美容・健康の最新記事

「それ、彼氏の影響?」にため息。自分のためですと言いたいけれど…【アルテイシア】

投稿日:

(PCのみ)投稿ページタイトル下




悪気がないのはわかるけど、なんだかモヤモヤする……。微妙な気持ちになる一言について、作家のアルテイシアさんに相談するこの連載。第8回は「彼氏の影響?」です。

着たい服を着てもバイクに乗っても「彼氏の影響?」

 

普段ボーイッシュな服装のせいか、たまにフェミニンな服装をすると「彼氏できた?」と聞かれてモヤモヤ。その時の気分で着たい服を着ているだけなのに……(28歳、エンジニア)

「最近バイクの免許を取った」と話すと「彼氏の影響?」と聞かれてモヤモヤ。たしかにバイク乗りには男性が多いけど……ていうか、そもそも彼氏いないし……(33歳、司書)

令和になってもまだこんな発言する人いるんだな、とため息が出る。

44歳の我が20代の頃も、美容やダイエットに励むと「さては彼氏できたな~?」とか言うてくる人がいた。またメイクやファッションについて「それ男受けしないよ(笑)」といらぬツッコミをしてくる人もいた。

なぜ本人が好きだからやっている、と考えられないのか? それは女性が「自分のため」じゃなく「男のため」に行動や選択をしている、と思い込んでいるからだ。

その思い込みを押しつけられると「勝手に決めつけんじゃねえ」とモヤるわけである。

彼氏のため、男にモテるために行動や選択をする人もいるし、それは悪いことじゃない。でも女がみんなそうだと決めつけるな、そっちの妄想や願望を押しつけるな、とグレッチを乱射したい。

料理教室に通う女性に「花嫁修行?」

アツギのタイツ事件、と書くとタイツを凶器にした殺人事件みたいだが、SNSで例の件が炎上した時も「男にセクシーと思われたくないならタイツを履くな」と男性がコメントしていた。

いや尻が寒いから履いとんねん。

冬場の下半身の冷えをナメるなよ。私なんてタイツに靴下を重ねてブーツを履いてカイロも貼って、これ全部捨てたら悟空みたいに宙に受けるんじゃね?と思うほどの重装備で過ごしている。

バイクやSFや洋楽が好きな女性に対して「男の影響」だと決めつける勢も存在する。彼らは女性が趣味で料理教室に通うと「花嫁修業?」と聞いてきたりもする。

20代の頃、彼氏に勧められてジョージ秋山の漫画にハマったら「やっぱ男の影響かよ」と男に言われて「ぶっ殺すズラ」と銭ゲバの顔になった。

私は女友達に勧められてハマった作品の方がずっと多いし、歴代の元彼にどれだけ勧められても司馬遼太郎にはハマらなかった。 

私の感性は私のものだ。女の感性は男に左右される、と決めつけるんじゃねえズラ。

「男の影響」だと思いたい気持ちの裏側にあるもの

人はストレスがたまると何かを発酵させたくなるらしく、20代の私は味噌を手作りしていた。

その話を飲み会ですると「家庭的アピール?(笑)」と男に言われて「おまえも田楽にしてやろうか」と味噌をぶっかけそうになった。

「男のため」「男の影響」と思いたいのは、彼らが女に必要とされたいからだろう。だから「男なんて必要ないっす」と言われると逆上するのだ。

「男のいない街に住みたい」という女性のツイートに、男性陣から怒りのクソリプが殺到していた。

「力仕事はどうするんだ?!」と彼らはキレていたが、大仏を建立するわけじゃあるまいし、今は大仏だって機械で作れるし、そのうち3Dプリンタでポンと完成する日も来るかもしれない。

女は男がいないと生きていけない。そう思いたいから、女が強くなるのも、権利を持つのも、団結するのも許せない。そんなミソジニーな男性ほど、女性からの承認を求めている。

一方「男の承認とかいらないんで」という若い女性は増えたと思う。それが私の20代との違いじゃないか。

自分の価値は自分で決めると宣言する女性たち

2000年代にエビちゃんがブレイクして、女性誌には「モテ」の二文字が踊っていた。

しかし現在『CanCam』は大幅に部数を減らし、『JJ』は事実上の休刊*となっている。モテブームが終焉して、モテ服やモテ髪といった表現も見なくなった。

*(編集部註)光文社は 2020年12月23日発売の2021年2月号をもって『JJ』の月刊発行を終了すると発表した。ウェブメディアは継続されている。

今の若い女性は自分のために、自分の好きなファッションやライフスタイルを楽しんでいる。男に選ばれることが女の価値じゃなく、自分の価値は自分で決めると宣言している。

そんな時代に「彼氏できた?」「彼氏の影響?」と発言する人は、元号が令和に変わったことも知らないんじゃないか。

彼らは「世の中には多様なセクシャリティの人々が存在する」という想像力にも欠けている。そのため「世の中のみんなが異性愛者で恋人を求めている」という前提で発言する。

レズビアンの女友達は「彼氏いるの?」と聞かれるたび「彼女ならいるけど……」と心の中で呟くそうだ。アセクシャルの女友達は「普通に彼氏いそうなのに」と言われるたび「普通って何? 私は異端なの?」と感じるという。

