右の腕が上がらなくなったことだった。これが四十肩なのかな~とあきらめようとするも、不便で不便で仕方がない。
両方とも運動しても、ストレッチをしても、マッサージをしてもさっぱり解決しないのだった。
「加齢」ということで折り合いをつける事もできたのだが、元来諦めることが苦手なしつこい性質である私は、ある仮説を立ててみた。
「これは、右おっぱいと左おっぱいの重さが違い過ぎるからでは???」と。
説明しよう!
私のがんが発覚したのは右おっぱいなので、シリコンは右のみに入っている。元々貧乳のため、小さいサイズのシリコンが投入されたわけだができあがりはまるで18歳の張りと高さ。
それに比べて、健常の左おっぱいは二度の授乳経験を誇る46年物。元々の肉質もゆるゆるなため、右と左のバランスの悪さは見た目にもなかなかなものであった。
外科手術と一緒に一時再建もしてもらったし(ほんとに超ラクでしたよ!)、保険適用なのでかなり費用が抑えられた再建であったし、そもそも私の肉質や左おっぱいの形状が少し特異だったからかもしれないが、見た目だけではなく明らかに重量が違う。
そして、その重量の差異が私の肩や腕にディープなインパクトを与えているのではないかと思い至ったのだ。
私、天才かよ……。
と、しばし酔うも「これまた自分ではどうにもできない」という真実の壁にぶち当たり、次に脳裏でMy人脈リストをスクロール。
その結果、小柄でショートカットの似合う美人女医を私ははっきりと思い出した。
セルポートクリニックの辻直子先生だ。
彼女とは乳がんセミナーで二度ご一緒させていただいたことがある。その講演内容には、乳がん患者もそうじゃない女性達も前のめりで聞き入ったものだ。
「自分の脂肪を使って形成(豊胸)することができる。それも、自分の脂肪由来幹細胞を用いて脂肪の定着率を上げることができる」
というセルポートクリニックの最新脂肪注入術は、ある意味女達の見果てぬ夢。
「この、お腹や足や背中や腕のお肉が胸に移動できるならどんなに良いか!」
と、嘆き「ジーザス!」と天を仰いだことのない女がこの世にいるであろうか? 否!
施術料金は保険適用外なので、私が経験した形成手術に比べると驚くほど高いが、
①自分の脂肪なので生着すると血の通った体の一部になり、仕上がりが柔らかく暖かい。
②流動性のある脂肪を注入する為、細かい部分的な形成も可能。
③大きな傷ができず、体への負担が少ない。
④日帰り、もしくは一泊入院のみで施術が可能。
というのには、料金を上回る魅力しかない。
女社長が頑張ってきたこと
私は、早速先生に連絡を取り、現状や希望を伝えた。
本来は整形嫌いの夫にも相談すべきところだが、私だけじゃなく、家族もすっかり私の手術や体の変化に慣れきっていたため、今回も独断専行で予約。
ところが「自分の脂肪でおっぱいができる」と、うきうきしていた私に先生は不吉なことを言うのであった。
「診てみないとわからないけど、川崎さんの場合、脂肪が取れない可能性があります」
えええ? そんな!
さらに説明しよう。
乳がんをやってからというもの、外科の先生からの命題は「絶対に太らないこと」だったため、ジムに行き、ウオーキングをし、体重を増やさないようにとコツコツと頑張ってきたのだ。それがこんなところで裏目に!!! 人生、何が障害になるかわからないものである。
しかし、こちとら「若い頃からさんざ悩まされた」ゆるふわバディ。外から見えないところに脂肪を蓄えてきた自負がある。
私は、自身の下腹の肉(ほぼ脂肪100%)をつまみながら、
「是非一度診てください。」
と、自信と決意に満ちた声で診察の予約を取ったのだった。
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情報元リンク: ウートピ
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