疲れがなかなかとれない、肌荒れがひどい、貧血が起きるといった不調で困っているとき、ビタミンのサプリメントをよく飲んでいます。
野菜をあまり食べないときはとくに多めにとることがあるのですが、大阪府薬剤師会常務理事で薬剤師の近藤直緒美さんによると、「ビタミン不足は医薬品のビタミン剤やサプリメントで補うことができます。しかし、知らないうちにとりすぎている場合も多く、無駄になったり、体に悪影響が及んだりすることがあります」ということです。
詳しいお話を聞いてみました。
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ビタミンは他の栄養素の代謝を助ける潤滑油
——はじめに、ビタミンとはどういう役割があるのかを教えてください。
ビタミンは、体の調子を整える、健康を維持する栄養素の一つです。三大栄養素である、脂肪、糖質、タンパク質が体内で働き、代謝できるように手助けをする役割があります。
ただしビタミンは体内で合成されないため、食事から摂取する必要があります。主に野菜や果物に多く含まれています。13種類がありますが、その中でもとくに、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEはその名称や働きがよく知られているでしょう。
——では、ビタミンが不足すると体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
体内のエネルギーの代謝がうまくいかず、疲れやすくなる、体がだるくなる、貧血、食欲不振、記憶力や集中力、免疫力の低下、イライラや不安、肌荒れなど多くの症状が現れます。
——ビタミン不足の原因を教えてください。
インスタント食品やファストフードを食べ続けるなどで栄養が偏った食生活を続けると、ビタミン不足になりやすいでしょう。また、激しいダイエットや睡眠不足、ストレスを抱えている場合は、体内のビタミンを消耗するスピードが速くなり、必要なビタミンが不足することがあります。
食生活が不規則なとき、一時的にビタミン剤やサプリで補う
——ビタミンが不足していると思う場合、どうすればよいのでしょうか。
栄養のバランスが整った食事を1日3回とるようにしましょう。野菜や海藻など、豆や卵、魚、肉などのタンパク質、ごはんや麺類の炭水化物を、「定食屋の定食」をイメージした分量で食べるとよいでしょう。
参考まで、ビタミンAはトマトや人参、ビタミンB1は豚肉や大豆、ビタミンB2はレバーや卵、ビタミンCはレモンやイチゴ、ビタミンDは魚やきのこ類,ビタミンEはナッツ類に多く含まれます。
足りていないと感じるときこそ、積極的に食生活を見直してください。ただ、忙しくてバランスが整った食事をする時間がない場合は、一時的にビタミン剤やサプリメントで補うのもひとつの方法でしょう。
錠剤、ドリンク、ゼリーなど形状が違っても内容は同じ
——ビタミン剤やサプリメントにはどういう種類があるのでしょうか。
錠剤やドリンクタイプ、ゼリータイプなど、ビタミンの種類ごとや、13種類のビタミンを一度で摂取できる種類が市販されています。
錠剤やドリンク剤と形状は違っても、パッケージを読んで同じ成分が同じ量だけ入っていれば、内容に違いはありません。錠剤は体内でゆっくりと吸収し、持続性があります。ドリンク剤は錠剤に比べると速く吸収し、即効性は高いと考えられます。
自分はどれが飲みやすいかで選ぶとよいのですが、目安として、日々の食事で不足を感じる場合は錠剤を、スポーツ後で疲れているときや、とくに体調が悪いと感じる日にはドリンク剤を選ぶとよいでしょう。
——天然由来と表示されているタイプもあって気になります。ほかのタイプとはどう違うのでしょうか。
天然由来でも合成のタイプでも、成分や化学構造は同じです。吸収率は一般に天然のほうが良いとされますが、天然であるだけにほかの成分も含まれてビタミンそのものの含有量は合成のほうが高くなります。また、価格は天然のほうが高く、そういったメリットとデメリットを考えて選ぶとよいでしょう。
ビタミンAとビタミンDのとりすぎに注意
——ビタミン剤はとりすぎると体によくないと聞きます。とりすぎた場合の影響について教えてください。
ビタミンには、水で溶ける「水溶性ビタミン」と、油脂に溶ける「脂溶性ビタミン」があります。水溶性ビタミンはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなど、脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどです。
水溶性ビタミンは、体内に長時間蓄えることができず、多く摂取しても余分な量は尿中へ排出されます。一方、脂溶性ビタミンは、体内に吸収されやすくて水に溶けないため、尿中に排出されません。ですから、とくにビタミンAとビタミンDの過剰な摂取には注意が必要です。
ビタミンAをとりすぎた場合、頭痛や吐き気、食欲不振、手足のむくみ、脱毛、皮ふの炎症が起きることがあります。ビタミンDのとりすぎでは、食欲不振、のどが渇く、筋力の低下、尿量増加などが考えられます。過剰にとって不調が起こった場合は、すぐにビタミン剤やサプリの摂取をやめる、量を減らせば、症状はおさまるでしょう。
水溶性ビタミンである、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどはたくさん摂取しても、余剰分は体内の水分に溶けて尿とともに排出されますが、基準の量以上をとると、吐き気や下痢、腹痛などが起こる場合があります。
——では、ビタミンはどのくらい摂取するのが適量なのでしょうか。
たとえば、ビタミンCの1日の推奨量は、「日本人の食事摂取基準」(2015年版 厚生労働省発表)によると100mgとなっています。摂取量と排泄量を考えると通常の食事以外にサプリメントなどで1日1,000mg以上のビタミンCを摂取することは推奨できないとされています。ビタミンCは美肌のためや風邪予防にと考えて過剰にとる人が多いようですが、適量を守るようにしましょう。
どのビタミンも、市販のサプリメントの用量は基準内におさまっているので、用量どおりにとれば問題はないでしょう。迷ったときには、薬局に常駐している薬剤師に聞いてください。
——サプリであっても、これからは説明書をよく確認して適量を意識します。ありがとうございました。
(取材・文 藤原 椋 / ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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