「いい嫁はさっさとやめよう」義母とのサステナブルな付き合い方

合鍵で勝手に自宅に上がり込んで六花亭のバターサンドを盗み食いする、市役所に行ったかと思えばマイナンバーを7の連番にするよう要求する……。

大阪在住の主婦・ばたこさんとあまりにも強烈な義母「くそばばあ」との泥仕合の日々をユーモアたっぷりにつづった『お義母さん、ちょっと黙ってください―くそばばあと私の泥仕合な日々―』（新潮社）が10月に発売され、情報番組で取り上げられるなど話題を呼んでいます。

夫やパートナーは選べても義実家の家族や親戚は選べない……年末年始などの帰省シーズンのたびに義実家との付き合いに悩んでいる人も少なくないのでは？　

厄介な人や義実家との付き合い方についてばたこさんに伺いました。前後編。

Contents

1 「家族なんだから分かり合える」は幻想
2 「一生分かり合えない」と思う相手とは話しても無駄
3 “いい嫁”はさっさとやめよう

「家族なんだから分かり合える」は幻想

——本では義母だけではなくばたこさんが中学生のときに母子家庭になった話も書かれていました。「小学生の頃にはすでに父と縁を切りたいと思っていた」とありますが、本にも書かれていた通り、世の中には「家族なんだから分かり合えるはずだ」と言ってくる人もいますよね……。

ばたこさん（以下、ばたこ）：「家族なんやから、仲良くしないとダメだ」と言う人は、どうしようもない人が家族になったことがないんだろうなと思います。家族だからといって、許されないようなことをする人もいっぱいいるので。「家族なんやから」という決めつけは良くないですよね。

母親一人でも父親一人でも、子供をきちんと育ててくれるのであれば、両親がそろってなくてもいいと思います。私も、母親のおかげで社会人になれましたし。それに、たとえ親が周りから評価される人であっても、自分は「嫌い」と思ってるんやったら、家族であろうと離れていいんじゃないかなって私は思っています。

「一生分かり合えない」と思う相手とは話しても無駄

——一言で「家族」と言ってもその形や関係性はさまざまで「家族なんだから○○しろ」「嫁なんだから○○しろ」と言うのは時代錯誤もいいとこだと思います。ばたこさんはよくお義母さんを「ハルカスから打ち上げ」ていらっしゃいますが、お義母さんに近い世代からは、「嫁なんだから我慢しろ」というようなことを言われませんか？

ばたこ：何回も言われました。年上の方に、「お義母さんがちょっと嫌なんです」ってこぼすと、「義理のお母さんはそんなもんやし、我慢せなあかん」って言う方が多くて。だから、現実世界では愚痴を言わないようになりましたね。

それでだんだん、「なんで自分だけ、こんなにつらいんや……」って“悲劇のヒロイン”みたいになっていったんです。でも、義実家撲滅アカウントでつぶやくことで救われました。やっぱり、上の世代は分からない人もたくさんいるから、お仲間同士で愚痴を言い合うしかないかなと思ってます。

——昔のばたこさんのように、分かり合えないことで悩んでいる人も多いと思います。

ばたこ：現実世界で愚痴を言い合えるお仲間を見つけるのが難しいとしたら、ツイッターやSNSで似たような経験をしてる人を見つけるのもひとつの手なんじゃないかなと思います。

さっきもツイッターで、「お義母さんは好意でしてるんやから、受け入れたほうがいい」っていうアドバイスがあったんですけど、多分、この人と丸一日同じ部屋で話しても、一生分かり合えないだろうなと思いました。相手は私が何を言っても腹立つだろうから、私が見なかったことにしようと思いスルーしました。

それでも反論がたくさんくると、傷ついてしまうこともあるのですが、私に向けられた言葉をひとつずつ受け止めてたら大変なので、ネット上の文字の羅列だと思うようにしています。「ネット上の文字のひとつや。私に向けられたものじゃない」と思うことを最近身につけました。