EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのパフォーマー・岩田剛典さん。近年は俳優としても活躍しており、2021年1月29日(金)には3年ぶりの主演作『名も無き世界のエンドロール』(佐藤祐市監督)が公開されます。
2020年は岩田さんにとって、芸能活動10周年。この10年でどんなことを考えて、どんなふうに自分の道を切り拓いてきたのか? インタビュー後編は、「デビューから数年は、グループのために何ができるのか迷い悩む日々だった」という岩田さんに、自信をつけるために歩んできた道のりを伺いました。
前編はこちら:岩田剛典を読み解く3つのキーワード
グループ内での立ち位置を確立できずに、苦しんだ時期も
——2020年は、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEにとってデビュー10周年の年でした。ここまでの10年は岩田さんにとって、どんな10年でしたか?
岩田剛典さん(以下、岩田):僕にとっては芸能活動をはじめてからの10年になるので、人生そのものとしか言いようがないですね。もちろんデビューするまでの人生も僕の人格をつくったけれど、社会的なイメージや立場は、すべてこの10年で培われたもの。いまある自分は、この10年によって磨かれた自分です。決して短くはなかったし、いい経験を積ませてきてもらったし……積み重ねた道のりそのままの重さを、しっかりと感じます。
——そのなかで、転機となった場面を挙げるなら?
岩田:グループで言うなら、やっぱり『R.Y.U.S.E.I.』(2014年)のようなヒット曲に巡りあえたことですかね。ヒット曲ってなにがきっかけで生まれるかわからないし、CDもなかなか売れなくなってきている世の中でそういう楽曲に出会えたことは、やっぱり転機でした。普通なら経験できないようなことを、あの曲をきっかけにたくさんやらせてもらい、環境がガラッと変わったように思います。
——岩田さんご自身にとっては、パフォーマーだけでなく俳優業をはじめたことも、ひとつの転機なのかなと推察していました。
岩田:結果としてはそうですね。でも、当時はとにかくたくさんのことをやりたかったんです。たくさんのことをやってきた中で、俳優もやらせてもらった。
——どういうことですか?
岩田:デビューしてから数年、僕はグループのなかですごく肩身が狭かったんです。同じグループのメンバーは、幅広く活躍している。僕もLDHや見出してくれたHIROさんに対して恩返しがしたいのに、どうすればいいかわからない……という葛藤がありました。「自分は、会社やグループにただただ乗っかっているだけだ」という劣等感が、ずっとあったんですよ。
(三代目のグループ内では)最年少メンバーだということもあるけれど、自分に引け目を感じていると、いろんな話し合いの場でも発言できなくなったりして……ローなマインドに入ってしまうこともあって。それでもいろいろ模索し続けて、自分の存在意義や自信をつくるためにはじめたことのひとつが、俳優という仕事でした。
——そんな葛藤や試行錯誤があったなんて、とても意外です。
岩田:だから実は、俳優をずっと続けていくということも、最初は考えてもいませんでした。グループに貢献することだけが目的だから、その先の自分個人の人生についてなんて、まったく考えていなくて。いま思えば、それってすごく視野が狭いですよね。
ただ、音源に声が乗るボーカルと違って、僕たちパフォーマーは、自分なりの立ち位置を築くのがやっぱり難しいんです。HIROさんが「バックダンサー」を「パフォーマー」としてブランディングしてくださいましたが、自分自身でその幅を広げていかないと、グループに“ただ乗り”しているダンサーで終わってしまう。そんな危機意識が常にあったので、ラップをしてみたり、モノマネやバラエティを頑張ったり、必死にいろいろ試してきました。いま思えば、完全に迷走していた時期でしたね(苦笑)。
わけもわからないまま頑張っていたら、道ができていた
——そのようなスタートから、俳優という仕事に意志ややりがいを感じはじめたのは、いつごろだったんでしょうか。
岩田:オーディションを受けて役をもらえてから、少しずつ意識が変わっていったんだと思いますね。自分で役を取りに行くという経験をはじめてしたのは、映画『クローズEXPLODE』(14年/豊田敏明監督)でした。それからは舞台を経験したり、ドラマ『ディア・シスター』(14年/フジテレビ系)や映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16年/三木康一郎監督)に出たり……わけもわからないまま、とにかく頑張る時期に入って。そういう作品たちのおかげで、多くの方に自分を知ってもらうきっかけもつかめました。
——新しい手ごたえを得て、自分で自分を見る目は変わりましたか?
