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もしかして私、妥協されてる? 婚活アプリに漂うブーメラン感

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婚活はなぜしんどいのか。アプリで微妙な気持ちになる男性とばかり出会うのはなぜなのか。「普通の人」はどこにいるのか──。

婚活をしたことのある女性なら誰もが抱いたことのあるはずの疑問や違和感について、まさにそのような問題をテーマにした小説『結婚のためなら死んでもいい』(新潮文庫)を上梓した作家の南綾子さん(40)。

『どうして男は恋人より男友達を優先しがちなのか』(イースト・プレス)で婚活のモヤモヤを語った桃山商事のワッコさん(33)と、漫画『普通の人でいいのに!』がSNSで話題になった漫画家の冬野梅子さん(35)をゲストに迎え、3人で婚活について語り合っていただきました。全4回の第3回です。

アプリの「いいね」はブーメラン!?

ワッコ:これはお二人に聞きたいと思ってたことなんですが、婚活アプリって盛大なブーメランみたいなところがないですか?

南:どういうことですか?

ワッコ:「いい男がいない。普通の男がいない」と嘆くたびに、「自分も絶対向こうからそう思われてるんだろうな」という考えが頭に浮かんでしまうんです。「こういう層からしか『いいね』がこない人間なんだな……私も」みたいにぶっ刺さるというか。

梅子:ああ、わかります。

ワッコ:自分はブスだし、身長が180センチくらいあって巨大だし、不規則な仕事をしているし、金髪で黒のネイルしているし……つまり女としての市場価値が低いからそういう状況なんだろうなって。

梅子:どうせこの人も妥協して私を選んでるんだろうなと感じることは多いですね。100人に「いいね」して私としかマッチングしなかったから会うことにしたんじゃないか、みたいな。前に男性向けのアプリ攻略サイトを見たら、「無料で『いいね』できる時は全部押しましょう」的なことが書いてありました。私はアプリに顔写真を出してないんですけど、それでも時折「いいね」が一気に増えることがあって、そういう時はほぼ確実にそういうキャンペーン的なことなんだろうと思ってます。

自分が「いいね」した人としか会わない

ワッコ:アルゴリズムで出てきたから的な……。

南:アルゴリズムだし、最終的には年齢で判断されてることがほとんどなんじゃないかなあ。私がアプリを始めたのは35歳の時なんですけど、60歳とか70歳のおじいさんからもたくさん「いいね」が来て、これは絶対年齢しか見てないなと悟りました。だから私は、自分につく「いいね」はそもそも見ないようにしてます。アプリのプロフィールで女性としての結婚偏差値みたいなのは測れないと思っているから。写真だっていくらでも盛れるわけだし。

梅子:そうすると、南さんはどういう相手と会うんですか?

南:自分に「いいね」してくれた人ではなく、自分が「いいね」した人としか会わないですね。それこそ100人くらいに「いいね」して、引っ掛かった人と会うようにしている。

梅子:割り切り方がすごい……!

南:実際のところ、一瞬タイミングがずれただけで一生マッチングしなくなる相手がたくさんいるわけじゃないですか。ギャンブルみたいな感じでランダムに出会ってると思うんですよ。

ワッコ:まあ、ガチャですよね

南:うん。毎日ガチャ回している感覚。何が出るかわからないし、とにかく会ってみないとわからないなって。そう考えるようになってからは、自分に「いいね」がついてるかどうかはまったく気にしなくなったという感じです。

メッセージのやりとりをどこまで重視するか問題

ワッコ:アプリの相手に会うかどうかの判断基準って、本当に人それぞれですよね。わたしは「気が合いそう」と感じた男性としか会わないようにしていて、だから会う時には結構期待してしまっているところがあります。

南:気が合いそうかどうかは、メッセージのやり取りで判断してるんですか?

