秋冬は空気が乾燥して、髪をブラッシングするたびに静電気でこすれ合う、むやみに広がる、ぱさぱさになって老けて見えるようでおっくうです。髪に触れると「バチッ」となることも。そこで、美容師で美髪のためのケアを追求する三谷遥さんに、乾燥や静電気から髪を守るケア法を聞いてみました。
乾燥と静電気で潤いを失う「老け髪」に
はじめに三谷さんは、静電気と髪の状態について次のように説明をします。
「冬は湿度が低くて空気が乾燥しているため、何かに触れたときに摩擦で静電気が発生しやすくなります。
シャンプー中など髪が水に濡れていると静電気は起こらないでしょう。それは、水分が髪に溜まっている電気を空気中に解放する放電をしているからです。一方、乾燥している髪の場合は電気が溜まっている帯電の状態のため、髪同士が擦れ合うと静電気が発生します。
また、その静電気によってキューティクルが傷んでいる、はがれている髪同士が擦れ合うと、さらに静電気を発生することになります」
静電気が生じると何がどう髪に悪いのでしょうか。
「ぼさぼさ、ぱさぱさになってまとまりにくくなります。また、水分が少ないために潤いやツヤのない、『老け髪』に見える、汚く見える場合もあるでしょう。切れ毛や抜け毛も増えます。冬の静電気による髪のトラブルには、乾燥を防ぐこと、肌と同様に保湿することがポイントになります」と三谷さん。
ブラシや衣類の素材、加湿で静電気の発生を抑えて保湿を
次に三谷さんは、静電気による髪のダメージを抑える方法を伝授します。
(1)木製のブラシを使う
ヘアブラシの素材によっては、静電気が起こりやすい、起こりにくいものがあります。「静電気を除去する」とうたうヘアブラシを使用しましょう。プラスチック製よりは、木製のヘアブラシやコームを使うほうがよいでしょう。
(2)ソフトなブラッシングで摩擦を防ぐ
(1)で選んだブラシを使い、そっとブラッシングをくり返します。ただし、しすぎると摩擦の発生回数が増えて傷みやすくなるので、「髪をとくことができたな」と思う程度にしましょう。からまっている場合は無理に引っ張らずに、まずはその部分を指やコームでそっとほどく、もしからまりが激しいなら洗い流さないトリートメントやヘアオイルをつけてからほどき、ソフトタッチでとかしましょう。
(3)アウトバスで洗い流さないトリートメントやヘアオイルで保湿を
洗い流さないトリートメントやヘアオイルには、髪をまとまりやすくする、乾燥や摩擦、静電気から髪を守る働きがあります。顔や体には、お風呂から出たときや洗顔後に化粧水や乳液、ボディミルクなどをつけて保湿をするでしょう。髪も同様に、毎回、保湿のためのケアを行いましょう。
ただし、乾燥しているからと過剰な量をつけると、吸収しきれずにベタベタするだけです。パッケージに表示されている適量を毎日、洗髪後やスタイリング時に継続して使いましょう。
(4)髪は必ず乾かして冷風で仕上げる
洗髪後に髪を乾かさずに放置すると、水分が蒸発する過程で髪同士がこすれてキューティクルがはがれやすくなります。キューティクルの傷みは、静電気を発生させる原因になります。髪を洗ったら十分にタオルドライをしたあとに、洗い流さないトリートメントやヘアオイルを適量つけてからドライヤーで乾かしましょう。
ドライヤーの使い方は目的によっていくつかありますが、乾燥によるダメージを防ぎたい場合は、まずは頭皮全体を乾かすように頭頂部やつむじ、下から側頭部にさっとあて、次に頭頂から毛髪の流れに沿って手ぐしでときながら乾かすとよいでしょう。そして、7~8割ほど乾いたところで冷風に切り替えて、(1)で選んだブラシで毛髪の流れに沿ってとかしながら仕上げると、キューティクルが閉じて髪の乾燥を防ぎ、ツヤを出すことができます。
(5)室内の湿度を保ち、乾燥を防ぐ
部屋の湿度を、50~60パーセントに保つと、帯電を防いで静電気による髪のダメージを避けることができるでしょう。暖房時は室内の乾燥が進むので、加湿器を利用しましょう。また、濡れたタオルを室内に干す、浴槽や洗面器、コップなどに水を溜めておくなどでも、室内を加湿できます。
(6)静電気が発生しにくい衣類を身につける
上着を脱ぐ際や、マフラーを外す際に静電気が発生して、髪がぼさぼさになることがあるでしょう。衣類の繊維の素材によっては、静電気の発生が大きいことがあります。とくに毛布やウール、ナイロンなどは静電気を帯びやすいでしょう。髪のダメージが強いときは、静電気が溜まりにくいと言われる綿やシルクなどの衣類を着用しましょう。
(7)保湿用のヘアミストやスプレーを持ち歩く
普段から静電気や乾燥のケアを心がけていても、オフィスや外出中の湿度の低さはコントロールができません。そこで、潤いを与えるタイプのヘアミストやヘアスプレー、ヘアクリームを持ち歩き、髪の静電気や乾燥が気になった際にはこまめに活用しましょう
ここで三谷さんは、乾燥してばりばりになった老け髪への最終ケアについて、こうアドバイスを加えます。
「風邪が長引いたり睡眠不足が続いたりすると、さらに髪は潤いを失います。見た目に汚い、手に負えないと思ったら、いっそばさっとカットしましょう。そしてその時点から、お話ししたヘアケアをしていくという方法があります」
適切なブラシでのソフトなブラッシングやアウトバスでのトリートメントケア、室内の加湿、衣類などを意識して、髪に静電気を溜めないことが重要だということです。老け髪にならないように、乾燥する季節は静電気ケアを続けて、冬も自分好みのスタイリングを楽しみたいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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