産婦人科医の対馬ルリ子さんが代表理事を務める一般財団法人日本女性財団(以下、日本女性財団)は7月8日、コロナ禍で増加する貧困やDV被害に遭った女性たちを1人でも多く支援するためにクラウドファンディングサービス「READYFOR」で、支援金募集をスタートしました。目標金額は250万円で8月31日まで。
初日に開催されたオンライン記者会見で対馬医師は「被害に遭われた方、緊急事態に直面している方は、申請して後でお金をもらうのでは間に合わない。今、目の前にリスクがある方、駆け込んできた方、そして、少しでも希望がなければ命も危ういという方に手を差し伸べることが大切」と力を込め、コロナ禍の女性の貧困やDV被害の現状、クラウドファンディング実施に至った背景などを説明しました。
全国の15人の医師が “フェムシップドクター”として活動
コロナ禍での自粛生活により「配偶者・交際相手によるDV」「子どもへの性的虐待」「レイプ(望まない性行為)」などの被害が増加。内閣府の窓口に寄せられた2020年4月から2021年3月のDV相談件数は過去最多の19万件となっています。
そんな状況を受け、コロナ禍前から厳しい環境に置かれている女性や子どもたちに支援の手を差し伸べ、地域社会に貢献していた全国の15人の女性医師たちが2020年8月に日本女性財団を設立しました。
医師たちは自らを“フェムシップドクター(Femship doctor)”と命名。「女性の苦しみ、女性としてのつらさ、言えない悩み、身心困難、貧困、DVなどで苦しむ女性たち(女の子たち)を親身になって理解し、ケアに取り組み、女性を支援する」として、性被害に遭い、緊急避妊が必要な場合やDV被害者、困窮している女性を救済するため、緊急処置や一時シェルター、支援施設や関連窓口と連携して活動しています。現在は15人ですが、今後その輪がさらに広がっていくことが期待されています。
「逃げる術がわからない、病院に行けない人が増えている」
コロナ禍で過去最多のDV相談件数に達している状況について、自身が運営するクリニックをシェルターがわりに開放している対馬医師は「これはほんの一部。多くの女性や子どもが相談できない状況はずっと続いている」と説明。
さらに「来院する女性たちの中には、診察料や検査料、薬代などを払えないだけでなく、身の安全を第一に考えると帰宅せずに保護する必要がある場合もあり、身の回りのものや食費などを医師が自腹で払っている現状がある」と話し「クラウドファンディングを通して支援金を募ることで、助けられる女性の数が増えれば」と期待を寄せました。
目標支援金額の250万円の使用用途は、婦人科検診や傷の手当て、衣服や当日の食料提供などで、1人最低限3万円と見込み、約80人分の救済費用に充てる予定です。
今回、クラウドファンディングで支援金を募集した理由として「困ったことがあれば、少なくともフェムシップドクター15人はあなたを守る」というメッセージの発信も含まれていると話す対馬医師。「助けが必要な現状であっても、『逃げる術がわからない』『お金がないから病院に行けない』という人が増えていると感じています」と明かしました。
同プロジェクトのHPではフェムシップドクターの経験談や思いが紹介されています。
コロナ禍だけでなく、何かのきっかけで誰にでも起こり得る労働環境や家庭環境の変化。この医師たちのメッセージを受け止め、自分にできる行動は何か考えてみたいと思います。
クラウドファウンディング詳細「独りで悩まないで。全国の女性医師たち15名と、苦しむ女性を救いたい」
一般財団法人日本女性財団
https://japan-women-foundation.org
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情報元リンク: ウートピ
DV相談件数が過去最多の19万人に…女性医師たちによるクラウドファンディングがスタート