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便秘対策で「してはいけないこと」…トイレ&習慣編【臨床内科専門医が教える】

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慢性になりつつあるのではと悩む便秘、その改善のために多くの情報を目にしますが、編集部には「実際にどの方法を試せばいいのかよくわかりません」という声が複数届いています。そこで、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に尋ねてみました。

毎日排便があっても残便感があれば便秘

まず、便秘とは医学的にどういう状態なのかについて、正木医師はこう説明します。

「便秘とは、出ないだけではなく、便をすっきりと快適に出し切れない状態を言います。日本内科学会では『3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態』と定義しています。

理想は、日ごろの排便リズムが整っていて、トイレに入ってからおよそ3分以内で排便した後に残便感がない状態でしょう」

定期的にトイレに行く時間を決める

その理想の排便状態に近づけたいものです。次に正木医師は、「患者さんにトイレにまつわる話しを聞きとると、逆効果になることをされている場合がかなりあります」と話し、便秘対策にとってNGなことと、適切なケアを挙げます。

(1)便が出るまでトイレに座っている
いきみ続けると、血液が肛門に集まってうっ血するため、痔の原因になります。痔になるとトイレのたびに痛むため、排便を避けたくなり、便秘につながって悪循環となります。

適切なケア
無理にいきむことは避けてください。またトイレに座る時間はおよそ3分以内にして、便が出ない場合は切り上げましょう。そのために、スマホや新聞は持って入らないのが得策です。

(2)温水洗浄便座で肛門を刺激する
便を出そうとして、温水洗浄便座で肛門を強い水流で長く刺激する、あるいは肛門内に水を入れることはしてはいけません。肛門だけでなく、腸管の内部の粘膜を傷つける、また、トイレの水やノズルについた菌が腸管に侵入する恐れがあります。さらに、皮ふにとって必要な皮脂や常在菌を洗い流すため、乾燥や炎症が起こります。

適切なケア
温水洗浄便座はできるだけ使用しないようにしましょう。どうしても洗浄したい場合は、弱い水流で1~3秒以内で、肛門の表面だけにしましょう。

(3)仕事中はトイレにあまり行かない
「会社や外出先のトイレで排便をしたくない」と言う人は多いです。だからといって我慢をすると、便が大腸内にとどまる時間が長くなります。すると便の水分が大腸に吸収されて硬くなり、便秘の原因となります。

適切なケア
自然な排便リズムを取り戻すために、たとえ便意がなくても決まった時間にトイレに行くことを習慣にしてください。朝食後、昼食後、ほか3~4時間おきに行きましょう。自宅ではもちろん、会社や外出先でもこれを続けると、神経の働きで時間ごとに尿意や便意を感じるようになります。

(4)2週間以上、下剤を飲んでいる
市販の下剤や便秘薬を自己判断で長期間服用していると、薬への耐性ができてやがて効かなくなる、または薬がないと出なくなり、便秘が悪化しやすくなります。また、下剤には体内の水分を集めて排便を促すタイプもあり、これは脱水症状を起こすことがあるので注意が必要です。

適切なケア
下剤や便秘薬に長く頼らないようにしてください。市販薬を試したい場合は、必ず薬剤師に自分の体質や便秘の傾向を伝えて相談しましょう。

(5)浣腸を頻繁に使用する
浣腸は肛門に直接挿入するため、刺激が強いと言えます。頻繁に使用すると、肛門を傷つけて痔の原因になるだけでなく、腸も傷つけることがあります。また、浣腸に頼るようになることも多く、すると便意を感じにくくなってさらに便秘の悪化につながりかねません。

適切なケア
(4)と同様、極力使用しないようにしましょう。どうしても使用したい場合は、必ず用法や用量をよく確認し、使用上の注意に沿ってください。

(6)おなかが痛くなるので運動はあまりしない
運動不足で腹筋が低下すると、腸のぜん動運動が弱まり、便を押し出しにくくなります。また、排便のリズムを整える副交感神経の働きが鈍くなり、便秘をまねきます。

適切なケア
毎日30分~1時間、継続的にウォーキングやジョギングをしましょう。時間がない場合は通勤時に一駅多く歩く、自宅でもできるヨガや筋トレを組み合わせるなど工夫をして運動を習慣としましょう。

(7)普段の睡眠不足を補うために休日は寝だめをしている
睡眠は毎日の習慣です。いつも同じ時間に寝て起きること、つまりリズムを持って眠りにつくことがその質を高めるコツです。そもそも「寝だめ」は医学的に見て不可能であり、睡眠のリズムが乱れるもとになります。

そして、睡眠の質は便秘に大きく影響します。質が悪い場合、自律神経の1つの交感神経が優位になっていると考えられ、この神経は消化吸収をさまたげるので便秘をまねきます。

同じ理由で、ストレスがある、緊張しやすい、また旅行に行くなど環境の変化があると緊張して交感神経が優位になり、便秘になりがちです。

適切なケア
できるだけ平日も休日も7~8時間の睡眠時間をキープして同じ時間に寝て起きるようにしましょう。そのうえで、緊張をゆるめ、副交感神経が優位になるように、仕事中にイライラや緊張感が高まったときにはそっと腹式呼吸をする、(6)と同じく日ごろから軽い運動をする、夜はクラシックやヒーリング音楽を聴いてゆったり過ごす、入浴時や自宅ではアロマを利用する、休日には自然と触れ合うなどでストレスを上手に発散させてリラックスする時間を持ちましょう。

普段、便秘改善のためと思ってしていたことが、かえって便秘になりやすい行動だった場合がありました。医学的に適切な方法を知っておき、今日からすぐに実践したいものです。

次回は、便秘対策で「してはいけないこと」の食事編を紹介します。

(構成・取材・文 佐藤 和子/ユンブル)

情報元リンク: ウートピ
便秘対策で「してはいけないこと」…トイレ&習慣編【臨床内科専門医が教える】

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