ワッコ:そうですそうです。

南:私は「とにかく数を打たなきゃ」って思ってたから、メッセージの内容とかもあまり重視してませんでした。

梅子:すごく新鮮な考え方です。

南:メッセージのやり取りって、特に男性は苦手な人が多い印象がないですか? 私自身はまったく苦にならないんですが、メッセージで質問し合うことを本当に苦痛に感じる人がいるということを、ある時知ったんです。それからは事前のやり取りもあまり重視しなくなりました。メッセージだと映画の話とかで盛り上がったのに、会ってみたらひどい人もいっぱいいたし……オンラインでは紳士的な印象だった人が、カウンター席で靴を私に向けて足を組んだりとか。

ワッコ:会ってみたら「電マ男*」だったっていうのも、本当にあるあるですよね。

*『結婚のためなら死んでもいい』に登場する、アプリ上でのメッセージのやり取りだと普通なのに、実際に会ってみたらプルプルと震えているだけで何も話さない男性のこと

南:ありますよね。なので私は、「会いましょう」と相手が言ってくれるかどうかだけが大事なんだと割り切っています。どんなにつまらない会話でもキャッチボールが続けば、何日目かには「会いませんか」と切り出してくれる。メッセージは「会いませんか?」にたどり着くためのやり取りにしか過ぎなくて、そこから何かを推し図ろうというのはやめました。

ワッコ:なるほど。

メッセージのやり取りはしんどくないですか?

梅子:私自身がそうなんですけど、メッセージのやり取り自体がしんどくなることはないんですか? 

南:それがあまりないんですよね。でもメッセージで相手を接待してる感覚はあります。会った段階でそれはリセットされるんですけど。

ワッコ:会ったらガチのタイマン勝負ってことですね。

南:そうそう。

ワッコ:相手の男性は、南さんがそうやって接待してくれてることに気づいてなさそう。「この人俺に興味があるんだな」とか思ってるんじゃないかなあ。

梅子:絶対そうですよ!

ワッコ:そういうのが悔しくなる時はないんですか?

南:それはないかなあ。恋愛って、結局のところ何かで惹きつけなければいけないじゃないですか。一般的には、若さとか胸が大きいとか顔がかわいいとかでおびき寄せるんだと思いますけど、私はメッセージのやり取りを武器にしているという感じですね。

「興味がない相手への質問」という苦行

南:梅子さんがメッセージのやり取りをしんどいと感じる原因は、どこにあるんですか?

梅子:そもそもアプリの写真やプロフィールで相手に興味を持つことが少ない中で、「でもやらなきゃ」と思ってやっているというところに、そもそもの原因がある気がします。

ワッコ:わかります、義務やタスクみたいな気持ちはわたしにもあるかも。それだとモチベーション上がらないですよね。

梅子:はい。別に聞きたいことはないけど質問はしなきゃいけないから、相手の興味がありそうな分野のことを聞く。そうすると相手からも何かしら質問が返ってくるんだけど、こっちも大して答えたいわけではない……こんなにモチベーションが低い状態でかなりの時間を割いているこの状況は、一体なんなんだろうって思ってしまうんです。毎回の作文がとにかくきつい。

ワッコ:わかります。

梅子:「そういう仕事なんですね、すごいですね!」って返信したら、「いや、まあまあまあ」とか返ってくることもあって、そういうテンションのズレでどうでもよくなることもままあります。 

ワッコ:なんでわたしだけがんばってるんだろう、みたいな。

梅子:だから私のようにメッセージのやり取りが苦手な人は、早く会っちゃったほうがいいんだろうなと思います。でもせっかくご飯とか食べにいくのに変な人だったらイヤだから、どうしてもメッセージのやり取りで見極めたくなる。その時間がとにかく苦痛です。

ワッコ:しかも、大して興味がない相手にあっさり拒否されることも普通にあるじゃないですか。

編集:そういう時に、自尊心はどうやって回復させてるんですか?

梅子:回復しないですよ。

ワッコ:しないですよね。幸いなことに相手のことが好きでもないし興味もないから、ただただ不快なだけという感じもあるんですけど。

南:私はとにかく数を打っていたので、拒否されることが多過ぎてそれに囚われている場合でもないという境地になってました。切替えていくしかないというか。

(構成:森田雄飛/桃山商事、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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