立ち仕事、長距離ウォーキング、行列、テーマパーク、フェスなど、立ちっぱなしの場面で足がつらくなることはありませんか。
鍼灸師で理学療法士、プロトレーナーでもある仲川豊基さんに尋ねると、「女性は男性に比べて筋肉量が少ないので、立ちっぱなしが続くと足が痛いと訴える人は多いんです。立ったままその場でできる、改善のためのツボを意識したストレッチを提案します」と話します。詳しく教えてもらいましょう。
血流とリンパの流れを促すツボとストレッチを組み合わせる
はじめに仲川さんは、立ちっぱなしのときの足の状態について、
「重力で血液やリンパ液の循環が悪くなり、水分も溜まってむくんでくるでしょう。また、腰から足先まで、筋肉がこわばります。疲労がつのっている状態です」と説明します。
そこで、「つらくて立っていられないと感じる前に、ちょっとした時間に『血流やリンパの流れを促すツボ』を刺激しながらのストレッチを行いましょう」と、次の方法を挙げます。
(1)ツボ「風市(ふうし)」刺激&立ちひねり
「風市」は、下半身の疲れ、股(こ)関節の痛み、腰痛のケアに用いるツボです。立って腕を伸ばしたとき、ふとももの側面に手のなか指が触れるところにあります。場所がわかりやすく、歩きながら、立ったままでも指圧できるので覚えておきましょう。
また、立ちっぱなしのとき、少し足をひねる、交差するだけでも腰からつま先までの血流とリンパの流れがアップします。下半身の筋肉のこわばりの予防になるでしょう。「風市」を押しながら同時に足を軽くひねり、相乗の作用で疲れの改善を試みましょう。
<風市の位置>
起立の姿勢で両方の手を伸ばしたとき、なか指の先がふとももの側面に触れるところ。
風市を押しながら、右の足を左の足の左前方にクロスするように出し、口から細く息を吐きながら、腰を少し後方へ反らしましょう。次に、後ろ側の足のかかとを3~5秒少し上げてキープします。左右を入れかえて同様に行いましょう。左右で1回として、3~5回をくり返します。
(2)ツボ「関元(かんげん)」刺激&すねストレッチ
長い時間立っていたり歩いたりすると、すねも疲れて痛みを感じるようになります。そこで、すねのストレッチと、全身の元気の源を意味する「関元」というおなかにあるツボの刺激とを同時に行いましょう。血流とリンパ液の流れを促し、疲労回復を目指します。
なお、ツボ「関元」は、足腰の冷え、むくみ、頻尿(ひんにょう)、下痢、胃もたれなど、泌尿器や胃腸の不調に用いられることでも知られています。
<ツボ・関元の位置>
おへそから、手のひとさし指から小指までをそろえた幅の分だけ下がったところ。
まず、足を骨盤程度の幅に開いて立ち、右の足のつま先の甲側を床につけて、甲を反らすようにします。次に、右の手のなか指でツボ「関元」を押さえて5~10秒キープしましょう。甲、足首、すねまでストレッチしていることが実感できるでしょう。
元の姿勢に戻ってから左右を入れかえて、同様に行います。左右で1回として、3回くり返しましょう。
(3)ツボ「崑崙(こんろん)」刺激&前ふともも伸ばし
ふとももの前の筋肉が緊張すると、腰痛の原因になります。腰痛を緩和するツボ「崑崙」を刺激しながらストレッチをして、立ちっぱなしによる腰痛を予防します。
<ツボ・崑崙の位置>
足の外側のくるぶしの上の端におや指を置きましょう。その指をかかとに向かって少し降ろしたところにあるくぼみの中央部分。両方の足にあります。
骨盤の幅程度に足を開いて立ちます。右の手で右の足首を持って、膝(ひざ)をたたむようにして後方にひっぱります。左の足だけで立つことになるので、不安定な場合は、左の手を壁などにつけて支えてください。
次に、右の手のおや指で、ツボ「崑崙」を刺激しながら、5~10秒キープしましょう。その後、元の姿勢に戻ってから、左右を入れかえて同様に行います。左右で1回とし、2・3回くり返しましょう。
最後に仲川さんは、「ツボ押しストレッチ」について、
「どのトレーニングも、疲れた部位に遠隔刺激で作用するツボの刺激を利用した方法です。内臓や特定の部位をつなぐ流れに沿って刺激するため、より効率的に疲れの改善をはかることが可能です。また、デスクワーク中や通勤電車の中では、座ったままでこれらのツボ押しだけでも実践すると、血流を促すことができるでしょう」とアドバイスをします。
立ちっぱなしで疲れているときには、動きたくなくてじっとしていたいものです。しかし、少しでも動かす、とくにツボやストレッチの働きを知っておいて、早めに刺激や伸ばす動作をすることが、痛みやつらさの予防になるとのことです。ぜひお試しください。
(取材・文 藤井 空 / ユンブル)
情報元リンク: ウートピ 立ちっぱなしで足が痛い! 立ったままケア「ツボ押しストレッチ」4つ