コラムニストのジェーン・スーさん(46)が会いたい人と会って対談する企画。ゲストは、京大卒の元ニートで文筆家のpha(41)さんです。全3回。毎週木曜更新。
ジェーン・スーとphaの共通点は?
スー:先日、「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系、日曜午後2時)を見ていたらphaさんのシェアハウスが出てきて。同世代の人たちの話だけど、自分とは接点のない世界だなあ、なんて思ってたらphaさんが出てきて。そうか、この人がオーナーだよなと。で、ツイッターを検索したんですよ。(テレビを見ながら)実況でもやってるかなって。そしたらアカウントが凍結されてて(笑)。
pha:そうそうそう。あの時ちょうど凍結されてたんですよ。理由は分かんないんですけど。
スー:凍結されてなければ、だーっとツイート読んで終わったと思うんです。けど、見られなかったことで逆に探究心が湧いてきた。グーグル検索してインタビューを読んだり、ちょうど出てた『がんばらない練習』を読んだら、「あれ? 生活スタイルは違うけど、ぼやいてる内容が私とほぼ一緒だぞ」と。それで、ぜひ一度お会いしてみたいなと思ってお呼びしました。
pha:ちょっと意外でしたね。僕もスーさんの本を面白く読んだりしてたけど、スーさんは大体女子の生き方とかの話をしている感じなので、僕みたいなのには別に興味ないかなと思ってました。
スー:顔の見えない世間が勝手に決める理想像と、そこから外れた自分との距離をちまちま測りながらブツブツ言ってる感じが、自分と重なったんです。測りながら、結局はムリだ頑張れないってぼやく感じ。
pha:なるほど。世間との距離感は似てるのかもしれない。
普通に会社に入って、普通に生きていくって思ってた
スー:40代にもなってアレですけど、私からすると京都大学に合格できる人って、受験勉強がちゃんと出来る時点で、「私よりいろんなことが優れている人」という印象なんですよ。
pha:僕からすれば、ただ学校の勉強ができただけで、それと社会で生きていく力は全然違うので、そんなにすごいとは思ってないですね。「ただお勉強が好きだったんだな」ってだけで。
スー:高校卒業するくらいまでは、「勉強さえできればいい」みたいなところあったじゃないですか。そこで良いパフォーマンスができる人は、大人になっても集中して効率よくタスクをこなせて自己管理ができる人。そう思ってました。私はそれがまるでダメ子でして。
pha:勉強は苦手でした?
スー:全くダメでしたね。親がヤバいと思って家庭教師をつけてもいかに家庭教師の気をそらすかを考え、塾に行けばいかにサボるかを考え……。
pha:そうなんですか。僕から見るとスーさんは社会の中でいろいろ活躍していて、僕よりずっといろんなことができる人というイメージですけどね。僕は文章を読んだり書いたりはできるけど、会社勤めもできないし、社交も苦手だし、スーさんは毎日ラジオでいろんな人と楽しそうにしゃべっててすごいなと思いますよ。
スー:私もこんな人生になるとは思ってませんでした。phaさんも普通に勤めている時期がありましたよね。
pha:3年くらいですね。ずっといやいや働いてた感じでしたけど。
スー:私も普通に会社入って、普通に生きていくって20代の頃は思ってた。
pha:どのくらい勤めていたんですか?
スー:8年くらい働いていったん辞めて。転職先で3年くらい。その後の半年間は無職。まったく何もしないで、一日中パジャマ姿で『スタートレックDS9』の再放送を見てました。そしたら少し働きたくなって。で、メガネ会社っていう、全然違うジャンルに行った。そうこうしているうちに実家が傾き、戻ったりしてるうちにこういう仕事を。
pha:なるほど。「今なんでこういう生活をしてるんだろう」ってときどき不思議な気持ちになりますよね。
スー:phaさんはどこから?
pha:僕も会社を辞めた時は何も考えてなくて、しばらく何もせずに働いてた時の貯金でふらふら暮らそうと思ってただけなんですけど、ネットでブログを書いて遊んでたら、文章の依頼が来るようになったりして、そして本を出すようになって、という感じですね。
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情報元リンク: ウートピ
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