犬飼貴丈さんと堀未央奈さんがW主演を務めるドラマ「サレタガワのブルー」(MBS・TBS)が毎週火曜深夜に放送中です。
漫画家のセモトちかさんによる同名漫画が原作で、犬飼さんは愛妻家で家事も仕事もできる“完璧な夫”でありながら、妻の不倫に心を乱される“不倫された側”の田川暢(たがわ・のぶる)を演じています。犬飼さんに、本作や昨年始めたYouTubeチャンネルのことについてお話を聞きました。
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個性的な役が続いた影響で…?
——今回、初めての既婚者役になるそうですね。オファーを受けたときの心境はいかがでしたか?
犬飼貴丈さん(以下、犬飼):既婚者という以前にさわやかで感じのいいキャラクターに「久しぶりだな」という感覚がありました。最近は個性的な役が多かったので。(竜星涼さんとW主演の)『ぐらんぶる』ではほぼ裸でしたからね(笑)。
「純粋でいい人」の役は、連続テレビ小説『なつぞら』で天陽くん(吉沢亮さん)の兄を演じた以来かもしれません。約2年ぶりにこういう役が来たので、久々だなと思ったのが最初の印象です。
ドラマ化が発表されたあとは、友人や知人から結構な数の連絡が届きました。「あの作品読んでるよ!」と。有名な作品だから読んでいる人は多いだろうなと予想していましたけど、ここまで反応があったのは初めてのことでした。
——実際に好青年を演じてみて、ブランクを感じることはありましたか?
犬飼:若干……。暢を演じながら「ここで脱いだら面白いんじゃないか」「いま、突拍子のないことを言ってみたら……」と。『ぐらんぶる』病ですね(笑)。真面目な暢だからこそ、真面目じゃないことをいきなりやったら面白くなるだろうなと、提案できないアイデアが自然に浮かんできては自分で打ち消す、という。
——クセの強い役が染み込んでいますね(笑)。原作は読みましたか?
犬飼:はい、読みました。新しい感覚の作品だなと感じました。不倫というテーマは、女性のほうがされた側として描かれる作品が多いイメージがあったので、夫がされた側なのが新鮮な感じがしました。登場人物の行動があそこまで振り切れているのも新しいと感じる要因の一つでした。
自由奔放な藍子に対して思うこと、暢に抱いた違和感
——妻・藍子の奔放さは「アイコパス」と名がつくほどですからね。犬飼さんは藍子に対してどんな印象を持ちましたか?
犬飼:動物に近いなと感じました。普通の人が理性で押さえ込むようなことも、動物的な衝動で行動に移してしまう。欲望のままに生きている人というか、ある種解放された人というか。我慢や抑圧を全て跳ね返してしまうようなパワーがある女性だと感じました。
——暢に対してはどうでしょう。
犬飼:先ほど「純粋でいい人」と言いましたが、次第に、自分のちょっとした異常性に気づけない人だなという違和感を抱くようになりました。藍子さんの行動が目立ちすぎて気づきにくいんですけど。よくよく考えてみたら、暢の思考や行動にもおかしなところがあるぞ、と。藍子さんに対する過保護すぎる愛とか。“完璧”なのに自信がなくてオドオドしているようなところとか……。
——確かに。家事も仕事もできて、イケメンだと周囲からも認められていて社会的な評価も得ていて……それなのにどこか自信がない。そのアンバランスさの理由も話が進む中で明かされていきますか?
犬飼:はい。ある過去が関係しているのですが、過去がどうであれ僕は一人の男性として暢はやっぱり変わった人だなと思っています。でも、演技をするうえでは僕が感じた部分を意図的に表現することはしませんでした。違和感をただ心の中に置いておくだけでいいのかな、と。監督とも話をして、監督も「そう思う」と言ってくださったので、現場での役作りはしやすかったです。
毎回変わる〇〇に注目!
——堀未央奈さんと印象に残っているエピソードはありますか?
