婚活サイト「キャリ婚」を主宰する川崎貴子さんが「令和の共働き婚」をテーマに、それぞれの分野で活躍するプロと対談する連載。第3回のゲストは、家事研究家で家事代行サービス「ベアーズ」の取締役副社長でもある高橋ゆき(たかはし・ゆき)さんです。全3回。
大事な人のために使う時間を、「家事」に使うべきではない
川崎貴子さん(以下、川崎):西原理恵子さんのマンガに、子供が小さかったときの夢を見たというエピソードがありました。*子供が四六時中まとわりついてくるけど、自分は「料理をしなきゃ、洗濯物をしなきゃ」と家事に追われている。でも、今はもう大きくなって抱っこすることもできない。
料理なんて全然手作りする必要ないのに、家事をすべて自分でする必要ないのに、それが愛だと思い込んでいたっていうお話で。子供が大きくなってから、「もっと、抱っこしてあげれば良かったな」「あんなに家事をしなくて良かったのにな」と感じたそうです。
*「毎日かあさん」第654回「思い出の夢」より。
高橋ゆきさん(以下、ゆっきー):本当にそうなのよ。人生で何が大事かって、それはやっぱり家族なんです。帰る場所があるから、頑張って外で働いてこれるでしょう? 生きていけるわけでしょう? それなのに、家に帰ると、洗濯物を畳んで、お風呂を沸かしてて、夕ご飯を作りながら、子供に向かって「お母さんは忙しいから」じゃないんですよ。
川崎:同感です。手の込んだ家事って、やりたい人はやったほうがいいと思うんですよ。でも、無理に時間をつくってまですることじゃない。すごく時間をかけ過ぎていたり、手抜きができなかったり、それでみんな疲弊しているんですよね。
本来、一番時間を使わなくちゃいけないところは、家族みんなで一緒の時間を過ごしたり、子供の話を聞いてあげたりすること。でも、その大切な時間を「家事を終わらせなきゃの呪い」で割いちゃっているんですよね。
「家事は面倒くさい、しんどい」と言える社会に
ゆっきー:一見して矛盾しているようだけど、たかちゃん(川崎)がさっき言った通り、本当のところは、家事は自分でやってほしいんですよ。なぜかというと、家事は、その家族や家庭の古き良き習慣や伝統を受け継ぐ一番のメッセージだから。
例えば、「お父さんは神棚を毎朝お手入れしてる」とか、「お母さんは掃除が苦手だけど、枕だけはこだわってる」とか、家族への優しさや思いやりを表現することが家事なんです。
ただ、いつの時代からか、女性が家事のすべてを担うようになり、「家事は真面目に、しっかり、ちゃんと」という言葉が邪魔をして……。本当に考え方が遅れていますよね。これからは、「家事は面倒くさいな、しんどいな」って言える社会にすることが大事。疲れているときに、家事をやる必要はないんです。愛がモリモリしてるときだけやればいいんですよ。
川崎:そうですね。その家独自の習慣やルールは、継承すべきすてきなことだと思うけれど、今の時代は夫婦が対等に良いモノを持ち寄って、できることを取捨選択していかないといけない。
ゆっきー:時代が変わっていることを、みんな知らないんですよね。
例えば、のんびりとした時間の中で子供を育ててきた時代とは違って、今は社会の流れがとっても速い。その中で、自分たちらしさを大切に生きていくことを忘れてしまうと、どこにも幸せ感がないんです。家事や育児においても、「私、何やっているんだろう?」と、いつも中途半端に気持ちだけが焦ってしまう。
川崎:現代の共働き夫婦において、自分たちらしさというのは大事ですよね。ところが、夫婦で家事分担をしようとすると、女だから料理、男だから日曜大工といったジェンダー的な刷り込みで役割分担をしがち。
男女関係なく、個々において家事の好き嫌い、得意不得意は当然あります。それぞれの夫婦で、「洗濯は私、料理は俺、掃除は外注、洗い物は食洗器」というように、オリジナルの家事分担を作っていくことが大切だと思います。
わが家のキレイさを保つサイクルを知っておこう
ゆっきー:家事分担も大事だけど、次に大事なことは、それをどのくらいの時間軸でやっていくかということ。
例えば、毎日キレイな状態が保たれている必要はないわけで、2週間なのか、1週間なのか、家族ごとに違うんです。それを知らないと、「ちょっとサボってるかも……」というストレスや罪悪感にさいなまれてしまいます。わが家のキレイさを、どのくらいのサイクルで回していくかを知っておくだけで、すごく気が楽になると思いますよ。
川崎:それって日ごろから、夫婦間で、「自分たちがどういう家庭をつくっていきたいか」というコンセンサスが取れていないとできないですよね。特にうちは、仕事も共通点がないし、年齢差もあるし、特殊なステップファミリーなので、夫婦ですり合わせていかないといけなかったわけです。
ゆっきー:そうですね。コンセンサスが取れない相手とは、そもそも家族でいる必要がありません。家族になったのであれば、自分たちがありたい姿に照準を合わせて、すり合わせていかないと。
だから、まずは家族で家事会議を開いてほしいんですよ。愛がモリモリしているときに、家族で家事について語ってほしいし、家事を大事にしてほしいですね。決して、家事や育児でケンカをしてほしくないんです。夫婦がケンカをしていると、子供は寂しくて悲しい思いをするから……。
私は、日本の子育てを明るく楽しく幸せなものにするためにも、みんなが家事代行サービスを使いやすい社会の風を吹かせていきたい。次の世代のために、家庭のあり方をスタイルチェンジするべきなんです。
川崎:ほんとに愛がモリモリの新婚時代が大事(笑)。そして、スタイルチェンジ大事ですね。
ゆっきー:そして、家事代行サービスを使いやすい社会にするために、5年前に家事大学を設立しました。家事が好きな人も苦手な人も、その価値について学べば、1時間2,000~3,000円の価格が、自分にとってプライスレスなのか、やっぱり高いのか明確になりますよね。家事の価値を知ることで、家庭のあり方を考えるきっかけにもなると思います。
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情報元リンク: ウートピ
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