性的マイノリティの存在を無視するような発言は、もうやめようよ令和。

と書くと「あれもこれもダメと言われたら、何も言えなくなる」とボヤく人がいるが、だったら黙っていればよろしい。どうしてもしゃべりたいなら、ちっとは頭を使うとよろしい。

フェミニンな服装の女子には「彼氏できた?」じゃなく「普段と雰囲気違うね」「そういう服も似合ってるね」と言えばよろしい。

バイクの免許をとった女子には「彼氏の影響?」じゃなく「なんで免許取ろうと思ったの?」と聞けばよろしい。

「何も言えなくなる」とボヤく人は、何も考えずに思考停止していたくて、逆ギレしているだけなのだ。なので「え、なんでですか?他にいくらでも言い方ありますよね?」とマジレスしてあげるといいだろう。

クソバイス回避には「なぜなぜ坊や返し」を

とはいえ、とはいえ、上司や先輩など、立場が上の相手にズケズケ返すのは難しい。けれど、そんな場合も無駄に愛想よく返すのはやめよう。

「彼氏できた?」に対して「だったらいいんですけどね~(笑)」と返すと「普段からもっと女の子らしくしたら?」とクソバイスされかねない。

「彼氏の影響?」に対して「残念ながら彼氏いないんですよ~(笑)」と返すと「だったらバイクはやめて、女の子らしい趣味にしたら?」と言われて「ぶっ殺されてえのかてめえら」と山王のコブラさん顔になるだろう。

そのままバイクで轢きたいところだが、残念ながらここはSWORD地区じゃない。

SWORD地区の住人じゃない女子には、前回紹介した「なぜなぜ坊や返し」がおすすめだ。

幼少期のエジソン顔で「なんでですか?私の服装/趣味と彼氏とどう関係があるんですか?」と質問しよう。

そこで相手がゴチャゴチャ言ってきたら「ちょっと何言ってるかわからない」とサンドウィッチマン顔をキメよう。

または「彼氏いませんけど。ていうか私、彼氏ほしいって言いました?」と真顔で返すのもいいだろう。

「女性は彼氏のためにおしゃれしたいものでしょ」「彼氏の影響で趣味を始める女性は多いでしょ」とか言われたら「そういう人もいるでしょうね」とぶった切るのもおすすめだ。

便利な「そういう人もいるでしょうねbot」とは

「そういう人もいるでしょうねbot」はいろんな場面で使えて便利。また「そういうこと言う人、多いですよね……」とため息まじりに返すのも効果的。

私も若い頃は無駄に愛想よく返してしまい、モヤモヤを引きずった。20代の女子が中年のおじさんに率直に意見することなどできなかった。

しかし今は自分が中年のおばさんになり、おじさんが脅威じゃなくなった。かつフリーランスの野良作家なので、言いたいこと全部言う逆ポイズン状態になった。

44歳の拙者は「若い子は言えないんだから、俺が言わなくて誰が言う」精神で生きている。

数年前に元同僚と飲んだ時、男の同期が若い女性の店員さんに「メガネちゃん、ちょっと!」と呼びかけた。

私は彼の顔を見つめて「相手が同世代の男だったらメガネちゃんって呼ぶ?呼ばないよね?相手が若い女の子だからってナメた態度をとるんじゃないよ」と注意した。

別の男の同期が年下の男性に「おまえ彼女いるの?」と聞いた時は「それはセクハラだし、相手のセクシャリティもわからないのにそんな質問をするんじゃない」と注意した。

すると彼が「そんなのいちいち考えてられないし」とムッとしたので「同じ社会に苦しんでいる人がいるのに?自分には関係ないと思うの?」とバチボコに詰めた。

惚れそうになった関西のおばちゃん

中年になって肉体の反射神経は衰えたが、言葉の反射神経は上がったため、生きるのが楽になった。

そんな私も少し前、並んでいたスーパーのレジでジジイに強引に割り込まれて、とっさに何も言えなかった。
その時、近くにいた60代ぐらいのご婦人が「この子が先に並んでたんやないの!!」とカミナリみたいな声で注意してくれた。

「かっこいい……トゥンク」とうっかり惚れそうになったが、私もあんな関西のおばちゃんになりたい。もっとドスの効いた声を出せるよう、発声練習に励みたいと思う。

【アルテイシアさんからお知らせ】

2021年1/16(土)14時~朝日新聞主催のオンラインイベントに出演します!

人気ラッパーのあっこゴリラさんと「ジェンダーと言葉」をテーマに対談します。観客の皆さんとフリートークする時間もあります。登録すれば無料で参加できるそうなので、皆さんぜひご応募くださいませ~

https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11003274

(イラスト:中島悠里

情報元リンク: ウートピ
「それ、彼氏の影響?」にため息。自分のためですと言いたいけれど…【アルテイシア】

記事下1:アドセンス+忍者

スポンサードリンク

スポンサードリンク

-美容・健康の最新記事
-

Copyright© 独女の健康・美容テレビ番組ニュース , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.