日本人女性が生涯で乳がんに罹患(りかん)する確率は10.6%(9人に1人)*1。女性がかかるがんの中で、最も多い部位となっています*2。乳がん手術を受けた後も、多くの人が手術前と同じように仕事を続けたり、家事をこなされたりしていますが、術後の状態は個人差があり、精神的な変化も大きいと聞きます。
術前と変わらず、少しでも快適な生活を送ってほしい……そんな思いで乳房を手術した人に寄り添いながら下着を作っているブランドを今回は紹介したいと思います。
下記に紹介するすべてのブラジャーは、実際に乳がんの全摘手術(左胸)を受けたウートピ編集部のHさんが、術後から1ヵ月の間に実際着用したもの。そのリアルな感想も記しています。
下記に紹介するのは個人的な感想です。術後の経過には個人差があるため医師に相談のうえ、自分に合ったブラジャーを選んでください。
Contents
ワコールが開発した安心のブラジャー「リマンマ」
ワコールが「乳房を手術した人に快適な生活を送るためのお手伝いを……」との思いで1974年にスタートしたのが「リマンマ」。全国に6ヵ所あるリマンマルームや全国各地で開催している無料相談会では専任のアドバイザーが下着の相談にのってくれます。すべてのブラジャーがワコールが長年積み重ねてきた女性のからだの研究データをもとに、設計や素材に細部までこだわって作られ、女性の「美しくありたい」という気持ちを応援してくれます。
「手術が決まってからすぐに行ったのがリマンマルームでした。専任のアドバイザーさんはたくさんの乳がん患者さんを見てきているんだろうなと思ったので、安心して下着のことを相談できました。ほかの患者さんがどんな下着を着けているのか、生の情報を聞けたのはすごく参考になりました。軽量パッドはほかのメーカーのブラジャーにも入れて使っています」
肌あたりの優しさにとことんこだわった「フリープ」
ふんわりとした伸びの良いスマイルコットン(R)を使用し、優しい肌あたりの下着を展開する「フリープ」。もともと前開きブラは授乳用や着脱のしやすさから人気のブラジャー。乳がん手術後に着用する人も多いことを受け、定期的に医療機関で開催される相談会や販売会などに参加し、患者さんや医師の意見を詳しく聞いて商品をブラッシュアップしたそう。
デパートの下着売り場などで気軽に購入できるため、手術前の下着選びと同じように買い物できるのがうれしい、との声もよく聞かれるそうです。
「私は伊勢丹新宿店の店舗で試着して購入したのですが、何よりうれしかったのがこれまでと同じ場所で買い物ができることでした。乳がんになった途端、『病気の人』と『健康な人』に分けられた気がして、『これまでと同じ生活ができなくなるのかな』と弱気になっていたのですが、今までと同じように買い物できるのが救いになりました。商品の着け心地は肌にやさしくとても気に入っています。手術から数ヶ月たった今もおそろいのショーツと一緒に愛用しています」
手術直後にピッタリ! ハサミでカットできる「メディキュア」
患者さん一人一人の肌と心の声から生まれた「メディキュア」。グンゼが長年培ってきた技術によって開発され、肌着が「衣料」ではなく「衣療」となるように、との願いが込められています。このブラジャーの最大の特徴は、切ってもほつれにくい素材を使用しているため、肌あたりが気になるときはハサミで簡単にカットできること。ユーザーからも「手術直後の入院中にピッタリ」「乳がんの手術後、下着による擦れでキズの痛みがつらかったが軽減した」などの声が寄せられています。
「『メディキュア』は手術後、少し時間がたってから使用したのですが、締め付けがなくて肌あたりがまったく気になりませんでした。手術直後は脇の部分が敏感になっているのですが、こちらは自分の脇や体に合わせてハサミで切れます。手術直後に使いたかった! と思いました。適度なホールド感で、家でのリラックス時にぴったりだと思います」
前あきインナーが登場!今年はエアリズムも!「ユニクロ」
ユニクロからも昨年秋、かぶりの下着が脱ぎ着しづらい人のために「前あきインナー」シリーズが登場。腕が上がりにくい、入院や通院をしている、乳がん手術後、高齢、などさまざまな人の声を聞いて開発を進めたとのこと。前あきブラジャーの他に前あきTシャツもあり、コットンとエアリズムの2種類の素材があります。汗をかいてもサラサラな快適さをキープします。発売当初はオンラインショップのみでの販売でしたが、現在はオンラインショップに加え、全国およそ150店舗で購入できます
「なんとなく大きめがいいかなと思って一度オンラインでXLを注文したのですが、やっぱり大きかったのでLサイズに変えてもらいました。今は店舗で購入できるそうなので試着はしたほうがいいと思います。着け心地はさすがエアリズム。サラサラで夏にぴったりだと思いました。色のバリエーションが多いのもうれしかったです」
快適な着け心地でおしゃれ心を満たしてくれる「エミリーウィーク」
乳がん患者さん向けに作られたものではないですが、Hさんは締め付け感が少なそうだったことから購入したという「エミリーウィーク」。オーガニッコットンを使用し、ゴムが直接肌に触れないように包むなどノーストレスな着け心地。その着け心地に納得できるのはもちろんのこと、ストラップが華奢だったり、胸元がきれいなVカットだったり、限定カラーがそろうなど、おしゃれ心を十分に満たしてくれるのがポイント高かったそうです。
「もともと胸が大きめということもあって、手術前は他のメーカーのホールド感があるワイヤーブラを中心に着けていました。エミリーウィークは『かわいいな』といつも眺めているだけだったのですが、乳がんになった途端、ここぞとばかりに購入しました。心配していたホールド感もあってとても気に入っています。トレンドのシアー感があるトップスにも合わせやすいのでおすすめです」
事前に準備したことが術後の生活に役立った
「私の場合、初めての手術でこれまでの生活を送れなくなることが最大の不安だったので、下着はいろいろなタイプを多めに用意しましたが、やり方や何を優先するかは人それぞれだと思います。自分に合ったサイズの下着をとりあえず1枚用意して、その後の生活や体調に応じて追加で用意するのでもいいと思います」とHさん。
ただ、試着はなるべくしたほうがいいとのことで「今はコロナ禍で外出が難しいかとは思いますが、できれば実際に試着して自分に合ったものを用意したほうが無駄にならないし、傷が落ち着いたあとも使えると思います」と話してくれました。
*1「ピンクリボンフェスティバル」のHPから引用。
*2「国立がん研究センター がん情報サービス」のHPから引用
- がんになってもオシャレをしたいから 私が乳がんのことを発信する理由
- ガンになっても「キレイになりたい」を我慢しなくていい世の中に
- 「我がおっぱいに未練なし」女社長・川崎貴子、乳がんになる
- 29歳でガンになった私が思ったこと「若い女性がなるのは想定されていない…」
- これからも「ありのままに」おっぱいを出していきたい【川崎貴子×前野隆司】
- 装花デザイナーの私が乳がんになって…「それでも作ることを続けていきたい」
情報元リンク: ウートピ
病気になってもオシャレしたい! 乳がんの私が着けてよかったブラ5選