犬飼:堀さんとは現場で明るい雰囲気で接するようにしていました。ヘビーな作品で、不倫する側/された側という関係でもあるので、カメラが回っていない時のコミュニケーションが大事だと思って。堀さんが役に入り込むタイプで、カメラの外でも藍子さんだったらどうしよう……と思ったりもしたのですが、その心配は不要でした。話しやすくて気さくな女性なので、すごく救われましたね。僕は気持ちが下がるシーンが多かったので。そういうところでうまくバランスを保つことができました。
——疑惑、ショック、葛藤、怒り……重くて暗い感情に揉まれてばかりですもんね、暢は。普段も現場では積極的にコミュニケーションを取るタイプですか?
犬飼:そうですね。キャストともスタッフともなるべく良好に、お互いが仕事をしやすい環境を作りたいなと思っています。「サレブル」の現場は自由度も高くて素敵な現場でした。スタッフさんたちが小道具の細かいところまで工夫してくれたり、セットもキャストの好きなようにアレンジすることを許してくれて。実は、暢と藍子の家に出てくる鳥の置物は、毎回持っているものが違うのでぜひ注目していただきたいです。
職業を「犬飼貴丈」にできるように
——役者としてのキャリアをスタートして7年目ですよね。ご自身にとって、今はどんな時期だと思いますか?
犬飼:まだ、がむしゃらに走る時期だと思っています。自分に与えられたものは頑張って役で返していくべきだと。やりたいことや目指したい方向性なども探しながら、がむしゃらに。今、27歳なので若さで突破できることも多いと思うんです。だから止まらずに走り続けたい。30代で振り返って後悔しないように、まだまだ途中という感じですね。
——やりたいことや方向性、もしよかったら少し聞かせていただけますか?
犬飼:作品を通じてたくさんの人の心を動かしたりできるのが、この仕事の醍醐味だと思うんですけど、作品以外の場所でも、自分で何か発信して心を動かせたりできたらいいな、と思っています。基本的に俳優は作品に入っていないと表現の場がないのですが、そういう時でも何か自分が発信できるツールを持つなど、いろんなことをやれる環境を作れたらということを考えています。職業を「犬飼貴丈」にできたらいいなと。
——昨年からはYouTubeも始めていますよね。そういう動機から?
犬飼:それは、事務所からやってみようと提案されたから(笑)。でもそれだって、与えられたことなので頑張ろうと思ってやっています。
プライベートを「切り売り」していると思うことはない?
——「生春巻き」を作って食べる回を見ましたが、独特の時間が流れていて面白かったです。
犬飼:ありがとうございます(笑)。この仕事をしているとスケジュールが不定期なので、コンスタントに動画を上げるのが難しいという課題があったのですが、食事ならどんなに忙しくても少なくとも1食は食べるよなと思って、食事に関する動画を撮るようになりました。そんな裏事情もあったので、動画を見て、楽しんでいただけたならよかったなという感じですね。
——コメントはご自身でも確認したりしますか?
犬飼:全ては読めていませんが、時間がある時は読むようにしています。コメントがついているのを見ると嬉しくなります。
——言葉がよくないかもしれませんが、プライベートの切り売り……みたいな気持ちになることは?
犬飼:そこはありませんね。僕としては、プライベートを見せているつもりは一切ありません。例えるなら「ご飯を食べているシーン」を撮影しているという感じです。カメラが回ると、シャキッとするというか、カメラに映る自分は、プライベートの自分とは別だと思っているんです。
動画内ではヘアメイクを作り込まないとか、少しゆるめのテンションにしていますが、それらは手を抜いているのではなくて“日常風”を作り込んでいる。そういう工夫をしているのでノンフィクションテイストの作品として楽しんでいただけたら嬉しいですね。
(スタイリスト:秋山貴紀、ヘアメイク:加藤ゆい(フリンジ))
(取材・文:安次富陽子、撮影:西田優太)
■作品情報
ドラマイズム『サレタガワのブルー』
出演:犬飼貴丈 堀未央奈
監督:スミス
脚本:舘そらみ
原作:セモトちか(集英社『マンガMee』連載)
MBS:毎週火曜 深夜0:59~、TBS:毎週火曜 深夜1:28~放送中
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情報元リンク: ウートピ
「ここで裸になったら面白いはず…」と思った瞬間も。犬飼貴丈「サレタガワのブルー」主演