「年齢」を重ねても新たなことに挑戦していきたい。だけどそんな気持ちとは裏腹に“失敗のリスク”が不安で、あと一歩を踏み出せないでいませんか?
そんな悩める女性たちの背中を押すのは、世界最高齢のプログラマー若宮正子さん。82歳で高齢者向けのアプリを開発して一躍時の人になりました。
このたび『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』(ぴあ株式会社)を上梓した若宮さんに話を聞きました。最終回は、「100年時代に見る30代・40代のあり方」です。
30代・40代なんてまだまだ人生の前半戦
——人生100年時代を迎えて、女性として生きる長い人生の間にはさまざまな区切り(チャプター)があると思います。若宮さんにとって30代、40代というチャプターは、人生におけるどんな位置付けですか?
若宮正子(以下、若宮):サッカーの試合に例えると、前半戦の総集編といったところでしょうか。もし2点くらい失点していたとしても、後半でいくらでも逆転できるチャンスが巡ってくるはず。今は相手の出方を見定めるくらいの、ゆったりとした心持ちでいいと思いますよ。
——なるほど。ただ、30代を生きる身としては、つい目先の勝ち負けに捉われてしまいそうになることがあります。
若宮:それはやはり、人生100年時代とは言われていても、そこまでのリアリティが持てていないからではないでしょうか。
けれど、本当は人生100年もあれば、これまで生きてきた自分の経験だけで勝敗を決める必要なんてなくて、「さあ、次の勝負の行く末は?」とわくわくしながら人生を設計していく楽しみがあるはず。ちょっと先の人生を俯瞰しながら、「次のステージは? さあ次は?」と。
私は変わっていない、変わったのは時代
——若宮さんご自身はいかがですか? 今は、100年時代のどの辺りにいると思いますか?
若宮:もう終わりの方であることは確かですけどね。一年で例えるのなら、11月の終わりといったところでしょうか。
——11月の終わり。それ以前の1月から11月までの間には、「あの頃は負けも多かったな」と感じる時期もあったのでしょうか?
若宮:そうですね。私が生きてきた時代はめまぐるしく世の中が変わっていましたからね。20代の頃は、就職した銀行に馴染めなくて、悩んで病気になって休んでいたこともありました。以前も話したけど、手先が器用なロボットのような人が求められる時代だったから。
それが、私が復職した頃から少しずつ電子機器が普及し始めて、その後は運良く、企画開発部門という新たなことを開発する部署に移動になりました。おかげで、少しは銀行のお役に立つことができたのかなと思います。私の場合、私自身が変わったというよりは“時代”が変わったのだと思いますね。
——若宮さんはずっと変わっていない、と。本の中ではそのメッセージが、「人生は“風待ち”みたいなものだから、そんなに焦らないで」と表現されていて、すごく印象に残っています。
若宮:本当にその通りで、めまぐるしく変わる世の中だからこそ、何かのタイミングで自分にフィットする瞬間がくるのかもしれませんよね。私は「風待ちでいいや」という気持ちでいたところ、社会はICTの発達と少子高齢化が進み、今は「コンピューターおばあちゃん」なんて言われるようになりましたし。
ですから、今、あなたがもし「輝けていない」と思っているとしたら、輝けるチャンスはこれから来るのかもしれません。そのためにも今は、自分の強みを磨くことに集中していればいいのではないでしょうか。
——将来を俯瞰しつつ、目先の努力を怠らないことが大切なんですね。今後、若宮さんは、残りの12月をどのようにして過ごしていこうと思っていますか?
若宮:これまで通り、一番ワクワクする生き方をするのだと思います。今、自分の人生をこうだと決めたとしても、世の中は変わるし、自分を取り巻く環境も変わるはずですから。
(取材・文:武末明子、撮影:面川雄大)
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情報元リンク: ウートピ
「30代なんて人生の前半戦」つい目先の勝ち負けを考えてしまう貴女へ