長雨のあとに残暑が厳しい日々、屋内では冷房をつけていても体が重い、元気が出ない、食欲もないといった夏バテに悩まされます。そこで、鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に、夏バテ・残暑バテケアに覚えておきたい3つのツボを教えてもらいました。
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暑さによる頭重感、だるさ、食欲不振を改善するツボ3つ
丸尾さんはまず、夏バテによる心身の不調についてこう説明をします。
「東洋医学では、夏バテは『暑邪(しょじゃ)』による症状ととらえます。暑さが邪気となって体の上へ向かって熱をもたらすため、頭がぼおっとする、ほてる、のぼせる、息苦しい、めまいや口の渇き、イライラ、不眠などの症状が現れます。
また、体をめぐるエネルギーの『気(き)』が衰退するので、涼しい屋内にいた場合でも、元気が出ない、けん怠感が続く、食欲がなくなるなどの症状が出ます。残暑バテでは同じ症状が長く続くことによる疲労感も強くなるでしょう。
そこで、夏バテによる体のだるさや食欲不振の改善をするツボを3つ、紹介します。覚えやすいように、頭、おなか、足の3つの部位にあるツボを選びました。起床時や就寝前、デスクワーク中や休憩中など、いつでも押してみてください」
ツボ・百会(ひゃくえ)を刺激する
「百会」の「百」には「数が多い、たくさんの」という意味があり、頭、体、精神の多くの不調を改善する万能ツボとして知られています。頭のてっぺんに位置するので覚えやすいでしょう。百会は、全身の働きに関するたくさんの道すじが交差しています。
全身の血流を促し、頭重感、頭痛、めまい、立ちくらみ、疲労感、体の重だるさ、乗り物酔い、肩こりなどの改善に作用します。また、イライラ、ウツウツ、不安感など精神面の緩和にも有用です。
<ツボ「百会」の位置>
両方の耳の穴から頭に沿ってまっすぐに上がった線と、眉間の中心からまっすぐに上がった線が交差するところ。
<刺激法>
両方の手のひとさし指となか指で刺激します。まっすぐに下へとひと押し5~10秒を3~5回くり返しましょう。手のひらを軽くあててさするのも有用です。
ツボ・労宮(ろうきゅう)を刺激する
「労」は労働、「宮」は中央の意味で、よく働く手の中央にあるツボを示しています。精神とつながっているとされ、暑くて気が高ぶった状態や緊張を緩和すると言われます。
イライラ、ストレス、上半身のほてり、胸のつかえや吐き気、動悸(どうき)、胃重感、食欲不振、けん怠感、疲労感などに作用します。百会の働きと似ていますが、労宮はハンドマッサージでもよく活用されるツボで、人に押してもらうとより有用と思われます。
<ツボ「労宮」の位置>
手のひらの中央付近、手の指を「グー」にして曲げたときのなか指とくすり指の間の部分。左右にあります。
<刺激法>
反対の手のおや指で、円を描くように押し回します。イタ気持ちいいと感じる強さで、5~10秒を3~5回くり返しましょう。また、労宮を中心に、手のひら全体をほぐすと、緊張感のゆるみを覚えるでしょう。左右とも行います。
ツボ・関元(かんげん)を刺激する
「要所、入口」と「源、元気」の意味が含まれる「関元」は、東洋医学でいう体のエネルギーの「気」、血流の「血(けつ)」の出入り口の要所を示します。活力、生命力の源を表すため、関元が痛い、かたい、冷たいと、全身に元気がない状態と見てとれます。
だるい、やる気が出ない、けん怠感、また胃腸の不調に対応し、食欲不振、胃炎、胃重感、下痢などに作用します。また、おなかや足の冷え、むくみ、さらに、頻尿や月経痛などにも働くことで知られています。
<ツボ「関元」の位置>
体の中心線上で、おへそから「おや指以外の指4本分を揃えた幅」の分を下がったところ。
<刺激法>
力を抜きおなかをゆるめて、両方の手のなか指を重ねてゆっくりとひと押し5~10秒を3~5回くり返します。手の指先や手のひらで、さする、なでるのも有用です。
なお、「梅雨バテケアで紹介したツボも有用なので、合わせて参考にしてください」と丸尾さん。
聞き手によるまとめ
さっそくひととおり押してみると、だるさや重さが軽くなって元気を取り戻すように感じ、少し食欲も出てきました。頭、手、おなかのツボとして確かに覚えやすく、押しやすいことにも気づきます。夏バテ・残暑バテケアのひとつとして試してみてください。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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