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「家族のために料理をしない」クックパッドの“中の人”に聞く、料理が楽しくなるコツ

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新型コロナウイルスの影響で家で料理をする機会が必然的に増えました。中には「家族のために作るのが面倒」「たまにならいいけど毎日料理をするのはキツイ」と悶々(もんもん)とした思いを抱えている人も多いのでは?

料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」の初期メンバーで現在はコーポレートブランディング・編集担当本部長を務める小竹貴子(こたけ・たかこ)さんによる『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP社)が5月28日に発売されました。

同書には、小竹さんがこれまで現在330万品掲載されているクックパッドのレシピを片っ端から作り、たくさんのシェフに教わり、料理を作っていく日々の中で「ここはこだわったほうがおいしい」「ここは手を抜いてもいい」とおいしい料理ができるギリギリのラインを“仕組み化”した料理のコツが詰まっています。

レシピ本というよりは読み物としても楽しめる同書について小竹さんに話を聞きました。前後編。

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味付けは丸暗記、調味料はすべて「大さじ1」“仕組み化”を意識

——『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』を執筆した経緯について教えてください。

小竹貴子さん(以下、小竹):クックパッドに関わってから16年くらいになりますが、ずっと料理に携わる中で、自分なりの料理哲学を言語化したいとは思っていました。

また、クックパッドのユーザーに話を聞く機会も多いのですが、面白いことに「クックパッドを見ないと、料理ができない」という人と「クックパッドのレシピを使って料理をしているうちに、どんどん料理が上達していく人」の二つに分かれるんです。そして、上達している人の理由を話しを聞きながら掘り下げていくと、レシピに書かれている料理のコツやこだわりを理解して、その上で自由にアレンジを楽しんでいることが分かったんです。そこで、私自身が見いだしたコツや法則を言語化して、誰もが料理が上手になるヒントをお伝えしようと思いました。

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——本を開くと、サラダから揚げ物まで7ジャンルの合計68品の料理が紹介されています。味付けの「丸暗記ポイント」や調味料はすべて「大さじ1」にしている点など、まさに“仕組み化”されていて分かりやすかったです。

小竹:私自身、暗記が得意ではないので、だからこそそんな人でも覚えられるシンプルさにこだわりました。例えば調味料でも、ほとんど1:1の比率でできるようにしました。実は料理も、算数の九九や英語の文法のように最低限の暗記するものがあって、それさえ覚えてしまえばあとは一生物。そこから、味見をして物足りなければ足せばいいんです。

——最もこだわった点は?

小竹:とにかくシンプルにする。「私でもできるんだ」という安心感をもってもらうために。レシピ本は材料、手順、写真をできるだけ分かりやすく載せるのは基本なのですが、より安心感をもってもらうにはどうすればいいだろう? と頭をひねりました。コツと丸暗記ポイントさえ覚えれば、あとは食材を変えたりアレンジ自由。それで自分の料理が作れたら楽しいですよね。クックパッドの企業理念「毎日の料理を楽しみにする」にも通じます。「レシピ本だけれど、レシピ本ではない新しい形は何だろう?」と担当編集者と議論を重ねて出来上がったのが今回の本です。

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「家族のために料理をしない」その真意は?

——「家族のために料理をしない」と書かれていましたが、詳しく教えてください。

小竹:私自身の経験に基づいて書いたのですが、10年前子供が生まれたとき、とにかく子供のために料理を頑張ろうと気合を入れすぎて、すごく疲れてしまったんです。母親として、クックパッドに勤める管理職として、「料理はちゃんとやらないと」と思えば思うほど、思い込みが激しくなってしまい疲れてしまった時期がありました。

ある日、子供とファミレスに行った時に子供が「レストランに来ると、お母さんとの時間が増えるから楽しいね」と言ったんです。料理って、作っている時間だけではなくて食べる時間も料理の時間なんだとはっとしました。料理って自分が思っていた以上に広い意味があるのかも? と気が付き、そのときに改めてつらい思いをしてまで無理をするのはよくないなと思いました。

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また、ユーザーにインタビューしていても「子供が生まれてから料理が楽しくなくなった」という声を聞きます。理由を聞くと「時間がなくて忙しいし、大変だから」とみなさん口をそろえるのですが、果たしてそうなのだろうか? と思っていました。そんなある日、弊社で料理が嫌いだとユーザーにインタビューをしていたところ、1日だけとても上手なロールキャベツを作ったと話をしていて「なぜこの日だけ手の込んだ料理をしたんだろう?」と思ったら、「夫と子供が実家に行ったから」と彼女から。そのときに「これだ!」と思いました。そして私も共感できたんです。

まずは自分が食べたいものを第一に作る。もちろん誰かのために頑張れるときもあるけれど、基本は自分のために作ったほうが料理を楽しめる。「今日は何食べたい?」と家族に聞くよりも「今日は私は何を食べたいかな?」と自分自身に聞いて作るほうが楽しいし、楽しそうに作っていると食卓で子供も楽しそうなんですよね。

——子供の側だって「あんたのために作ってる」って言われるのは嫌ですよね。

小竹:たまにはうれしいけど毎日だと重いですよね。子供も笑顔のお母さんが大好きですから。いい意味で「自分のため」「わがまま」でいいんだと思います。いいお母さんでいよう、ごはんはちゃんと作ろうということの前に、自身が好きなものを、楽しんで作ってもらいたいなという思いを込めました。

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(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)

情報元リンク: ウートピ
「家族のために料理をしない」クックパッドの“中の人”に聞く、料理が楽しくなるコツ

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