島本理生さんの同名小説を原作とした映画『Red』が2月21日(金)に公開されました。誰もがうらやむ夫、かわいい娘とともに何不自由なく暮らしていた専業主婦の塔子(夏帆)が、かつて愛した男・鞍田(妻夫木聡)と再会。互いに強く惹かれ合う物語の結末は、絶望なのか希望なのか……。
主演の夏帆さんに、作中に登場する3人の男性の印象や、自分と世間との付き合い方について伺いました。
登場する男性キャラは、三者三様に魅力的
——『Red』には、それぞれ異なる魅力を持つ男性が3人登場します。かつて愛した年上の建築家・鞍田、鋭い洞察力でさりげなく塔子を支えてくれる同僚・小鷹(柄本佑)。そして、一流企業に勤めるハイスペックな夫・真(間宮祥太朗)。夏帆さんの周りに彼らがいたら、誰に惹かれると思いますか?
夏帆:それぞれすごく魅力的だし、本当に対照的だったから、悩んじゃいますね。役柄はもちろん、人としても役者としてもみなさんタイプが違うので、一緒にお芝居していても面白かったです。
——具体的な印象を伺いたいのですが、まず、真は、塔子と気持ちが通い合わない部分こそあるけれど、愛情深いし、決して悪い夫ではないですよね。
夏帆:そうなんです。安定した仕事を持っていて、家族想いで、頼りがいがあって、いい旦那さんですよね。恋愛を経て結婚した二人の暮らしには、楽しかった時期もあったと思います。でも、二人は育ってきた環境や価値観が違うから、少しずつズレが生じてしまった……。
そのなかで、どこか影のある鞍田さんに強く惹かれてしまうのもわかりますし、「愛してはダメだ」と思えば思うほど抗えない気持ちも、想像ができます。そういう意味では、小鷹さんと一緒にいるときが、背伸びもせず、自分を押し込めもせず、ありのままの塔子でいられる気がしました。
——でそんなお三方とのやりとりのなかで、とくに印象的だったセリフはありますか?
夏帆:たくさんあります。なかでもとくに揺さぶられたのは、電話ボックスから真に「真くんにとって“結婚”ってなに?」と問いかけるシーンですね。「だって(君は)母親だろ?」と言われて「あなただって父親でしょ?」と返すところが、とくに印象に残っています。
私は結婚や育児の経験がないから、すごく感情移入するかと聞かれればそうではないんですけど……なんだか、この映画を象徴しているセリフのように感じたんです。家庭と外の世界を両立させていくこととか、人との関係性を築いていくことの難しさを、あらためて実感しました。
「世間からの見え方」に、執着しないで生きる
——「自分と世界」「自分と他者」の関係性って、きっと多くの人が悩むところですよね。夏帆さんは女優として、幼いころからずっと世間の目とも向き合ってこられたと思うのですが、自分と周囲の関係性に悩むことはありますか?
夏帆:職業柄、どうしたって「夏帆はこういうイメージ」という視線を向けられることはありますが、特別それを窮屈だなと思ったことはないんですよね。もちろん、表に出る仕事をしている以上、行動を制限される部分はあります。でも、要は“自分の気の持ちよう”な気がして。
——それは「世間との関係性」に対して、うまい付き合い方を覚えてきた、みたいなことなんでしょうか。
夏帆:そうかもしれませんね。最近はとくに「こういうイメージだと思ってた」と言われても「そういうふうに見えていたんですね」と、とらえられるようになりました。
——「世間からこう見られたい」みたいな意識はないんですか?
夏帆:それがあまりないのかも。そういう視線は二の次というか「いい作品にかかわりたい」「作品の一部でありたい」みたいな思いが強いので、自分自身の見え方に対して、そこまで執着がないんだと思います。もちろん「悪く見られたくない」っていうのはありますけど。世間からの視線をどう変えるかより、自分自身がどう変わるか、ということのほうに興味があるんです。
プライベートと仕事を完全には切り離せない
——これからどう変わりたいのか、何かビジョンは持っていますか?
夏帆:「こういう大人になりたい」みたいな具体的なビジョンは持っていないんです。けれど、もっと自分自身の可能性を広げていけたらいいなって思っています。いままで以上にたくさんのものを見て、いろんなことを知って、視野を広げていきたい。
どの仕事にも共通していると思いますが、とくに女優という仕事は、プライベートと仕事が完全に切り離せない。プライベートで経験したことが、役を演じる上でヒントになることも少なくないですし、私自身が日ごろどんなふうに生きているのか、どんな考えをもっているのかがお芝居ににじみ出たりもする。だから、いろんなつながりを活かせるように、多くの経験をして、成長していけたらと思っています。
■映画情報
『Red』
©2020『Red』製作委員会
2月21日(金)新宿バルト9他全国公開(R15+)
出演: 出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗
監督:三島有紀子 原作:島本理生『Red』(中公文庫)
公式HP:redmovie.jp 公式Twitter:@red_movie2020
(ヘアメイク:石川奈緒記、スタイリング:清水奈緒美、取材・文:菅原さくら、撮影:面川雄大、編集:安次富陽子)
- 夏帆「この世界で、女性としてどう生きていこう?」映画『Red』で主演
- 藤原季節さん、宮沢氷魚さんに聞く、互いの好きなところ
- 徳永えり「お金を介して成り立つ関係もある」映画『月極オトコトモダチ』で主演
- もう寅さんはいないのに最新作? 池脇千鶴『男はつらいよ お帰り 寅さん』に出演
- 美魔女を目指すより大切にしたいこと【池脇千鶴】
- 映画『パッドマン』がインドから日本にやってきた経緯を聞いてみた
情報元リンク: ウートピ
夏帆「私がどう生きているのかがお芝居に出ることもある」映画『Red』