岩田:ありがたいことに芝居と出会えて、「自分らしさ」というものがつくられていったなと感じます。ただ、先の目標をしっかり決めて、まっすぐそこに行きつけたかというと全然そんなことはなくて……「自分なりの存在意義」はほしかったけど「こういう道筋で作っていこう」と明確な意思があったわけじゃない。でも、がむしゃらにやった結果としてついてきた実績が、自分自身の救いになりました。仕事が自分をつくってきてくれたなって、めちゃくちゃ思います。それでようやく、芝居そのものの楽しさにも気づけてきました。
「HIROさんはメンバーにも敬語でメールをくれる」
——いまは、自信も持てていますか?
岩田:そうですね。自信をもってやらないといけない立場にもなってきているし。今回のような作品にオファーをいただけるようになったのも、一つひとつの作品や出会いを積み重ねてこられたからだな、と思います。
——今後は「こんな役をやりたい」といった構想も生まれてきたんでしょうか。
岩田:作品を選べる立場にはまだないけれど、いただいた作品にはこれからも真摯に向き合っていきたいですね。あんまり「自分がどうなりたい」とか口に出さないほうが、可能性を狭めなくていいかなとも思っているんです。
——では最後に、仕事と誠実に向き合うためのマイルールを教えてください。
岩田:仕事をするときは、毎回「これが最後になるかもしれない」と思ってやっています。そういう気持ちをつねに持っていることは、作品に対する誠実さなのかもしれません。あとは……「礼儀」と「態度」でしょうか。僕は自分が人より特別秀でたところがないと思っているからこそ、みんな当たり前にやってることだけど、礼儀と態度はちゃんと気を付けようと意識するようにしています。LDHは竹を割ったような体育会系なので、デビューする前から礼儀作法については口酸っぱく言われるんですよね。それを一番体現しているのはHIROさん。実は、ああいう立場なのに僕にメールくれるときは敬語なんですよ。
——HIROさんが、メンバーに敬語!
岩田:そうなんです。たぶん、20歳くらいのメンバーにもそうだと思う。そこもHIROさんイズムとして、見習っているところですね。どんな時代になっても、人を動かすのは絶対に人じゃないですか。だからこそ、人に対してきちんと感謝を持って向き合っていたいんです。
■作品情報
『名も無き世界のエンドロール』
2021年1月29日(金)全国ロードショー
(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
配給:エイベックス・ピクチャーズ
公式サイト:https://www.namonaki.jp/
映画の半年後を描いたオリジナルドラマ『Re:名も無き世界のエンドロール~Half a year later~』は映像配信サービスdTVで映画公開と同日の1月29日から独占配信。
インタビュー後編は1月25日(月)公開予定です。
(ヘアメイク:下川真矢(BERYL) 、スタイリスト:桶谷 梨乃(W))(取材・文:菅原さくら、撮影:面川雄大、編集:安次富陽子)
- 岩田剛典を読み解く3つのキーワード【仲間想い・八方美人・サプライズ好き】
- 出発点は「父親になれるのだろうか」という疑問 映画『泣く子はいねぇが』監督インタビュー
- 「大変な時代だったねと話せる日がいつか来る」吉高由里子が「見たい」と願う未来
- 「基準は世間より自分」宇垣美里が日々積み重ねているもの
- バチェロレッテ福田萌子「私は元気です」 ヒット記念イベントで明かした現在の気持ち
情報元リンク: ウートピ
「三代目」「LDH」看板が大きいからこそ抱えた葛藤。岩田剛典が自分の道を見つけるまで