部屋を片付けるには、捨てたり処分したり、譲ったりとモノを手放せばいい。わかっているけれど、そもそも捨てられないモノが多いんです! という人も少なくないのでは?
そんな人にぜひ注目してほしい、一風変わった収納本が『モノが多い 部屋が狭い 時間がない でも、捨てられない人の捨てない片づけ』(Discover21)です。著者は、“捨てない整理収納アドバイザー”の米田まりなさん。
東京大学経済学部を卒業後、大手総合商社に就職し、2017年から収納サービス「サマリーポケット」を運営する株式会社サマリーに出向中。同社のデータ解析担当として働きながら、整理収納アドバイザーとして、多くの人のモノと収納の悩みに向き合っています。
第2回では、キッチン収納のコツを聞きました。
全部キッチンにしまおうとしなくてもいい
——家電や調理器具を買うと、すぐにキッチンがパンパンになってしまいます。そもそも日本のキッチンって海外と比べるととても狭いし、収納がなかなか上手にできないです。
米田まりなさん(以下、米田):ペンはペン立て、本は本棚、キッチン用品はキッチンへ……と分類したいけれど、それにしては、キッチンって収納スペースが足りないですよね。料理好きな人だと、年に数回しか使わない製菓グッズなど、コレクションとしてのキッチンアイテムも多いですし。入りきらなくて当然なんですよ。
——まさにそうなんです。どうしたらいいでしょう。
米田:毎日使うわけではないアイテムは「趣味の道具」として、他の部屋のバックヤードに避難させることをおすすめします。割り箸のストックなども、「在庫」として別の場所に置けばいいんです。
——確かに「食関係のモノは全部キッチンに置かなきゃいけない」という思い込み、ありますよね。
米田:いきなり捨てなくてもいいので、まずはシビアに「今月使ってないものはキッチンから撤去」と決めてしまうのがおすすめです。利用頻度が高いモノだけで定位置を決めると、それでだけでキッチンが埋まっちゃう。そこで、残りのものはどうするかを考えるんです。「捨てる」「クローゼットの下のスペースに入れる」「戸棚に入れる」とか、なんでもOKですよ。
「収納イン収納」で使い勝手を快適に
——WEBメディアや雑誌の収納特集を見ていると、みなさん冷蔵庫の中身も小分け収納していますよね。やっぱり、ケースを揃えたほうがいいんでしょうか。
米田:ポイントは「最初から収納アイテムを揃えようとしない」こと。買ってみたら意外と使いづらかったりとか、出し入れが面倒で結局使わなくなったりすることって、ありますよね。
——ありますあります。
米田:まずは、スーパーの透明トレイやペットボトルを切って使ってみてもいいんです。数日仮運用してみて、良さそうだったら無印良品などで収納アイテムを買うことを考えるのがおすすめですね。
——収納にもお試し期間が大事、と。
米田:あとは、モノを寝かさずに、すべて立てて収納すること。ラップ類も食器も、寝かさないのが鉄則です。
——「立てて収納」にぴったりなグッズはありますか?
米田:無印良品の書類ケースが便利です。調味料やお皿やラップ、フライパンまで使えますよ。大きすぎるカゴなどに収納すると、その中で地層ができてしまうんですよね。底のほうに行くほど、存在も忘れてしまいがちに……。倒れやすいものほど、幅の狭いケースにしまうのがポイントです。
捨てるよりも、モノを増やさない工夫を
——キッチンって、食材の買い置きなどですぐパツパツになっちゃうんですよね。
米田:買い置き食材のほか、意外とキッチンペーパーが大量にあったりしますよね(笑)。キッチンに入りきらず、他の部屋に持っていった結果、ストックを把握できずにまた買ってしまう悪循環も。まずは、自分の消費スピードを把握することが大事です。ネットスーパーなら、購入履歴がわかるので、サイクルが把握できていいですね。Amazonの定期便なら、注文さえもいらなくなるので、私も愛用しています。
——食材や消費財は、履歴が残る方法で買えばいいんですね。ちなみに、食器はどうしたらいいでしょうか? 結婚式の引き出物やお祝いなどで、好みじゃない食器をいただくこともあるんですが……。
米田:「いただきもの」に悩む人、本当に多いです。きれいなうちに人にあげちゃうのも、選択肢のひとつですよ。使わない食器が棚を占領してしまうのはもったいないです。食器は、毎日使うものだけあればいい。来客頻度が高くなければ、たくさん揃える必要もないですから。
——なるほど。少し、心がラクになりました。最後に、忙しい生活の中でも、片付いたキッチンをキープする秘訣はありますか?
米田:私は、いつも幼稚園のイメージで片付けています。幼稚園って、「ボール」とか「おもちゃ」とか、カゴによく書いてますよね。定位置がわかりやすく決まっているから、簡単に片付けられる仕組みになっているんです。よく、「旦那が片付けられない」というお悩みを聞くのですが、原因は収納ルールを言語化できていない場合が多いんです。収納ケースにラベルを貼るなど、子どもでも片付けられる仕組みづくりを意識した収納がおすすめです。
第3回は4月29日(水)公開予定です。
(取材・文:小沢あや、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
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