婚活サイト「キャリ婚」を主宰する川崎貴子さんが「令和の共働き婚」をテーマに、それぞれの分野で活躍するプロと対談する連載。第3回のゲストは、家事研究家で家事代行サービス「ベアーズ」の取締役副社長でもある高橋ゆき(たかはし・ゆき)さんです。全3回。
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女性たちは「家事代行サービスを抵抗なく利用できる社会」を望んでいる
川崎貴子さん(以下、川崎):今や共働き夫婦は6割*にのぼっています。共働き夫婦において、家事や育児の分担は大きな課題。そこで、家事代行サービスのパイオニアとして、業界をけん引してきた高橋さんのお話を、ぜひお聞きしたいと思って、今日は伺いました。
高橋ゆきさん(以下、ゆっきー):ありがとうございます。経済界でもゆっきーで通ってるので、今日はゆっきーでお願いします(笑)。
川崎:前回は、浜田敬子さんとお話させていただいたのですが、「自分たちだけで、家事と育児をやっていくのは限界がある」「うまくアウトソーシングをすることが、一番の幸せな道なのでは?」という結論に至りました。そこで最初にお聞きしたいのですが、家事代行サービスの利用率は、以前と変わってきていますか?
ゆっきー:相当変わっていますよ。「ベアーズ」の利用実績は、昨年度は約45万件でした。年々、確実に利用者が増えています。
ちなみに、野村総合研究所が去年に発表した調査**によると、過去に利用した人も含めた利用率は約6.5%。一方で、今は利用していないけれど、「家事の負担軽減に家事支援サービスが有効だと感じている人」は6割を超えました。「この差は何なの?」ということで、利用しない理由を聞いたところ、「価格の高さ」「他人を家に入れることへの抵抗感」「セキュリティの不安感」といった声が上がっています。
参考:*「平成27年(2015年)国勢調査」による。
**「家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」
「贅沢」「サボり」「手抜き」というイメージが付きまとう
ゆっきー:そして、一番の問題は、女性たちが家事代行を望んでいるにもかかわらず、社会の風が吹いていないとサービスを使いづらいということ。例えば、「贅沢(ぜいたく)をしている」「サボっている」「手を抜いている」と、世間に言われがちですよね。でも、逆に今は風が吹いているんです。
川崎:風が吹かないと、なかなか動けないですもんね。私も娘が小さかったとき、15年くらい前だったかな? 家事代行サービスやベビーシッターを使っていることをブログで書くと、たたかれたことを思い出しました。あの頃は、そんな時代でしたね。
ゆっきー:「家事や育児を人に頼むのは贅沢(ぜいたく)だ」とか、「女性経営者だから使えるんでしょ?」とか。
川崎:そうそう。それでも私は、「給料をそのまま投入するくらいの勢いで、どんどん使ったほうがいい」と言っていましたけどね。なぜかと言うと、キャリアを10年休んでしまうと、なかなか仕事に復帰できなかったり、億単位の損失だったりするわけです。長期ビジョンで考えると、たとえその時期、給料とアウトソーシング料金が同額になってしまったとしても、長期ビジョンで考えると桁違いのプラスになると。
ゆっきー:たかちゃん(川崎)は、当時から最先端の考え方でしたからね。
川崎:私の場合は、家事代行サービスやベビーシッターを一度使ってみると、「こんなに便利なんだ」「今まで何やっていたんだろう?」と思いました。最初は、「他人が家に入るの気を使うなぁ」と思ったりもしましたが、すてきな人がやってきてプロの家事や育児をやってくれると、まるで神様みたいに見えるんです。自分の中に偏見があったんだなというのは、体験してみると分かりますね。
私たちは「家事や育児の素人」だから…
ゆっきー:社会に追い風が吹いているとは言え、国はすぐに補助金を出すことはできません。そこで、精神的不安だけでも取り除くために、3年前に家事代行サービスの事業者認証制度が創設されました。
川崎:それは素晴らしいですね。家事支援サービスもベビーシッターも、初めて使うときはハードルが高いと思うんです。でも、事業者認証制度があれば、良い人材が集まりやすいですし、利用者側に安心感を与えることができますね。
ゆっきー:そうですね。「ベアーズ」に寄せられるお客さまのお手紙で、一番多いのは、「人生の最高のマッチングをありがとうございます」「○○さんと出会ったことで、うちの家族の心が豊かになりました」という内容なんです。まさに、“出会い”なんですね。ゆっきー語では、“出愛”と言っていますが(笑)。
川崎:“出愛”ですか。私も、長女のときにお願いしていたベビーシッターさんとは、いまだに交流がありますね。
私たちは、家事や育児の素人なんです。せっかく共働きでダブルインカムなのに、家事や育児の分担でもめて、夫婦の関係がギスギスしちゃうようなことになったら、結婚した意味がないじゃないですか。
そこで、家事や育児をプロに任せてみると、家族の雰囲気が良くなる。だからこそ、出会いに感動するんだと思います。ただ、家をキレイにしてくれたり、子育てを手伝ってくれるだけじゃなく、家族が仲良くなるパワーを持っているところがすごいなと思います。
ゆっきー:そうでしょ? そして今後は、「自分にしかできない仕事に全力を注いで、育児と家事のコアな部分だけやる」という、たかちゃんみたいな生き方の女性が増えてきて、「家事代行サービスを使わない人は損」だと思われる社会が来ると思いますよ。
働き方改革は暮らし方改革
川崎:家事代行サービスは、「働き方改革」にもつながってきますよね。
ゆっきー:「働き方改革」は、「暮らし方改革」と共にやっていかないと意味がないと思ってるんです。一人の人間として中身を磨いて、自分の立ち位置から子育てをするのも、ひとつの大きな社会貢献ですよね。また、社業を磨いていくことも、社会をつくっていくことにつながります。
そのために必要な余暇の時間を、きちんと確保しないといけない。家と職場を往復しているだけでは、アイデアだってクリエイティブだって生まれませんよね?「働き方改革」は、ただ早く帰宅させることが目的ではないし、家に帰って家事を全力でやれという話でもないんです。
私は、家族、夫婦、個人が、自分らしい暮らし方を実現できる時代に入ってきていると感じています。これに関しては、20年前から気付いていたんだけど、昔は言えなかった。でも今は、「働き方改革」「女性活躍」「女性の輝き推進」「男の育休」といったことが言われていて、私が思い描いていた風がやっと吹いてきたなと実感しています。
※次回は11月26日(火)公開です。
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情報元リンク: ウートピ
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