恋する女性のために人を殺した女性と、殺すことを求めた女性の行き場のない逃避行を描くNetflix映画『彼女』がNetflixで世界同時独占配信中です。原作は、中村珍さんの「羣青(ぐんじょう)」(小学館IKKIコミックス)。本作の監督を、廣木隆一さんが務めます。
家族に同性愛者であることを打ち明けられず孤独を抱えるレイを水原希子さん、夫から壮絶なDVを受けるも逃げることができない七恵をさとうほなみさんが演じています。
インタビューの後編では、おふたりに孤独をテーマにお話を伺いました。
彼女が「自分らしさ」を取り戻せたのは…
——裕福な家庭に生まれ育ち、医師としてのキャリアも順調で何不自由ない暮らしをしているレイ。結婚して誰もがうらやむような生活を手に入れた七恵。ふたりとも“外側”から見れば幸せそうですが、その内面には孤独やままならなさを抱えています。
水原希子さん(以下、水原):そうですね。レイは仕事も順調で、恋人もいる。家族仲も悪くありません。けれど、家族に自分が同性愛者であることを明かせずにいる面もある。そういう苦しみはあったかもしれません。
さとうほなみさん(以下、さとう):七恵はずっと両親にも愛されず、友達もいなくて、夫からはDVを受けていました。七恵はきっと本音で生きる経験をしたことがない人なんですよね。誰にも本心を見せられなかったけれど、レイと短いながらも濃厚な時間を過ごして自分を取り戻せたのではないかと思います。
水原:レイの場合は、悩みを抱えているといっても、家族や恋人の愛を感じながら生きてきました。そのあたたかくて優しい環境を全部捨ててでも、たったひとりの「愛する人を守る」ことを選びます。自分で決断するということを通じてレイもまた新しい自分らしさを見つけたのかなと思っています。
孤独は不意にやってくるもの
——お二人は日々の生活の中で孤独を感じることはありますか?
水原:ありますよ。私はモデルという仕事と出会って居場所を見つけたと感じましたが、居場所があっても孤独は不意に訪れるものなのかなと思います。あまり暗い話はしたくないんですけど……。そういう感情はあって当たり前だと思うんです。私にもある。そんなとき私はサウナに行ったりしてセルフケアをするんですけど……。
さとう:サウナ! 前の取材でも言ってたね(笑)。
水原:そう(笑)。私の周囲には支えてくれる方がたくさんいますが、人間関係に重きを置きすぎると、それはそれでつらいことになるので。落ち込んだとき、すぐに誰かに助けてもらおうと考えるのではなく、自分のことを自分でケアできるようになったほうがいいなと思うんです。自分を甘やかすなど、うまく孤独と付き合っていく術を日々学んでいますね。
——さとうさんはいかがですか?
さとう:孤独を感じること、ありますよ。そういうときにどうすればいいか、人にアドバイスできるようなことはないのですが……。涙を流すといいとかいろいろ通説はあるじゃないですか。でも、それがいつでも誰にでも有効かというとそうじゃないですよね。自分の孤独は自分にしかわからないものですから。その気持ちを忘れないようにしておくのがいいのかなぁ……。まったく同じように覚えておくことなんてできないけど、前に同じような苦しさがあったなって経験の一つとして思い出すかもしれない。
孤独な感情も、いつか役立つかもしれない
水原:そうだね。私は孤独な気持ちがやってきたら、とことんその気持ちに浸ったりもします。一人で車の運転をしながら「私は今、ひとりだなー」って思ったりして。その気持ちを覚えておくことも必要だと思うんですよね。
さとう:うん。
水原:脳の勉強をしている友達から聞いたのですが、脳はすごくいたずらで、自分が傷つくように仕向けてくるというか。ネガティブなほうに反応しがちなのだそうです。
さとう:あると思う!
水原:だから、今感じている自分のこの気持ちは脳の罠かもしれないぞ……とちょっと引いてみたり、どっぷり浸かってみたり、話せると思うなら仲間に話してみたりして何パターンか付き合い方を持っているといいのかも。
さとう:その感情があるから気づける、他人の痛みもあるかもしれないですよね。
水原:そうそう。そうなったら無駄ではないというか。孤独を感じるのは悪いことだと思うとストレスになるので。誰もが孤独や弱い面を抱えて生きているんだと思うことにしています。
さとう:みなさん。こんなに太陽みたいに明るい水原希子にも孤独があるんですから、ね。
(ヘアメイク:白石りえ、スタイリスト:小蔵昌子(水原希子) 、ヘアメイク:野中真紀子、スタイリスト:市野沢祐大/TEN10(さとうほなみ))
(取材・文:安次富陽子、撮影:宇高尚弘)
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情報元リンク: ウートピ
誰もが“外側”からは見えない孤独や弱さを抱えている【水原希子・さとうほなみ】